すべてのおすすめ
あなたの黒い長い髪がうたうたび
わたしの胸はいちいちこまかく傷つきました

海岸のガラスみたいになめらかにちいさくなっていくわたしを
拾いあげて陽に透かして
その美しい呼吸を一瞬でも止め ....
角度、模様、ゆれかた
1日ごとに忘れること
空をさす指にのる爪が
いちいちあたらしく光っている
赤や白や茶に落ちついた傷あとや
庭のれんがが古びていくこと
角がまるくなったノートを
 ....
真実ばかりの積み木は ゆっくりと嘘になる
やさしいばかりの囁きは やがて毒になる
嘘ばかりの言葉が 思い出のすべてになる


時間をかけて選んできたわたしの体が
あなたの嘘のおかげで
 ....
花ちゃんの
あたまはしめって
血みたいな味がした
手のひらはかわいて
すこし皮が むけてた

それからふるえるように息をしたら
世界は
ささやかなその体のぶん
のびを した
 ....
ふるい扉は頑丈で
坂みちをふさいでいる
その手前で三角にすわって
少し音をきいていた

あかぐろい、(でもやさしい)
まるい(でもつよい)、
おおきな、あかるい、時折白い、
響いて ....
退院の日は花冷えがした。うちにかえってきたら隣家の夫婦がやってきて、それから、いとしい宝籤は(宝籤は母と父が飼っている黒い犬だ)、尻尾を―先端だけがほんのわずかに白い尻尾―ちぎれそうに振って鳴いて .... あなたはいちども
わたしを愛さなかったけど
あの
朝とも夜ともつかない暗がりに
わたしともあなたともつかなくなったどろどろに
手を抜いたこともなかった

かわいそうに
いつまでも
 ....
こわくない
冬なので
こわくない
ビタミン剤あるから
ぜんぜんこわくない

花柄の靴したを
いつもばかにされても
構わないで履きつづけていた
ななちゃんは9歳だったのに
勇敢だ ....
夫の恋人はわたしよりすこし背がたかくて聡明な肌をしている
恋人の妻はアイロンがけがうまい それしか知らない
鳩も恋をするんだろうか
箪笥や窓枠も恋をするのかな
わたしの目はどうして
いつ ....
音は雪に食べられてしまい
部屋は
かえって生きものの息づかいでみちている

台所の戸棚のなかで
じゃがいもの芽が伸びてゆく
張りつめた胸の皮膚のしたを
薄くなった血がめぐっている

 ....
あなたがむかし
わたしにつけた縄を
こんどはわたしが
あのひとに結びます

雪は屋根のうえでだらしなくなって
白がすこし疲れたようす

毎朝 沸騰する
わたしの身体を知らないでし ....
夜中
息をひそめて
折りたたんだ気持をひろげていく
広げきったら折りたたみ
わたしが
きのうのまま
朝を迎える
1000日まえに
あなたがはじいた額のうぶ毛が
わたしの下腹であわい振動となって
いまではすっかり花のよう

つぼみとも種ともつかぬ時間が
おいしい毒になって
いつかあなたにも届くと ....
夜に
徐々に黒は
春に犯されている
そうと知りながら
花を賛美した
泣いているひとを知りながら

眠たい酒樽たちに
よごれた指を一本ずつ沈めていく
抱きしめてなおやさしいために
 ....
ほしかった
ものをまえに
気持をうしないそうで
驚いている

驚いている
わたしがわたしを
うしないそうで

ねむりなよ
あなたが
言うものだから
泣くよりさきに
ほほえ ....
ひとを好きになって
はずかしかった
目も口も鼻も手足も
はずかしかった
話すことも黙ることも
さわってもさわられても
泣きたかった
赤くて青くて
欲しかった
あふれるまぎわの気持 ....
よごれて
あなたは笑っていた
ちかちかする電灯をつけて
陽気な詩を読んでいた

「星がながれるころ」、
歌いだしたとき
詩だと思っていた

(    )を忘れたい
ほとんど白い ....
ここがどこかわからなくなってしまう
眠っていたわけでもないのに
あなたはわたしと太陽のあいだにたつので
そうか、いつも
ちょうどまぶしい
とにかく熊は
とてもつかれて
泳ぎはじめた川の途中で
夢をみることにした
川を渡りきる夢を
熊は

