電柱の根元にひそやかに咲くタンポポ
青い花びらをもった小さな野草が囲って
これは偶然の可愛さだねって
足取り軽く僕はマンションの鉄柵に指を滑らせた
しかめっ面の若いOLと何ともなく ....
愛は短命
嘆いた日々も
地平を巡り
海へと消える
私は私
彼の時も越え
季節を巡り
未だ此処に居る
春に始まり
夏に深まり
秋に交わり
冬に離れる
何処に愁うも
....
ゆうこちゃんは元ヤンキー
スイングドアどっかん
カートでつき破って
おっはよー
おぉ今日も元気いっぱいで品出し
野菜売り場へ突撃だ
ゆうこちゃんにはカボチャ割る鉈
....
ヴィンテージギターを手にいれたが
一万円と格安のヤマハFG-130という
1972-74あたりに製作されたもので状態もいいし
かなり響きが良く豊かに音がでる
男はそういったおもちゃを幾つに ....
夜に積み上げられた箱階段が
複製を繰り返す(発芽)
その上を
じゃばらの形に折れ曲がりながら
わたしの影が長く伸びつつ登っていく
星々が裏声でささやきあっている(給水)
そうやって
....
移ろいにつき従うなら
時ではなく
私は風について行こう
それはいつも流れており
地上を巡り行くから
私は世界を旅するだろう
決して行き着く事なく旅するだろう
過去を嘆く事もなく
未来に ....
アパートの暗い階段を上って行くと
二階には嵌め殺しの窓があり
そこだけがまるで古い教会の天窓のよう
純粋に光だけを招き入れていた
迷い込んでいた一羽のすずめは
幼子の震える心臓のよう
....
質素の中の曼陀羅 血液の中は赤だけに止まらない
溢れ出す 吐き出す息に 染め上げる曼陀羅地図
辿れよ硬直に不動の直感
木漏れ日の隙間 紫外線の害を圏外に寄せ
高級の煌きの蓄積される ....
130305
名高い幻影城趾に佇んでは
古くさい携帯式の並四ラジオを鳴らしていた
城趾とは名ばかりの小高い丘は
松の疎林に囲まれて
がさごそと石ころを踏み ....
浮かれたうたで
浮かばれたい
めまいのする
メロディーライン
とても楽しい
青い空に
浮かばれたい
僕は君を救いた ....
生きる
乾いた空の木の枝は
去年と同じ姿をしている
彼らは信じて疑わない
この冬が
やがて春になることを
人はどうして姿かたちを変えるのだろうか
老いることは人も木も同じは ....
あんたの「いつか」は
あたいの「いつか」ぐらい
「いつか」だよね
マリアは涙を流している
階級のなみだ
金属製の胸には革命の歯車が
コチコチと廻る
フリッツラングの見たニューヨークは
セピア色の未来
摩天楼には愚かな文明がのさばって
素朴な世界 ....
――なんの欠如を
怖れているのか
踊りたいから踊るのだ
何が悪いか阿呆ども
元来人は踊るもの
踊って歌って
笑って泣いて
怒れるものが人なのだ
鳴 ....
二月生まれの四人の合同誕生会をした
九歳と三十二歳と三十六と九十七歳
九歳は私の娘
九十七歳は私がアメリカに来た当初とてもお世話になった人
三十二歳は九十七歳を通じて知り合った子
三 ....
てのひらにね
魔法なんかないけどね
少しおもいやりの芽がある
指先にね
ひかりなんてでないけどね
君のきもちがつたえるものがある
白い紙をみつめるふたりの
想いが いっぽんの線に ....
それは 真夜中の出来事だった
白いシーツにくるまった
私の鼓膜をくすぐる
乾いた漣の音
胸騒ぎが
私を揺り起こした
その音が響いてくるのは
....
いつもパズルばかり置いてゆく
今宵は ただ雨のそばで 宿りながら 解くのを止める
機能性に想いを寄せた ふかふかの布団 春色にまだ染めれない
仰向けに呼吸を睡眠体制に 海に浮く
クラゲ ....
わたしと云う うつわの中に
血のほかのものが
そうめんながしのようにさらわれながら
どこかへとするする向かっている
芯のある雪の根もとで
眠っているかと思いきや
ハマグリの部屋 ....
雪に埋もれたまま青く影を落とし
家々は俯き黙祷する
気まぐれにも陽が歩み寄れば
眩い反射が盲目への道標
抱擁されるまま
冷え切った頬が温もり
辺りに耳が開かれるころ
頭の後方 梢 ....
古いデパートの舞台裏、
職員用通路の片隅に、
忘れられかけた物置がある。
狭く、薄暗いその部屋には、
用済みになった小道具が。
埃をかぶったハンガー、
古い ....
過去にとらわれた方は、遠い目をしてはります
未来にとらわれた方も、遠い目をしてはります
そして現在にとらわれた方は、白昼夢をみてはります
親はいないのか
捨てられたのか
たかいのか
ふかいのか
風がきつい
まぶしい
今日の空
ひとのかたちで
風に捨てられて
おまえは
なんていう名の雲か
太郎か、次郎か
花子か、雪 ....
あなたの胸に、耳をつける。
はらはらと
降りつもる、ゆき。
さいげんなく現れる、ぶあつい雪片。
あなたにふれた手のひらが、やはらかく折り重なり
何層にもなってゐる。
ぼくのも、知らないひと ....
0次元
面積を持たない点は哀しくて
あられのようにパラパラと降りそそぐだろう
なんのうえに
1次元
線虫となった哀しみはのたうちまわって
それでも面積を持てない
2次元
....
遮光カーテンの向こう側に目を細める
変形した足 破れた皮膚
珈琲一杯
二杯目で手帳を開いた
洗濯機の回る音はリズミカルでB5ノートの白銀を走るペンも軽い、
ペンの走る音は ....
1月の曇天は、この田舎町に
たくさんの雪うさぎを放ちます。
最近は、昔ほどは多くはないけど
それでも今年も雪うさぎが放たれました。
雪うさぎたちは、放たれた ....
固く結んだ歴史の果て
柔らかな風を含んで君は花開く
大輪ではないが機知にとんだ
しっかりした花だ
空からやって来る言葉を迎えるために
僕らは産褥をしつらえねばならない
....
首が回らないのに
辛気臭いが被さったら
最悪
食えないカビの温床
なんとか上げ上げで脱出したら
足を引っ張る奴の
便利屋にはならないよ
いますけど。
陽があたれば途絶える命
....
光が次の
季節を連れてくる
風はそれを
押し戻そうとする
雨が次の
季節を置いていく
人はそれを
なかなか見つけ出せない
ひと雨ごとに
行きつ戻りつしながら
季節は摺り足で ....
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