縁切り神社に俺の名前を書いた絵馬 紫陽花やお色直しにたつ新婦 一般病室に引っ越して窓が明るい 忠犬に黒歴史を掘り返されている 蝉は喚いているのだろうか
虫に生まれたわが身を嘆き

いや むしろ
祈り続けているのだろうか
来世の至福を待ち望み
朝、昼、夜と、勤行を欠かさず
一心不乱に経文を唱えた
信心深い祖母の ....
宝籤はもうすぐ二歳になる。相変わらず尻尾の先をわずかに白く染めているかわいい黒犬。でも、もう自分の手足を持てあましたようなちぐはぐな動きは消えてしまった。暑い日、賢い番犬よろしくブロックのうえに身 .... 河の向こうにあるのは
向こう岸です
至極当然だけど、事実です
あなたは今、どちらの岸辺で詩を書いていますか
向こうですか
こちらですか
それとも、どちらだかわからないですか
一生懸命に書 ....
夜空が見せる死へ
立ち会えば
人は願いごとをするのだというけれど
想いに比べれば言葉はもどかしいだけで
現実にはそんな暇もないほど
許されている時間は
まるで人生のように短く
まばたきの ....
 ある少年がいた

 何処かに
 旅に出たくても

 そう簡単には
 身動きのならない
 身の上で

 金もないし
 健やかでもないし
 勇気もないし
 運もない

 ない ....
あれは炎だ
理由も道徳も求めない炎だ
まごうかたなき赤い炎だ

怖れを知らぬ
黒い鳥が炎を目指す

命とはそういうものだ

せめて美しい君を覚えていよう
たった一日でしぼんだ朝顔
 ....
八月。

私たちの街は。少し空気が、変わる。
街宣車が増える。黒塗りの車。
スピーカーから、流れるテープ。

ツーリストが増える。
大型バイクが空気を、揺らして。

外国人が、増える ....
レモンの青い葉の
そよそよささやくななめしたにある木陰が
独りの影に重なりつらなり
古い灰色の木製の椅子に座り
宙を見つめている無限に
くりかえされる喪失は
だれにも知られることはなく
 ....
女神の濡らした豊穣の大地が
一人の女性によって焼かれようとしている
陽炎は松明の炎となり
真昼の宴が裸の男を誘い催される
神々が降臨した幻
ひまわりは証として黄色で照らす
目覚めれば記憶の波から押し寄せるからと
まぶたには花びらのような匂い立つ手が
幾重にも重なりあって 私の瞳は閉ざされる
脳髄の薄皮を玉ねぎを擦って剥ぐように 
捲ってはならない
球 ....
飛ぶ
ということを手放して
風を作る
ということを手に入れた
君は無口なプロペラ

人間が涼む
猫が涼む
テーブルの上のうすい紙切れを
宙へ舞い上げる
いたづら

わたしに見え ....
雨が降ったあとだけ
わたしは
この世に生まれます

黒い空から
産み落とされたというのに
見上げれば
 ――おもいわずらうことなど最初からなかったように
 ――おもいわずらうことは誰で ....
ひと押し
ふた押し
み押しするたびに
深いところから
吸い上げられてくる
手応えがあって
ほとばしる
夏でも冷たい水、水、水

水という命を手に入れるために
用意された
一連の単 ....
小さな靴の愛おしさを
ときおりこうして取り出してみる
小さな足はもう消えてしまったけれど

バーゲンセールは年々前倒しにやってくる
梅雨が明けてもいないうち
夏服には割引の赤いタグがつけら ....
こんこんあんたはどこゆくおひと
日もくれ 野もかれ たびするおひと
げるげろ ふとっちょ ひきがえる
めそぽたみやあの 古池や

 ―――もっと もっとはげしく

おんおんあんたはなぜな ....
強過ぎる日ざしが
真上から
直接脳に突き刺さる
そよ風が
熱風に変わり
日傘を裏返しにしようと
襲ってくる

バッグからハンカチを取り出して
涙をぬぐう
何度立ち止まって
ハンカ ....
ピーマンだった朝
ごぼうと言われた昨日の昼
もやしっ子と中学時代揶揄され
これまで
土の匂いが抜けたことは一度もない
ハウスに移り住んだのは妹と義理の弟
僕は小さな畑の端っこで
売り ....
ちゅんとしか
啼けないでなく
ちゅんとしか
啼かない

