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おとなになれなかったこどもは
おとなロボットに乗った
大きくて頑丈 パワーがあって
こどもには持てない武器をたくさん搭載していた
こうしておとなロボットは戦場へ出て行った
いったい誰がおとな ....
公園の駐車場に
もう長いこと車が放置されている
違反切符と張り紙だらけ
ミラーはとっくに割られている
今では雪に埋もれてかまくらだ
出はいりできない時間がそこにある

ワックスを効かせた ....
否応なしに冬に抱かれ

吐く息
ひんやり
あたたかく

生業の向こう
透かし見る

見知らぬ男が 女が
子どもたちが厚着して

光片の海を泳いで往く
わたしはもういない

 ....
生きあぐねては
バイオリン
青と黄色の夜泣きする
恨むなら
火の粉舞い
瞳の水面に沈み往く
夜露の匂い
あなたを紐解いた誰かが
咥えたままの台詞
植物たちの黄昏
古いグラビアに
 ....
尾鰭も背鰭もない者だから
スクラップブックから拾ってきました

この気怠さの海を泳ぐ
艶めかしい夏の生き物たちを横目に

白い爪痕も心地よい
日焼けした空をまる齧りにします

スイカ ....
風はその指先
山の緑を掻き分け
光の欠片のよう
白蛾の群れ舞い散って

橋から覗き込む
水音は涼しげに響き
燕が足下をくぐり抜ける
遠く切り取られた海が

傾いだ陽射しを溶かして
 ....
蟹は
前を向きながら横へ進むのか
横を向きながら前へ進むのか
蟹のからだの構造上
顔のある方が前だから
蟹は前を向きながら横へ進んでいるのだ
が しかし
蟹も何か目的を持って進んでいる
 ....
掘削船がやって来る
おれの堆積した泥土を掘り返す
脳だけクラゲの揺蕩いで
光の海に温む予定が台無しだ

  山の麓に猫女が住んでいるという
  噂の真相を求めて捜す者も多いらしい
  捜 ....
  

異国の少女の瞳のよう 青く澄み
だが雲はお構いなしに夢の中の鰐だ

純白に生れ落ち
気まぐれな冬の微笑みにほだされる
だが夜には冷たくあしらわれ 
朝には固く汚れた肢体を通りに ....
ある日 生まれて来て
わたしは泣いた
そして何かのきっかけで
わたしは笑うようになった
誰に教わることもなく

やがて
何かのきっかけで
わたしは少女と出会い
恋をしたのだ
誰に教 ....
 鳥と   誤謬
眼の無い 朔に咲く
 花師   項の

 謎紫   白く
八日とも 病み世に
 想い   魅せ


啞啞あなた彼方此方


    が

  揚 羽 が
 ....
詩人の方々
告白します
手元にある数十冊の詩集
八割以上は古本屋で買いました
おまけにほとんど百円コーナー
いくつかの本には裏表紙に
詩人のサインと送った相手の名前
生々しく痕跡本です
 ....
きょう美術館でシャガール展は観なかった

美しい青が踊り

悲しくなって微笑んだ

僕は僕の人生とミスマッチしている

一人の時にだけ呼吸する

奇妙な半魚人だ

夏に生まれな ....
太陽のしたり顔を避けて
君の水辺へ下って行きなさい
蜉蝣の翅のように影を透かしながら
夏の斧で頭を割られるその前に

美しく人目を避けながら
地下のカフェへ逃げ込みなさい
壁画を歩く蛇の ....
平和な殺戮は淡々と行われる
青臭い血の匂い 寡黙な絶叫
ゆるやかな風は心地良く運ぶ

住居を追われ逃げ惑う虫たち
ピンポイントで狙いを定める
鳥たちは戦闘ヘリ

うららかな陽射しの ....
ポプラが空を掴む
悲しみにざわめきながら
母の袖を引く幼子のように

風の指先がかき分ける
激しく 優しく
トランスする巨人たち

幾千万の囁き
言の葉は巻貝を廻る
古の涙から ....
風の愛撫に
はらり ほろり
八重桜が泣いた

すらり と知らん顔
真新しい翅を輝かせ
トンボは行ってしまう

墓地への細道
静かな午後

まだずっと若かったころ
感性は魚のよう ....
笛吹きケットルが壊れて
笛吹かずケットルになってしまった
笛を吹かない笛吹きケットルは使い難くて仕様がない
ケットルを買い変えようと思った矢先のこと
突然 笛吹かずケットルが言った

   ....
 し ご と を し の ぎ

  こ こ ろ こ か げ に

 み え ぬ わ き み ち 

  と き が と け だ し
 

 
美しく病んだ六月の背中で
僕らは夢か ....
時代に迎合したものは
腐食しやすい傾向がある
二十世紀以降は特に足が早い
あなたがガスオーブンを被り
光速ロケットに乗ったあの日から
世界は五十歳ほど老けた
だがあなたの詩は瞳のように ....
死に逝く間際
人は自らの人生を 遠く
心象風景として眺めると言う