夕やみは
あ と言うまに夜へ伸びて
人びとを愛へ仕向けます
 ....
夜はごうごう
手足はしろく
わたしを売って
あなたを買おう

頭のないロボットが
あざやかなシュートを放つ
鍛えぬかれた一秒が
光ることなく埋葬された
どうして鏡には
こんなに知らないような女ばかりうつるのだろう
手垢のついた壁にかこまれて
言いたいことがある、と
思っていた
そればかりを覚えている
冷えた砂漠になげだされた夜だ

 ....
雪は降らなくていい
長い詩もいらない
部屋には
湯沸かし器があればいい

わたしは臆病すぎるだろうか
ねえわたしたちは
なんて滑稽なかたちをしているのだろう
あなたはそれから日記を書かなくなって、たぶん唇はかわいている。
テレビは消音のまま点けっぱなしになっているから、部屋のなかの光と音のバランスは悪い。視覚的な喧噪と、それを拒否する沈黙。でもカーテ ....
愛しているといった
あなたの名前をしらない

いったこともない外国の街の名を知っている
冬は雨ばかり降るということも
あなたがそこでどんなふうに目を細めるかも

嘘をつかないあなたが ....
寝息もかたちを持つ生々しい夜に
生きていることははずかしかった
熱と湿りを帯びるからだが
その振動や重みが

やがて夜の裾がめくれはじめ
青と赤が互いを超える
はじまりとおわりを混ぜ ....
男はそれからかなしいくらいに震えて灯りをけした。
蝶々はどこで死ぬのだろう
鳥の眠りは浅いそうだ
凍りついたまばたきに春が来ないことはわかっていたが
それでも男はここにいたかった
みんな眠ってしまった
わたしは静かな夜を履いて
よく乾いた死骸をひろいあつめる
時間、音、大型ラジオ
そういうものたちを

きっとある
この夜の留め具になる死骸が
みればすぐに ....
朝は鞄の金具ががちゃがちゃ鳴ってやってくる
冬眠したい放し飼いの蝶蝶

いつのまにか朝をしなくてもよくなった
ただ露をながめ
ひやりを舐める
ついきのうまで往来を洗う私だったのが
い ....
ことし一番の冷え込みでした、と滑舌のわるい男が喋っている。昨日と明日の気温や服装について話つづける。雲が、保存のわるい油絵みたいにばりばりにひびわれてそこから橙色がのぞいていて、電気を点けていない .... はずれるとき
音はただしい

はじめからはずれていた
輪は閉じていた
幾たびもはずれながら
いちいち動じている
しかしながら
はずれるとき
あきらめはもう終わっている

そし ....
まーつんさんのはるなさんおすすめリスト(426)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
海岸- はるな自由詩814-5-16
すてき- はるな自由詩714-5-14
ゆっくりと嘘になる- はるな自由詩514-5-8
花のこと- はるな自由詩514-5-5
助走、逆流- はるな自由詩714-4-26
満足- はるな散文(批評 ...514-4-23
まほう- はるな自由詩414-2-20
障子紙- はるな自由詩1014-2-18
箪笥や窓枠- はるな自由詩514-2-16
じゃがいも- はるな自由詩12+14-2-15
- はるな自由詩814-2-14
- はるな自由詩814-2-13
振動- はるな自由詩514-2-11
酒樽たち- はるな自由詩414-2-11
ねむりなよ- はるな自由詩714-1-29
まぎわ- はるな自由詩814-1-22
陽気さ- はるな自由詩914-1-13
ちょうどまぶしい- はるな自由詩714-1-7
とにかく熊はとてもつかれて- はるな自由詩1113-12-27
テレビ- はるな自由詩913-12-21
砂漠- はるな自由詩313-12-19
湯沸かし器- はるな自由詩613-12-18
百年の鳥- はるな自由詩1113-12-6
すばらしい嘘- はるな自由詩613-12-4
絵筆- はるな自由詩913-12-1
物語B- はるな自由詩413-11-23
夜の金具- はるな自由詩713-11-20
朝の金具- はるな自由詩613-11-19
静かにしている- はるな散文(批評 ...313-11-14
はずれる- はるな自由詩513-11-13

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する