あまがみのはずが致命傷
悲しさと寂しさは
似ているようで違う
悲しさには少し
怒りの気配があり
寂しさには少し
温もりの気配がある
楽しさと嬉しさは
似ているようで違う
楽しさには少し
短さを感じ
嬉 ....
雨上がりの朝 音楽会は終わり あたりは拍手のように光っていた
──終演
濡れた落ち葉は閉じられた楽譜 土に還る日を待つのだろう
──静謐
鳥は何の疑問もなく冬へと向かう ....
キミのことが大好きです。
大好きなんです、どうしょうもなく。
そんなキミを、守りたいって
僕はいつしか思うようなったんだ。
そして
キミを守ることができ ....
どこかのBarには
探偵がいるのかもしれないが
俺たちのBarには詩人がいる!
唄うたいもいる。
Barには
たくさん
いい奴らがいる。
夢を描 ....
口に含んだルビーを
少し、見せて
彼女は深い眠りへと向かった。
天蓋から垂れたベールの外に立ち尽くし、
私は窓から夜を見る。
月はあった。
もはや天体の月までもが、
彼女の言うま ....
夜に、バレエのおけいこから帰る道で、
もうすぐ家につくというとき、
住宅街の隅で、若草色のネグリジェを着た女の人が猫と喋っていた。
ふたりは向かい合って楽しそうで、とても、きれいだった。
車の ....
薔薇が青ざめている
あなたがいても あなたが淋しいと淋しい
癒してくれる。
助けてくれる。
理解してくれる。
会ってくれる。
世の中を光り輝くものに
してくれる。
勇気をくれる。
生きる希望を与えてくれる。
自分に自信を与え
その気に ....
ゼンマイ仕掛けの時間は
古い鳩時計みたいに装飾されてさ
彼女だって珍しくつけまつげをしてる
僕はピンクのカーテンの裏側は何色か考えてる
演奏者の孤独と陶酔
空から蜘蛛が降りてくるなん ....
流れ着いたころにはなかった公園
なかったベンチもすっかり馴染み
時を重ねている
けれど経つことない
思いは今日もため息に
変わり移ろいを 笑い飛ばしたいのに
過ぎた写真機を懐いて 佇むばか ....
人の心に耳を澄ませた金曜日
聞こえてくる様々な声に
目頭が熱くなった
人の声に耳を塞いだ土曜日
何度も繰り返した同じ言葉
口にだしてしまえば、泣いてしまいそうで
唇をぎゅっと噛みし ....
夕方は落ち込んでいたけど
救いの電話が来た。
皆に嫌われているのかな?と言ったら。
たまたま都合が悪かっただけさ。と言ってくれた。
今夜はご機嫌
明日はポッキーの日
そして介護の日
....
わたし時間です
あなたの時間です
わたしはあなたの中にいます
だから
わたしとあなたは同じです
わたし時間です
似ていますが痴漢ではありません
でもあなたはわたしがうとうとしていると ....
花に吹かれ風が揺れている
駐車場に停まった
車の助手席から眺める
スーパーの硝子の向こうで
ベビーカーを押しながら
おむつを買っている、妻の姿
長い間、出逢わなかった
二つの道が一つになっている
....
文句が有るなら言ってみろいいえ別にありません
お前の態度が気に食わない文句があるなら言ってみろ
いいえ今日は用事があるのでライン長様に文句なんて
我慢だ、足軽社員は我慢が命と心の叫び ....
夜の塊をそっと口に入れた
あなたは
シャーベットのように崩れて
記憶の澱のなかへ消えていく
寂しさはない
永遠が凝視する
無辜の表徴
絶え間なく壊れていく〈無 ....
「この声を」
木の若芽
毎晩の眠りを
和やかな瞑想と等しくさせたい
かろやかになって
秋から冬へ
いのちと宇宙の調和を守りたい
わたしだけしか ....
息をむりやりとめてみたら
あばれるんだ
なかにだれかいるの
なかにだれかいるの
僕はおさえつけようとした
だけど
ものすごい力
ものすごい力
ものすごい力
だれ?
だれなの?
....
きみのことばは
秋の冷たい雨のようだね
仄かな愛の燃えかすを
ひとつ ひとつ 丁寧に
つまむように消して行く
夏の陽射しに彩られた
一輪の記憶が今しがた
明け ....
捨てる神あれば
拾う神あり
命を拾われた
一人だったら
死んでいた。
皆よってたかって
励ましてくれて
会ってくれる。
見ず知らずの人を誘ってくれた。
皆ネットの人だ
一人 ....
ぼくにだれかが運を運んでくる
だれかとは
人かも知れないし
鳥かも知れない
石かも知れないし
木かも知れない
なんであろうと構わない
運とは
なにものか ....
玄関の前で鍵を開けようと
ポケットを探っていたら
いきなり足元の落ち葉が舞い上がった
予測していなかったので
わたしはすごく驚いた!
よく見ると
それは一羽の蛾だった
木の葉によく ....
さしだされた 日差しに
両手を広げ
思い出を 手放す
記憶にない私の産着
世紀を飛び越えて 目の前にある紋付袴
晒された金襴の帯 鯨尺の和裁版
沈没しても浮上する船箪笥 ....
家にどうしてもチューニングのあわないギターがあって
まあ中古のフェンダーステージキャスターというやつのアンプ内臓ミニギター
先輩のショーさんにきいたら直すとけっこうかかるんじゃないって答え
....
自分探しの旅100年目
ナナメだろうと
まっすぐ生きたい
まっすぐ行くが理想です
ぶつかりながら
転がりながら
みえない方まですすんでゆく
きこえないけど
確かにひとりじゃない地球で
わたしのなかに泣き女が棲んでいる
彼女はただ静寂なかなしみだけの世界にいる
声も持たずに泣いている
泣くという行為が彼女の全てであるように
花よ、咲くなと泣いている
花が、咲いたと泣いている ....
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