あたいはしがないエレベーターガール
箱に入って一日上がったり下がったりしている
こんなんじゃ彼氏だってできやしない
あたいは孤独なエレベーターガール
人件費削減の為に
近々箱を追われ ....
どこから説明すればいいだろう
寒い
風邪薬だ
酒瓶
すべての現象は冬らしくくっきりと
くっきりとしていてむしろ象徴に
ごらんよビルを
突き立っている
ごらんよ空を
磨かれてい ....
どうして人は、人の不幸を喜ぶのか。
あらそうと、残念そうな顔をしておいて
その実、興味半分に成り行きを知りたがり
ネホリハホリ聞きたがるのか。
そうして、人の不 ....
たとえば
悪意であったなら
オブラートに包んで飲み込む
たとえば
優しさであったなら
丁寧に蒸留したあと
春色のカプセルにして
冬に打ちひしがれた小鳥のために
蒔いておく
た ....
好きはみんな違うから
わたしの好きと
軋むかもしれないけれど
明日行くよ
「隣はごめんです!」
と、叫んだけれど
本心だけど部分だから
だけど
....
大きな窓のしたで
セックスをしましょう
往来へでて
人殺しをしましょうか
それとも
花壇に種をまきましょうか
笛を吹きましょうか
肉を焼きましょうか
もうすこしここにいましょう ....
「ママ!ママぁ!」
真夜中私を激しく呼ぶ声の元に行き
いつも通り右手を差し出すと
大事なお人形を愛でるかのように
それを自分の胸の前でぎゅっと抱き締め
再びすやすやと寝息をたて始める
....
わたしは二階の部屋にあがって、鈴木さんのガラス玉を手にとって、しばらくながめていた。どこかでみかけた夜店の、輪投げの景品みたいな、ただのガラス玉だった。
だいじょうぶかなぁ、なんだかニセモノみた ....
陽射しは澄んだ冷気を纏い
静かに微笑んでいた
病床から起き上がる母親のように
すると蒼白い時と仄暗い人の群れで編まれるはずの朝が
心なしか ふと暖色に染まり
視線は飛翔してはまた憩う 小 ....
祈りであるのかもしれない
愛染夜曲をききながら
たいして飲めやしないお酒をちびりちびり
いつの間にやら夜が更ける
*愛染夜曲 http://www.youtube.com/watch?v=gwc ....
ひとりのひとを ほんとうに愛することができたら
多くの人に愛される 気がします
あかちゃんの頃から
ひそかやかに息づいている初々しい清水を
ゆっくりと 汲みあげ
丸い透明な器にいれて窓辺に置く
水の中に虹を 見つけた
こどものころから 不幸せな場所にな ....
ききみみは みぎか ひだりか
自分でも わからなくなったので
るるるっと まわして ききみみをたててみる
まさか ほんとうに
つまり これは 透明人間になったということだ
....
奇跡のひと、
とはヘレンのことではない
奇跡のひと、
とはサリバン先生のことだ
私は奇跡のひとではなかった
奇跡を起こすまえに涙ぐむ
私はふるえる者だった
ヘレンは先生に7歳になるまえ ....
雪を水に入れると 水になるように
水は氷に 雪水はつららになるように
死ぬことも生まれることも生きることも
体を通るものの 変質なのだろうけれど
心は 消えても響く
共にと思う幻想に支えられ ....
えっ……、
「どうして? どうして会えないの。」
「外山先生はね、また、猫にもどっちゃったんだよ……。」
猫に……?
えっ? なによ、それ……。
「鈴木さん! わたしね、すごく真剣な ....
あなたのかたい頬
思いのほかやわらかくて
その冷やかな瞳にも
熱い涙は宿るのだが
心の奥深くに一つの扉があって
それは故郷へと繋がっている
絶対零度の沈黙
この地上の何よりも冷たい場 ....
川沿いを歩いていると
色鮮やかな
もげた螺旋階段がくるりと横たわっていた
私は危ういバランスを保ちながら
登ってみると
先に透明色の螺旋階段が伸びている
そうっとゆっくり
どっこ ....
僕の家の水道水には
カルキとカルマが含まれている
カルキは浄水器で
取り除けるかもしれないけれど
カルマはおいそれと
消えて無くなってはくれない
僕は毎朝
カルマで顔を洗 ....
おかあさんが家に電話して、おばあちゃんが元気そうだったから、このまま買い物に行くことになった。動きはじめた車の窓ガラスをいっぱいにあけて、わたしは猫又木山文化会館の三階をみあげたの。
あっ、だれ ....
大晦日 日系スーパーまで高速を飛ばして 注文していたお節を2組取りに行く
太巻きとシアトル巻き、上の娘の好物のイクラの瓶詰と、
私しか食べない刺身も一緒に買う
「Japanese noodles ....
大好きな人よりも本当は
お弁当の方が好き
はっきり言ってももちろん愛は消えないさ
僕の方のね
でもさ愛がはっきり確かめられるんだ
たとえ見栄え悪くてもね
おかずはいいさはっきり ....
生徒はいないけれど、わたしは詩のせんせいなんだよと娘に言ったら、「わたしが生徒になるから詩を教えて」って言われて教えるものはないから書いたもの見せてって言った
おっ 雪
景気は どうだい
見りゃあ分かるだーん
どかーんと絶好調よ
そうだな
まだ まだ
いや今日は もういいと思う
まだ まだあー
....
愛するひとの愛するひとを
愛する
てっとりばやい愛だ
そんなに一緒にいたいのか
高速道路に夕日落ち
そんなにそばにいたいのか
手荷物からお荷物に
愛する
愛するひとの愛するひとを
季節の車輪を転がしながら
時代の坂道下って降りて
さあ年の終わりと始まりのテープが切られました
あなたの目にはどんな時代が見えますか
世界は灰色にもバラ色にも染まります
....
世界平和なんて願わなくていい
家内安全、商売繁盛、合格祈願、恋人ができますように、何だっていい
目を見開き、そして願え!
ゆっくり湯を沸かし
大きな器に ひとかきの飯を入れ
わずかばかりの具を入れて 雑炊をすする
これで いい
大晦日の朝は これでいい
「ねぇ、あずきちゃん、イチローはね、あずきちゃんに恋をしてるのよ。きっと……。」
え……、恋?
「そんなの、うそだぁー。」
「あっはっはっはっはっ……。」
外山先生とおかあさんがま ....
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