山すそに嫁いで間もない頃は
会社から帰って玄関を開ける前に
そっと結婚指輪をみつめた
関所を越える前の通行手形
新姓と共に 自分で選んだ道
でも まったくなじみのない夫の家族達
ただいま  ....
ジグソーパズルの
欠けた1ピースが
見つからない

左目をなくした
モナリザが恨めしそうに
見上げている

完全であることに
恋焦がれる病が
再発したらしい

散らかった机 ....
望んでない炎
炎に{ルビ塗=まみ}れた稲わらが強引に{ルビ傾=かし}げる 
カーテン越しから囁く者たちは
そこから離れなさいと
ただ 唇を動かす

ありえない色
塗り替えられた あの土地 ....
俺の空は 曇り
明日も 明後日も 一週間後も 曇り
1ヵ月後も 1年後も 10年後も 曇り
雨も降らねば 日も差さず
予報士要らず

「いい加減に国民年金払ってくださいよ」
 ....
夕やみ歩く猫
のし
のし
人ごみと並んで歩いては
立ち止まり
都会が鼻歌まじりに風を歌うのを じっ と聞いている
夏はまだ長い
今日もずいぶんと蒸していて
建物からこぼれる冷気とごちゃ ....
今日に限って 折傘忘れてスコール
タバコ屋の小さな軒先で身を寄せながら
雨粒を指で拾い 掌で{ルビ弄=もてあそ}んだ

店奥のシャイな婆さんは
アガリっぱなしの{ルビ緞帳=どんちょう}が下り ....
{画像=110721225828.jpg}


鯨にある指先(地上)の記憶のように
人間にも忘れてしまった記憶がある
それはsora(翼)の記憶
身体の奥にある翼(骨)の記憶を頼りに
背 ....
ながい柵があり
(たとえばそれは
夜だったり朝だったり
場所だったり人だったり
あるいは思想だったりするけれども)
ともかくながい柵があり

内側というのは
どちらですか

檻 ....
祈ってあげてください。
とつぜん、そんなメールをもらった。
かれが重篤だという。

かれは もう ひとりの みちを あるいている…

かれのことを、詩友といっていいかどうかわからない。
 ....
傾きかけた夕日に
静かに染められていく放課後の教室
たわむれあそぶ影法師たち
その風景からひとりひとりを
輪郭にそって丁寧にきりとり
ノートに貼り付けていく

ふるえる手で
間隔が
 ....
いたずらな風にでも煽られたのか
薄桃色の世界が一瞬目の前にひろがった
 



男のひとは女性の下着に恋するものらしい

くしゃっとした
小さな布切れなのにね

でもそれは男の ....
雪よりも白い糸が
どこまでも続く

途絶えぬ筆記体の線が
サインは何処までも

{ルビ終焉=おわり}を知らない
時々刻々のように流れていく

どんなに流れても
忘れない

君の ....
そこに生きているひとがいる

ベストを尽くそうとしているひとがいる

最悪を想定しながら

未来を信じて

そこに生きているひとがいる


俺はひとつになりたいだけだ

ひと ....
僕は僕に必要なものを探して夜の帳の向こうへ旅立ったのだ。
冬山の上の祠にしゃがんでいると、尻の底から冷えてしまったが、
震えているのは僕だけではない、町にちりばめられたフォトンたちもだった。
神 ....
じぶんの柔らかなところや

じぶんの弱いところを知ってしまったひとを

それでもいいのだと教えてくれたひとを

うしなってしまったら

僕はどんなふうになってゆくのだろう


七年まえから

六年くら ....
<種類別> アイスクリーム(自称)
<体脂肪> 22.0 %以上
<内臓脂肪> そこそこ
<原材料名>
  怠惰、臆病、猫背、妄想、未練
  安定剤(貧乏ゆすり)、乳化剤(溜息)
   ....
梅干の転がる先の卵焼き

群青の布引いて気持ちだけ海

雨の日の青菜は少しだけ薄味

のり弁の日はいつもよりいいお茶で

蓋をするときのひそかな緊張感
寄る辺なく
君を想うことなかれ
寄る辺なく
君に恋することなかれ


朝露零れて
透いた柔肌の朝顔
吐息に揉まれし


けふ
文月小暑
忘れがたき
夕でるまでの


 ....
毎日ぼくは、琵琶湖の水を飲んでいる。
といっても、湖水を掬って飲んでいるわけではない。
琵琶湖の水は、瀬田川から宇治川へ、そして淀川となって大阪湾に流れ込んでいる。その途中で取水され浄化されたもの ....
負け犬は社会からはじき出されて
今日も部屋に籠って
「芸術」という免罪符を貼った
自慰行為に走る

