みあげるとさかさまのさかなたちが
季節をひらべったく塗りたくっている
きみの手はつめたい
永遠になんども触れたよう
わずかずつの永遠をつみかさねて
一瞬へむかう魚たちのよう
苦い
ぬるい
ひとくち含んで
ひとつふたつ
浮かぶ
途中で
彼に出会い
その本に出合った
気持ちが向かうのは
目下 そこにあるもの
急な雨
傘を持たない女
貸すに貸 ....
なべふたふたふた
円盤飛来
ゆらゆら
ちょうどよいサイズ
はまるよぱこりと
取ってから
ちいさなくしゃみが聴こえてくるよ
まだまだ寒い季節だからね
暖かくなるまでこの鍋の上で過ごし ....
春がやさしく微笑むと
白く積もった嘘が融け
ぬかるんだわたしの心を
悲しい泥水となって流れ下る
ひび割れたアスファルトの肋骨
空に頭を踏まれたままの道あるいは時間か
仰向けに開いた記 ....
2月をたゆませて泳いだ
3月には疲れ切って本当の魚のようになった
あやふやな優劣の判定を何度か食らって
何度かはがれ落ちたうろこから
弱い部分を見せた
よわい人が
尾びれとか背びれとかを動 ....
雪についた風は 凍りの匂い
立ち上がって ひっかく
かわいてかたい ぽろぽろ
溶けながら指を食む
刻みつけられ 冷たさを
から から
頬から
押し付けて とどめる
残され ....
さくらの野郎がまた真面目に
花など咲かせようと張り切っている
春だからあたりまえ
そんな野次にも負けないで
張り切ってふくらんでいる
あたりまえなんかない
あたりまえばかりだ
いろんな騙 ....
友の自信が揺らぐとき
ぼくの自信は
揺らぐのをやめている
いいかっこしたい訳じゃない
共倒れがさみしかっただけだ
悲しいとこだよ人生は
乗り越えるところだよ人生は
みんなこの身で考えて ....
孤独な19の頃に帰ろう
あの自由に帰ろう
朝の青い町並みに
粗雑な波に洗われながら
痩せたお尻を揺らしてる
悲しくもない
希望だけ開けている
自信もない
だけど謙虚でもない
嬉しい ....
それは冷たいことではない
何がやってこようが揺るがない
それは温かいことでもない
ぼくは遠いこころになるだろう
互いに幸福を見せつけよう
自分の人生だ
愛だ
....
手堅く生きて小さくまとまる
手繰ればいつか出会う
希望という名の紙切れよ
希望という名の瞳に渡れ
誰かは無謀と云うだろう
或いは幼稚と嗤うだろう
希望という名の未熟さよ
立ち止まるがいい
思う存分に
希望という名の愚かさ ....
瞼を閉じるのだって ちからは要る
目を開けても閉じても闇の中
空の高い所で星が輝いている
百均のペンライトを再び点灯し
川沿いを降りていく
もういくつめの滝だろうか
雪解け水が勢いよく流れ落ちていく
擦り傷だらけの身体 ....
女の子の
苗字と名前にある
わずかな空白に
小さな川が流れて
いる
せせらぎのような気安さであるから
そこをいったりきたりすることが
できる
時々流れてくる桃を
無邪気に拾って遊んで ....
春の光が曇天を縫い
硬い空気を細く通り抜けてくる
すべては卓上に出揃った
いくつかの瞳、
いくつかの臓器
毟り取られた数枚の花弁
床に落ち埃 ....
戻れないこの道
君が手を降ったまま遠ざかってゆく
ちょっと哀しい眼をしていた
それは夕暮れだったからかもしれない
帰れない明日へ微笑みながら去っていったひと
風を抱いて走るよ何かの方 ....
鼻かみすぎて
鼻血ながして
なみだの味は
黄砂くさくて
みなみの風は
極ぶとすぎて
同情ほしさに
写メを送って
抱きしめたい
長生きしてな
....
あなたがこの世に
肉をまとって現れてくれたから
ぼくはあなたに出会い
そのいのちに懐かしさに包まれていたんだ
ぼくよ、それを、忘れるな!
肉をまとったあなたが
....
春が来て
花曇り
二時限目のチャイムと
遅れているバスと
並行世界
私 ....
こんな日に限って
ケータイ忘れた
夜桜、
休み明けまで
散らんといてや。
ノストラダムスの予言を信じ地球を離れ12年
わたしは恥を恥と知りながら生きてきたのです
そうやってずうっと生きてきたのです
指をさしてはなりません
その背中は誰の背中
きっとわたしの背中でしょう
指先に愛しさを
老いて紡ぐは ....
駅のホーム
立ち食いそば屋で
かき揚げそばをすすりながら
おにぎりをほおばる
小学生の高学年
夏休みなどに入ると
私はひとりで新幹線に四時間ほど乗り
田舎に帰省していた
とても酔う ....
苦しいときに祈るちから
それがまだあるぼくは
まだまだ大丈夫だろう
苦しいときに祈るちから
それがまだあるうちは
まだまだぼくは大丈夫だ
DNAのように
他者と融和してやろう
愛の実 ....
銀紙をくしゃくしゃに丸めたあとで
拡げたみたい
海面で瞬く無数のさざ波が
煩い
雲から
スポットライトが注ぐ
見えるはずないステージが
現れ
翳む
ぼやける
ぶれる
沈み ....
雪解けの時を待った
土を食べたくて
小さなシャベル片手に
まっすぐ真白い粉塊の一点めがけ
(吸い込まれる)
くらいに感じてくれたらいいな
そんな気持ちの柔らかさで
....
限りなく明日に近づけば
今になる
だから、僕らは夢をみるの
看取りは二晩続く。
その二晩が終われば二日お休み。そのあとは三日間通常の勤務。そしてまた看取りだった。
看取り二日目の日はいつも息子は老人ホームで遊んだ。
すっかり人気者だね、
....
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