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みどりを選ぶつもりが赤い服を着ている
たいていは朝がくるまで眠りにつけず
日を高くしてまぶたが垂れる
走ってゆくつもりが
いまだにはだしを気にしてかくれている
さまざまのいきぐるしさ ....
どんなふうにしてか
わからないがそれほど悪くない朝
カーテンがわずかにめくれている
白線をたどるように一日を思い描く
そして、
あなたのことをもうそれほど好きではない
それは意外なほど ....
そうしてわたしたちは眠りについた
朝、
無遠慮にかたちを引きずりだす光にまみれながら
疲れきって でも
ほっとして
役目を終えた靴のように萎びて
ひとつも
うまく言えない気持のする
2月
ぼうと立ったまま
こころのなかで
頁を繰って
見つけます
いとしいかわいいやつら
あなたはもうあなたになりましたか
森の手前でと ....
飛ぶときに必要なものがあるとすれば決心ではなくて、飛んでいる「当然」なのだと思う。決心なんて、どれほどもろくて役に立たない(でもそれなりに美しい)だろう。
娘が壁に手を置いて、しゃんと背をのばし立つ ....
許されて溢した水の それ以上逃げようもない泡の内側
群れからはずれた ひつじがいっぴき
光に打たれて たっている
かなしいでも
誇らしいでもなく
ひつじがひとり たっている
まるく くらい 影をおとして
ひかりがひつじを 打っている
....
だんだんと
忘れたように
白くなる手足をして
朝 晩 かまわず
ひとを待つのは
あさましいことと思いながら
紙のような心に
置いた石ひとつ
どうにも平べったくて
転がることも ....
朝で、
きみの床に光が当たっている。
しずかな街は
すこしずつ意味を手ばなして
もうすぐ、見られるようになる。
わたしたちの床にも
光の当たるところを、見られるようになる。
....
明日がすぐそこまで来ている
ので
逃げるために意味を吐きだした
4種類の喧騒がもやもや迫ってくる
息は吐くそばから冷えて
凍った頬をもっとかたくした
ちっともこわくなかったよ
死ぬことも生きることも
きみがいないことに比べれば
愛をまに受けて 焼けていく
わたしをみて
かける言葉がなんにしろ
それさえも まに受けてしまう
見える ほとんどすべてのものは 焼け
ドーナッツの穴だけが
残った
猫の寝息は
眠りの根
夜もよろめく四つ脚お化け
可愛い蛙は冠おろし
月をまるめてまたあした
雨樋は 壊れているので
わたしたちは
きちんと運ばれることができません
愛してさえいれば
正しくなくても
許されると思っていた
傲慢でも
思っていた
ひとつも本当でなく ....
おおきな鉄の
かばんは
おもい
かばんのなかには
かばんのかたちの
空間が
ひとつはいって
いる
よってたかって
見つめられた
少女や
きれいに
彫られた蝶などが
ま ....
もうそろそろ忘れそうだ
ビールみたいな笑いかた
肌をとおして香る骨
影の落ちる鎖骨の深さ
忘れそうだ
わたしが
どうしてあんなにかなしかったか
夜で、道は乾いている。
わたしたちは不足のないつめたさを、それでもまだ足りないと言いながら
物語を探している
足のない椅子とか、
黒鍵だけのピアノとか
白鳥の子でも、アヒルの子でもない、 ....
右手を動かして
左手を動かして
心を動かさない
息をしている
つめたい夜だ
わたしがいて
あなたがいない
壁のない部屋で
月はかたまる
つめたい夜だ
身体を横たえて
....
陽当たりがいくら良くても 部屋は部屋 風は吹かぬがあなたもいない
いいですいいです
と呟きながら
倒れている銀杏の大木
おまえ実るからだでありながら
どうしてこんなにくらいのか
それともひとりで
わからないのか
いいですいいです
いまや叫ぶほ ....
人びとは皆んな なにをするにも
疲れすぎていてだめだった
それに靴も濡れていたし
眠るのにだって
明かりは必要だ
けれどもあんまり疲れていたので
それだって上手く言えそうになかった ....
海
からくて わたれない
いつだったかな
甘い水をくれたひとが
笑って
わたしはいちど干上がって
それから
きちんと塩からく満たされた
海は
あれから
ますます青いよ
あんまりつよく抱かれたもので
そこだけ空間が色づいています
さわってみると、
わずかにわずかに
抉れています
夕暮れは欠落を得ていっそう華やぎ
わたしは
わたしは、
いったいど ....
抱擁はつよい風のようで
いろも匂いもなかったが
ばさばさと通りすぎていったあとには
たくさん 散っていたので
あなたが来たのだな と
ようやっと理解します
理解します
したくもな ....
好きにえらんだ器を塗って
まちは
いつも白絵具不足
わたしはわたしを傷つけるかわりに着飾っています
なにをそんなに
もともと予定のある命ではないし
分裂し続けるパズルのピース
はめて ....
そこだけ汚れたようなうす白い虹
びらびらと光る観覧車
遠くからかすかに水の匂い
得たものと失ったもの
欲しかったかどうかも もうわからないもの
ああふれたところから順に濁っていきます
....
ひかりの群れが 影を従えている
誰か にならずに生きていくのはしんどいでしょう
影のなかの 一点ひかりは しみのようで
よほど穏やかな気持でなければ
綺麗とは言えないのよ
書きおえてはじめて
それが詩だと気づくように
死んでしまってからやっと
恋だったとわかる
いつもおそくて
墓を掘るのも一人きり
でもいいや、
塩の塔はきれいで
鳴らせるのははみだし ....
いつのまに窓があいたのだろう
生きものみたいに絡まった衣服を
わたしのものと、
あなたのものに
分けるときにはじめて
からだが千切れるように感じました
夜が明けて 君はまだ死んでいた
うそだ、と言いたかったが
先に君が言った
冗談じゃないわ と
夜が明けていた
部屋に沈澱する匂い
壁にしみこんだ囁き
クリーニング屋に
シ ....
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