すべてのおすすめ
夕暮の美しい街に居て
かるい目まいと茫洋
健やかに汚れた指
埃くさい夢
磨かれて 傷だらけの
幸福は紙の羽
完璧に白く優しくて
風が吹くほど良く燃える
黄色い布張りの表紙のノートは母が買ってくれたもので、すらすら嘘を書くのにつかった。
三週間連続で書きこんだり、7ヶ月間開きもしなかったりしながらで13年経ったのだ。時間と手垢で沈んだ黄色。
ず ....
日々の傾き
わたしたちは
あかくなる木々にもおびえて
言葉のすき間に
場所をもとめた
磨りがらすのように
ざらついた気持で
いっさい誰のものにもならない
なにひとつ手にもたない ....
おはようと さよならと
犬の鳴きごえ 耳の色
右手のかたち 指のおと
この世界を忘れるために
規則ただしく生活をして
この世界を忘れるために
夢中で愛や夢をして
おはようと さよ ....
輪郭のない夜がわたしたちを丸ごと置き去り
白紙のうえで迎える今日
枕に触れ 頬に触れ 壁紙に触れ プラスチックに触れ
でもこの世界に触れることができない
淋しさがわたしの中にあるのか
....
あなたがいると、
世界は
星くずみたいになるから、
右や 左や
上や 下はなくなって
きらきらざくざく溢れゆく波になって
みんな 傷まみれで
ひかって、
転ぶみたいに流れて ....
10月はさびしい。コーヒーカップにのこるしま模様、イヤフォンごしの喧騒、チェックのスカート、ブーツ、冷えゆく空気をおし返す陽射し。猫たち、痩せて、鳴いてもよわい。指輪を磨くシート、洗剤とシャンプー ....
男の子が砂漠に沈んでいく
女の子も砂漠に沈んでいく
女の子にみえる男の子も沈んでいく
男の子にみえる女の子も沈んでいく
背の高いひとが沈んでいく
背の低いひとも沈んでいく
痩せているひ ....
つめたい身体をおしあてて
かたちを図ろうとしている
空白 不在 「想像上の」
まるで動く点みたいやな
ひとつの過去もゆるせない身体って
そうでないもの を積み上げて
それを見つ ....
物語たちはことばのうしろですでに出来あがっている。辛抱づよく待っていてくれるのだ。それはつよくてさびしくてやさしい。
みどり色のオアシスのうえに花を作っていく。わたしの指は傷傷して汚れて、それは ....
うつる
ゆめみたいな空に
かわいたお皿
ながれおちる今日と今日と今日
耳たぶのかたさのパン
うそをついてやり過ごした
好きなくつ下をはいても
気持は汚れていて
みあげてもみさげ ....
ゆれながら
ふれると
濡れる
てのひらがあついことは
天使みたいに
すばらしい
朝がきて
夜がきて
また朝がきて
夜がきて
鳥がとんでいく
名前をよばれる
ふり ....
素麺と豚肉と茄子の煮たのと味噌汁ととまとと胡瓜と梅干しとご飯と納豆とひき肉冬瓜と青菜の浸しをたべたら作り置きの惣菜がもうないから卵を焼いて豆をもどして、もどしてるあいだに卵はたべてしまうしもう一度 ....
あなたの
爪をきってやるの
忘れていた
過去がひとつづきだと
まるで信じがたい
新品の朝
お湯はいつもどおり
湧くけれども
忘れながら
愛すと決めたのに
髪は伸びる ....
世界は暑くなりすぎだね。っていうあなたの涼やかさ。シャツのなかに風を飼ってるみたいで良い。
そうだねってわたしは言うけど汗でべたべたになった手がすべってつかまってられない。わたしは季節をすべりお ....
わたしがあなたに触れるとき
十のマイナス何十乗秒前のあなたを認識しながら
触れているのは何秒前のあなただろう
あなたがわたしの声を聞くとき
あなたに流れるのはいったい何秒前のわたしですか
....
ため息はこぼれるまえにのみ込まれ
地下鉄の風はまぼろしを吸い込んでしまう
それはここにあるのに
なぜ世界をみようともしないの?
スープ皿のふちにしがみついている言葉
噛み砕いておいてはき ....
あらゆるものの無価値が
ふくらみながら、ビルをなぎたおして
湖や、きれいなもの、意味や無意味は、まざり
まざったあとで、ちいさな
穴になって 穴は、
頑丈な瓶につめられて
コンビニでう ....
2番目の
ドアをあけると空だった
367番目のドアには
夜明けがはいってた
だんだんちからが抜けていく
この世界にいてもいいとわかったのは
だんだんわたしがいなくなってきたからだ
....
みんな炭酸
ぷちぷち空気にまざる
月曜にあけたサイダーが
木曜には甘い水になって
やすらかに
わたしたちは消えていく
みんな炭酸
あの時 波が引いたとき
おびえたのは僕のほうだった
数をかぞえる臆病な胸のうちを
たぶんきみは知っていて
知りながら笑うきみを僕も知っていた
足元の砂が削れながら濁っていく
老 ....
青い少年が
指をもって
噴水をみている
歌おうとして
泣いたり
描こうとして
折れたり
飛ぼうとして 揺れたり しながら
わたしたちは
このまちの
記憶として
忘れら ....
夏の日十時
海を干上げるほどの無関心が
ここではビルにあくびをさせ
むつかしい言葉はまぶたをすべっていく
回転するただしさ
紐をつけた恋人
合わない靴
ささやかな不安が集積さ ....
朝は熟れていても清潔で、新聞紙のにおいがします。
(瓶詰の海に日をあててから手を洗う)
することはたくさんあります、
洗剤をあわ立てたりほこりを集めたり、
出かけっぱなしのくつ下をペアにし ....
心は曖いちいさな海で
寄せては返したがっている
愛してない
(あなたを愛していない)
それが白いブイのように
波間に泡立ちながら
にぶく 在る
めらめら壁が
燃えているというのに
くまたちは眠っている
5月も天辺間近
夕暮れも薄く伸びて
暑すぎる夕暮に草いきれ
もう
答えがでる
くまよ
燃えつきる壁よ
わたしは ....
トースト色の
にじんだ夕日も
まえがみがじゃまでみえないな
わたしは大好きな
ベランダやコンクリートやビルを
捨てようとおもいました
海岸(および波打ちぎわ)も
コーヒースタ ....
むすめに小花柄のワンピースを着せたので、自分は紺色の格子のワンピースを着る。ふくらはぎまで裾のあるざらっとした生地の。雨は降ったりやんだりする。
「びしょびしょになってもいーんだよね」ってむすめ ....
くちづけは乾いていて
忘れたころに香る
五月の庭は騒がしく潤み
ひらくたび
こまかく傷ついていく手のひらで
世界を泳いでいる
まだ知らない
なにも知らない
溺れるように街を掻き ....
今世めちゃがんばるから来世はきれいな亀の甲羅になりたいな
かみさまよ
いない世界の数合わせさせられて
伸ばした髪がせんぶ枝毛
責任とってよと言いたいとこですけど
指が5本ずつあるのとか
....
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