くちばしの
下にある
君の発音器官が
そう決めたから

多くの言葉を持つ人は
たくさんの選択肢を持つけれど
ほんとうに伝 ....
地球から見えない場所で星になる 父の手をさする

硬く曲がったままの指を
一本ずつひろげ
滞ったものが
少しずつ流れていくように
強張ったものが
僅かにほぐれていくように

節くれだった
頑丈な父の手

鍬を ....
一片の未練もなく
人を切ることができるなら
こんな憂鬱な雨の中だって
やすやすと泳いで渡っていけそうだ

あなたは繊細だから、と
人にいわれた
それは褒め言葉ではなく
弱い人間だと露呈 ....
根を断ち切ろうとしたから
枯死しかけたのだ
根は父からの愛

古い蔓を伐ったから
新芽は萎れたのだ
古い蔓は母からの愛

依存することを嫌い
愛されることを拒んで

君は自分にな ....
とても
とほうもなくとても
すてきな小説を読んだ夜
手放してしまうのが惜しくて
胸のなかで
それを抱きしめつつ眠れば
冬由来のゼラチンは
純粋な水によって
隅々までふやけ

迎えた ....
僕の文法のSは君と僕
Vは生きることだ
訳もわからずOをもとめてさまよう
たまさか生まれる言葉でCを綴る

規則正しいものに反感を持ち
疑うことの正当性をつかもうとして
いつのまにか自分 ....
きつく、きつく、したら
壊れてしまうかもしれないね
って
胸のうちで微笑み合いながら
重なりあう

雪の
はずだった全ての飾りは
やわらかな音のなか
硬質な匂いの
一滴 ....
難しい顔しないで行けるはず向こう側まで
あくびしてればいつだって新鮮な空気があなたを
目が乾いたって涙を流せば元通りになるし
だから大丈夫です 涙を拭いてずっと向こうまで見渡せば

心配 ....
桐ヶ谷忍さんのおすすめリスト(614)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
縁切り神社に俺の名前を書いた絵馬- 北大路京 ...自由詩714-8-12
紫陽花やお色直しにたつ新婦- 北大路京 ...俳句314-8-11
一般病室に引っ越して窓が明るい- 北大路京 ...自由詩614-8-10
忠犬に黒歴史を掘り返されている- 北大路京 ...自由詩514-8-10
夏の歌- Lucy自由詩17*14-8-7
まなざしのこと- はるな散文(批評 ...514-8-7
河を渉る- たま自由詩21*14-8-6
一瞬一生- そらの珊 ...自由詩23*14-8-6
嘘つきの星のもとに- まーつん自由詩16*14-8-5
夕火の温度を僕は知らない- そらの珊 ...自由詩2614-8-2
八月のそらの夢- umineko自由詩15*14-8-2
レモン葬- こしごえ自由詩4*14-7-30
炎天- 乱太郎自由詩15*14-7-25
デリート、デリート、デリート、- 為平 澪自由詩4*14-7-19
やさしいプロペラ- そらの珊 ...自由詩28*14-7-10
水たまりのひとりごと_【詩サークル群青_六月の課題『水』への ...- そらの珊 ...自由詩15*14-7-8
古井戸__【詩サークル群青_六月の課題『水』への提出作品】- そらの珊 ...自由詩14*14-7-7
バーゲンセール- そらの珊 ...自由詩2014-7-3
てまりうた- 乾 加津 ...自由詩11+*14-6-28
熱風の街- Lucy自由詩21*14-6-27
野菜生活- 乱太郎自由詩23*14-6-25
はずれくじひいたみたいなすかすかのオレンジを憎んでみたりする ...- そらの珊 ...自由詩21+14-6-23
地球から見えない場所で星になる- 北大路京 ...自由詩914-6-18
父の手- Lucy自由詩22*14-6-17
【_愁雨_】- 泡沫恋歌自由詩19*14-6-17
クレマチス- Lucy自由詩1814-6-14
陰翳- そらの珊 ...自由詩2314-6-14
文法1- 梅昆布茶自由詩1114-6-14
極寒結晶- 千波 一 ...自由詩414-6-13
思い出が満開- hash自由詩114-6-13

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