苔生した岩が目覚めの胸を押し潰す
浅瀬では精霊の呼び声がまだ響いているので
安らかに泉に潜り込む
カーテンの隙間から立ち昇る朝が角度を傾け
夢の泡を貫いてくる
惜しみながら深部を反転したのち ....
赤い糸が黒ずんだ 誕生日
私の多面体の面が
またひとつ増えた

生まれた瞬間は
まんまるだったはずなのに
歳を重ねるごとに
ひとつずつ面が増えて

今では寄せ木細工にも似た
得体の知れない多面体 ....
空想のまどろみ壊し 会いに行く 友のいまの言葉を知りたくて


気後れを包む 途切れのない言葉 壊さないまま このままいたい


問わず語りをしない守りをなぜここで 届かないままのいく ....
昔大きな戦争があったことを
食卓のバナナは太陽に教えてもらった
黄色い時代だったという
バナナは自分が青かった頃に住んでいた国について
通りかかった風に話し始めた
小さな島がたくさんあっ ....
よく晴れた朝
新しい職場へ向かう
昨日の特訓で疲れているけど
今日も頑張れる
覚えなくてはならないことがありすぎて
頭がぱんぱんになる
あまり眠れなかったけど
ちょうどいい緊張感だ

 ....
もう誰も飼ってないのに猫は自分の首輪をはずせない

猫がいる 怒りもせずに泣きもせず人のいない村で猫が生きている
九官鳥の鳴き声知っているかい
真似しすぎて
とうとう自分の声を忘れてしまった
めすをよんでも相手にされない

そんな人も居たな
人まねしていて自分の姿を失った
そんな人になるには
白紙 ....
十一月の鐘が実を落とし
朱色の音符を齧る
冬になる前の夕焼けの子守歌

もういいかい
紅潮した頬がさらに赤みを増したのは
母に贈る感謝への気恥ずかしさ

渋くはないよね
不安げが ....
 瞳


二月の白い雨の中
何もかもが凍りついた冬日
畦の匂いさへ凍りついたまま
も吉は冷たい闇の中で
いつもの道を見失ってしまった
今日はどうしても
まっすぐ歩けない

も吉を ....
 違和感が好きだ。じぶんの居場所をグラグラさせてくれるからだ。違和感をそのまま受け止めきれず、じぶんの中で正当化するとき生まれる摩擦熱で焼かれそうになる感覚がすごく好き。おれが俳句を好きでいて、かつそ .... アナウンスが流れる

線路内に鹿が入り込んだため
列車は3分遅れて隣の駅を発車しました


その鹿はどうなったのだろう

寒いホームに
誰もが無言で
同じ方向をむいて並んでいる
 ....
節分や父のカタチの鬼の影 あの子あの子あの子はいまどこ
ああ雪が屋根から落ちる音
二月、東京に降った雪

あの子あの子あの子が泣いてる
行かなくちゃ助けるために
行かなくちゃ早く

遡って行かなくちゃ
靴下を ....
 バス大好きな子供は言い残して 公園のバ
ス停から 車庫行きのバスに乗った 肌身離
さず持っていたバス路線図で 描いた世界の
なかで子供はもうすぐ 国境を越える
黒いアイリスは
男の喪に服した女だ

ジョージア・オキーフが描いた
花の絵は
どれも女の顔に見える
花が儚く美しいという概念は
もしかしたら幻想なのではないか
もうこれ以上
対象に接 ....
ふしぎな生きものが対岸におりましたので
わたしは急いで脱ぎました

なるべく丁寧に急いで
わたしはあらわになりました


しかしながら
湯茶の用意が整っておらず
先方はやや訝しげ ....
米びつから米をすくいあげていて
底になにか引っかかるものがあると思ったら
しなびた腕がいっぽん
計量カップのふちに指を引っかけていた
取り出してごろりと畳に投げ出した それ
黒ずんだ腕はいつ ....
樹上から葉脈だけが
長く垂れて、
神経回路を伝達する
信号みたいな
陽光の、ひと滴が
瞬く
青が広がる
ぼくたちの瞬きも
青くなるから、
この場所はきっと少しだけ、
世界の中心 ....
かんかん光る
かんかん踏切
かんかん降りる遮断機の
かんかん赤い光の点滅

