もしも鳥だったら?
あたしゃ、きっとペンギンさ
灰色の空を見上げるだけのペンギンさ
おひさまに干されたふとんは
懐かしい匂いがする
平屋建ての木造家屋
屋根より高く育ったヒマワリ
リュウノヒゲにふちどられた細い通路
赤いバラのアーチでは
テントウムシがアブラムシを食べ ....
ウェルテルの背中が小さくなっていく
愛せなくなることに怯えて
幾度と無く人は追い求めて
人は空を捨てきれず
荒れ野の空を
靴も履かずに
裸足で駆け抜けて
心の空が
家族の溜息を ....
僕の冷蔵庫ではつぎつぎとものが腐ってゆく
賞味期限は半月前は当たり前野菜は黴としなびで
使い切れないぞ独身奇族
そこで整理もかねて古い野菜をかたっぱしから検閲し
余命少ないあるいはアンチエ ....
120801
走る速さは梅の花
なんじゃこりゃと
頭を上げてモモンガーが叫ぶから
蝙蝠の喩えだよと抗弁するのんびり屋の台風
ラジオから ....
雨上がりの
苔の上で眠る
あの幸せを
私はどうして手放してしまったのか
雨上がりの
苔の上で眠る
それをするには
私は大きくなりすぎてしまった
雨上がりの
苔の上で眠る
極 ....
こわれたラジオの部品とか
いろんなガラクタくっ付けて
こさえたぼくの宇宙船
飛ばないことは百も承知さ
けれども心は飛んで行く
誰も知らない惑星へ
わたしたちは飽きもせず
あちらこちら ....
あなたへ直線をひけないので
円をかく
今日も円をかく
ちりとりのゴミを玄関の外に捨てると
蝉が羽化に失敗して 転がっている
またか
この時期 たまに見る
壁によじ登っては 落ちる 蝉 とんぼ
ぐちゃぐちゃに柔らかくて 体に触れない
死 ....
{画像=120729111956.jpg}
夏の朝は
牡蠣殻がプッと息を吐き
bulletが恋しい季節です
秋には死んでいるだろう
冬には死んでいるだろう
夏の朝は
牡蠣 ....
(月曜日)
案内板にうかびあがる
現在地
朱い
☆型
ルーツ
(火曜日)
水母をブイに
海図がうごく
あげるよ
権利証書の見返りに名づけた
「どこ ....
蔓延っている
筒抜けている
燻ぶっている
こりゃ正に混迷
{ルビ捩=もじ}ったトラウマ
ひん曲げた童心
格式高いサイレンス
そりゃ実に滑稽
結構結構コケコッコー
愛憎ジレ ....
迷い子は大人になってもさまようんだ
深い森はいったんはいっちゃうとでれないよ
ここにいるよ発信するあたしのこえ誰かひろってよ
そんなことばかりいってる気がする
一番知りたい答えってない ....
ぼくも夏毛になりましたって そんなアホな
暑中お見舞い申し上げます たま
雨の日はほら
また寝ぐせがついてる犬のひげにアイロン だめかしら
どしゃぶりの雨の中しつこく猫をさがす犬 ....
重ね重ねの紺碧の この空に
投げかける吐息を
最盛期の第二四季が
情熱をも越える強靭の風が
運んでゆく
重ね重ねの夜空の色をも 飲み込む
この空に
情熱を ....
小さな子供のやわらかな髪を
指でやさしく梳かすように
風は愛撫する
幼いころから見慣れている
名も知らぬ野の草花を
市営住宅が建ち並ぶ
隙間の小さな芝生の上
心地良さげに ....
ヴェイロンにぶつけて変な汗拭う
戻り梅雨エーマイナーのアルペジオ
花魁の廓詞や冷やし酒
ポン酢だけ持って烏賊釣り参加する
黒猫が見つめる先に熱帯魚
バスを待つ時間 ....
静けさと口がさみしくて
少しかじったリップクリーム
溶け出して滲む真夏日の視界に
飲み込めない青さを吐きだした
「何とかやっているから」
なんて
見えない嘘なら笑っ ....
叫んだ声も消えてしまう
そんな深い夜の日は
グラス片手に夜明けをじっと待つ
うちの孤高の戦士はいまベランダでひなたぼっこ
あえて妄想中とは言いますまい
ときどきかれの誇り高きぶた猫の本能が
のねずみやのうさぎの後姿をおもいだすのかもしれない
それとも昔の彼女の寝姿か
....
子どもの頃
夏になると
庭に母がとうもろこしを植えた
毎日水やりをするのは
弟と私の仕事だった
「これ、なんていうとうもろこしか知ってる?」
「とうもろこしに名前なんてあるの、おねえち ....
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曇り空が雨になった
今日も外はたっぷりの湿気と
喉を締め付ける暑さだ
雨滴が大きくなって硝子を叩く
雫が流れていく
交差点は水煙 ....
読みつかれて ふと
雨音に包まれて
物思いに耽る蛙と
草むらに潜む
文庫の中は
土砂降りの文字
連なり意味成し物語り
意識下に滲み濾過されて
何を読みたいわけでもなく
....
何かどこかが
足りてない
届かぬ叫び
訪れぬ結び
繋がる縁
切れる縁のあるがまま
物語りの終わりは
うすい空気の中
この淡々とした
景色に溶けて
夢の残 ....
夏を待つ間
透明な
ガラスのコップに
冷たい水を注ぐ
満ちていく
満たされていく
透明な入れ物に
透明の中身で
夏が来る頃
どこからともなく
水滴が現われて
コップの魂を ....
うつが季節に負けそう
刺激を感じないのがカルチャーショック
昨日使わなれなかったモノに
何度トライしてもできなかったから
きれいに捨てるのってつれない
思うからできないのなら
「ロスト ....
夏なのに雪を恋しがる
あなたの顔がちらつく
思いっきり好きだと言い残したのは
ずいぶん昔の話だ
ぷよぴよした二の腕はもう恋愛など縁遠い
夏だとゆうのに海がにあわない女だな ....
眩い 暗い 世界で
僕はひとりぼっち
山鳩は朝を告げるのをやめ
向日葵は俯いている
何を信じればいいのか
自分すら曖昧だというのに
逃げだしてきた丘には
花に集う ....
少年は飛んで行った
アスファルトの空に向かって
自由が欲しかった この世は生ける監獄
少年が泣き叫んだ時
世界は耳をふさいだ 目を閉ざした
口をつぐんだ そして今
彼が手の届かないとこ ....
赤い雲が青空に溶けていく
さなぎの上に 初めて羽をひろげる鬼ヤンマ
透明な四枚の羽と 複眼に陽が射す
洗濯ものを 外に干す
水辺の近くに立つ 銀の洗濯棒が光を集める
風波をかぶる池の石 ....
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