ある者は石くれの丘に広がるぶどう畑を見た
長年の労苦のまだ見ぬ結実を眺望し
その芳香と甘さを味わうかのように
微笑みな ....
目玉焼きの黄身が箸から崩れ落ち
食卓からも外れて床に落ち
砕け散った
バラバラのきみを
拾い集めては捨て
床の汚れを拭い取る
そして再び橋に向い
目玉の白目だけを食べ終わると
味気ない ....
目の前のビルに
多くの人間がひしめき合い
忙しく動き回っている
皆同じような恰好をして
皆同じように倍速で囀りながら
男も女も激流のよう
そんな中に一人
着こなしの悪いのが右往左往
 ....
この夜の向こう

蒼白い悲しみに凪いだ街から

漂着した片言に縁どられ

幽かに像をなす空白

難破した夢

偽りという救命胴衣を着けずに

真実という黄金を抱いたまま

 ....
あなたの涙で溺れる
わたしは蟻
ちっぽけな男だ
慰める術もなく
船乗りみたいに沈んでゆく

あなたは太陽を恋い慕う
蒼く 潤んだ惑星
わたしはせいぜいその取り巻きだ
自分の像も保てや ....
雨編む朝は天邪鬼
いま忌む意味を遺書にして
嘘に倦んでは海に埋め
えにし選べず益を得ず
恩は怨へと惜しみなく

春は華やか白知の波乱
昼の日中に日照りの蛭か
古き深井戸腐の吹き溜ま ....
わたしは失格者
子供の頃は子供として失格
いまは大人として失格だ
夫として
父親として
男として失格なのだ
当然女としても
地獄に堕ちる者として失格
天国に入る者として失格
社会人と ....
老夫婦が
買い物袋を提げて
楽しそうに歩いて行く

幸せは案外地味な装いで
まだ冷たい風の中
首を竦めて待っているのかもしれない

知らん顔して
何度も通り過ぎて行った
それは自分 ....
真っ赤な林檎の皮をするり剥きますと
白く瑞々しい果肉が微かに息づいて
頬張れば甘く酸っぱく
口いっぱいに広がっては
心地良く渇きをいやしてくれるのです

そのおんなもまた
高い梢に輝いた ....
造られたのだ
望んだ訳でもなく
花の像に似せられて
花の代わりに飾られて
その美しさに比べられ

蔑まれては
やがて飽きられ捨てられる
色褪せても尚
枯れることも許されず
土に還る ....
灰泥軽茶さんのただのみきやさんおすすめリスト(103)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
おとなロボット- ただのみ ...自由詩23*15-5-30
放置車両- ただのみ ...自由詩17*15-1-24
心冬- ただのみ ...自由詩12*14-12-13
暗夜景- ただのみ ...自由詩20*14-9-17
夏の幽霊- ただのみ ...自由詩21*14-7-19
夏らしき日よ- ただのみ ...自由詩16*14-7-3
蟹と人- ただのみ ...自由詩16*14-2-21
黒い掘削船- ただのみ ...自由詩22*14-2-11
冬晴れの陰影- ただのみ ...自由詩22*14-2-2
誰に教わらずとも- ただのみ ...自由詩25*13-12-15
とりとめのない- ただのみ ...自由詩16*13-8-21
告白と言い訳- ただのみ ...自由詩24*13-8-11
きょう美術館で- ただのみ ...自由詩28*13-7-14
地下のカフェで- ただのみ ...自由詩24*13-7-10
草刈り考- ただのみ ...自由詩24*13-7-1
風と踊るもの- ただのみ ...自由詩19*13-6-26
墓地にて- ただのみ ...自由詩28*13-6-13
笛吹きケットル- ただのみ ...自由詩21*13-6-9
散策迷路- ただのみ ...自由詩19*13-6-5
プラスのイメージ- ただのみ ...自由詩18*13-5-25
叢の日- ただのみ ...自由詩22+*13-5-8
朝食- ただのみ ...自由詩20+*13-5-4
午前3時のあなた- ただのみ ...自由詩14*13-4-30
漂着物- ただのみ ...自由詩18*13-4-26
ちっぽけな男- ただのみ ...自由詩13*13-4-21
戯言/口元のゆがみ- ただのみ ...自由詩21*13-4-17
失格三昧- ただのみ ...自由詩20*13-4-12
気になる季節- ただのみ ...自由詩17*13-4-6
心の化石- ただのみ ...自由詩25*13-4-1
造花の詩- ただのみ ...自由詩24*13-3-28

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