そうやって世間に
ひそかに楯突くことしかできず
負けを認めずに空威張り

それが ....
視認性に欠ける水色は、ひたすら直進する境界線の色。どこかに背びれを伸ばすわたしに、そのどちらにも泳げない六番目のセンスがこみあげる。周期表(periodic table)の薄い領域。

いずれは呼 ....
道を歩くと つい最近まで、卯の花や すいかづらの匂いがしていたけれど、季節は進み 香の蒸散するスピードも早くなり、このごろでは すっかり緑の陰ばかり探してしまいます。神社の石段下っていると 眼下に鳥居 .... 草の実は、苦くて酸っぱい。
子供の頃から、虫は好きだった。
うつむく生活を続けていたら、とうとう草むらの中に、顔を突っ込んでしまった。
緑色の空気がいっぱいだ。これで虫になれるかもしれない。そう ....
出棺を待つ君は安らかな表情で
首筋にあるべき索状痕は目立たぬよう化粧を施され
凄惨な最期を遂げたようには見えなかった

呼びかければ目を覚ますのではとか
冗談が過ぎたかな
頭を掻きながら棺 ....
燃え{ルビ滾=たぎ}る汽車が
青白い草原の海を駆け抜ける

焼き切れぬ想いを馳せた
米粒ほどの露の身を乗せ
今日も間引くことなく 汽車が走る

私達では この手で{ルビ掬=すく}えなく
 ....
夏、炎天下

デブ、はしる
すごい 勢いで
デブ、はしる

デブ、汗、噴き出る
すごい量の
デブ、汗、噴き出る

デブ、汗、飛び散らせる
通りすがりの人全部に
デブ、汗、飛び散 ....
扉のチェーンをかけなかった。

それが、せめてもの優しさだった。
茶色が包みはじめて
白い花びらが消えていく

蜜を求める蜂は 
終わった

折れた風に
立ち続ける 緑

枯れていく事が結実なら
すいあげられてしまおう
顔に傷が出来たなら
部分仮面で隠さなければ。

抱える傷が広がったなら
部分仮面を大きくしましょう。

顔が傷しかなくなったなら
部分仮面はただの仮面。


仮面が自然になりすぎた ....
あ、義父さん
ハンカチを一枚お借りします


+ + +


初めて会うひとはわたしのすべてを見透かしたあとに
無学なバイトの若造が生活(いちにんまえ)を語るのかと息巻きながらも
そ ....
桐ヶ谷忍さんのおすすめリスト(612)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
縁族- 砂木自由詩23*11-7-31
死に至らない病- nonya自由詩23*11-7-30
稲わらの火- subaru★自由詩17*11-7-28
俺の空- yumekyo自由詩5*11-7-24
ゆうぐれゆらら- 凛々椿自由詩1111-7-24
スコール- subaru★自由詩16*11-7-22
翼の骨の記憶_/_いつかきっとsoraを飛ぶ- beebee自由詩23*11-7-21
インタラクティブ- はるな自由詩1111-7-21
祈りの言葉- yo-yo自由詩10*11-7-21
卒業- ガマパッ ...自由詩311-7-20
確信のひと- 恋月 ぴ ...自由詩26*11-7-18
小石丸- subaru★自由詩11*11-7-17
あしたの理由- 吉岡ペペ ...自由詩311-7-17
括った髪の分だけ、返して掌- 渡邉建志自由詩3*11-7-17
助けて下さい- 吉岡ペペ ...携帯写真+ ...811-7-16
僕はアイスクリームから生まれた- nonya自由詩24*11-7-16
弁当箱と- はるな川柳511-7-14
七夕- 乱太郎自由詩14*11-7-14
水を飲む- yo-yo自由詩6*11-7-14
loser's_song- れもん自由詩711-7-13
呼気の魚の棲む_(生体反応の設計)- 乾 加津 ...自由詩11*11-7-12
【批評祭遅刻作品】自分の体臭で書かれた詩- るるりら自由詩15+*11-7-12
インセクトライフ- yo-yo自由詩8*11-7-12
饗宴のひと- 恋月 ぴ ...自由詩2311-7-11
火の国へ- subaru★自由詩16*11-7-11
さわやかな夏の日- 花形新次自由詩8*11-7-11
葛藤- 邦秋自由詩4*11-7-11
腐食- 砂木自由詩11*11-7-10
飛び降りの仕組み- 邦秋自由詩2*11-7-10
ハンカチ- 乾 加津 ...自由詩20*11-7-9

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21