その先線路を
飛んで行く
暗闇の中
急行電車が
飛んでゆく。

かんかん手を振る二歳の息子
電車を見 ....
揺すらないで
覗かないで
ノックしないで
猫はいや

汚いものが沈んで
息がつまる

追い詰めないで
掬わないで
閉じ込めないで
逃がさないで

窓はどこ
酸素が欲しい
 ....
ほむら、ほむら、

ほれ、ほれ、ほうれ
こをえがけ

ほれ、ほれ、ほうれ
つみ、あがれ



ほうられ、ほむら
ほうむれ、ほむら

いざ、いざ、くだけよ
くる、 ....
誰もいない海に雨が降る  絵ハガキ


古びたペアリフトが、白く耀く斜面と雲ひとつな
い青空の隙間を、カタコトと、揺れながら私を山
頂へと運んでゆく。飽き飽きとした水平線上の生
活を忘れ、雪の斜面を滑り落ちること ....
枯らす手を愛す よく わからない

人が
街が
景色が
過ぎた時が

よく わからない

あの日の嘘が
私の中で 歌い 踊り
そして笑っている
そんな日常も
それ自体 嘘のよ ....
風邪薬小児用のを2倍飲む 空錆びて赤い ある日 生まれて来て
わたしは泣いた
そして何かのきっかけで
わたしは笑うようになった
誰に教わることもなく

やがて
何かのきっかけで
わたしは少女と出会い
恋をしたのだ
誰に教 ....
■蝶の羽■
蝶の羽みたいですね
音も立てずに、そばにいてくれて、
触れなければ 美しいだけの
触れたなら 砕けてしまう。





■おちこみ■
君が落ち込むのを見ても僕は落ち込 ....
桐ヶ谷忍さんのおすすめリスト(614)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
◎ある日- 由木名緒 ...自由詩13+*14-4-12
赤い糸が黒ずんだ- 北大路京 ...自由詩614-4-10
多面体- nonya自由詩27*14-4-7
再会- 深水遊脚短歌3*14-4-7
落花生- 乱太郎自由詩25*14-4-2
バイオリンを弾く猫の絵のついたマグカップ- Lucy自由詩22*14-3-25
猫が生きている- そらの珊 ...短歌11*14-3-11
Who_are_you_?_- イナエ自由詩14*14-3-10
- 乱太郎自由詩20*14-3-7
北の亡者/Again_2014如月〜皐月- たま自由詩25*14-2-27
川柳が好きだから俳句を読んでいる(9、安井浩司のこと)- 黒川排除 ...散文(批評 ...314-2-26
鹿- Lucy自由詩27*14-2-16
節分や父のカタチの鬼の影- 北大路京 ...俳句314-2-9
ジャー- もっぷ自由詩6*14-2-9
東の国に行く- 深水遊脚自由詩5+*14-2-3
閉経- そらの珊 ...自由詩24+*14-1-30
対岸- 千波 一 ...自由詩614-1-29
うで- 春日線香自由詩11+14-1-23
目盛の隙間から立ち上る青い炎- hahen自由詩314-1-22
踏切- ……とあ ...自由詩22*14-1-22
モノローグ- Lucy自由詩14*14-1-15
雪の精- 千波 一 ...自由詩314-1-14
誰もいない海に雨が降る- 北大路京 ...自由詩1014-1-14
北の亡者/Again_2014睦月- たま自由詩24*14-1-13
枯らす手を愛す- 北大路京 ...自由詩214-1-7
そんな世界で- 自由詩6*13-12-29
風邪薬小児用のを2倍飲む- 北大路京 ...俳句413-12-25
空錆びて赤い- 北大路京 ...自由詩513-12-25
誰に教わらずとも- ただのみ ...自由詩25*13-12-15
蝶の羽- クナリ自由詩4*13-12-13

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