好きな女の子とデートして
「何処か行きたい?」と訊ねたら
「何処でもいい」とその子は答えた
今までの経験上、大概の女の子は
「何処でもいい」が口癖らしい
だけど突っ立っていても仕方がない ....
100円玉2枚と10円玉何枚かを
レジのお姉ちゃんに渡して
ブランコの上で開けるプリングルスが
俺の中学校の時の夕飯だった
ある火曜日俺はいつものようにプリングルスと
その日はココアシガレッ ....
遠いお話を
忘れないために
僕等は
指を折りながら
花の咲くのを待っている
寝返りの度に
蒸発してしまう夢を
朝のそばで
取り戻そうとしている
見つからないままでいる ....
数ある詩集を詠んで
それを真似て詩を書いた
詩人
辞書を調べながら
かっこいい言葉ばかりを並べた
詩人
落ちている言葉を
拾って繋げた
詩人
なにも綴らず
ただ心の ....
二階建て文化住宅の
一階の端に住んでいた
雨の日は軒下で遊ぶ
家中の傘を持ち出して
白い塗装の 錆びきってぼろぼろの
鉄階段を カツンカツンとのぼっていく
赤い無地の
カサカサ音 ....
サキとは昔から似てなかった
サキは母親似で
それがずっとうらやましかった
サキは生まれたときから妹だった
サキは小学校のころから
勉強が苦手だった
勉強が得意だったわたしは
いつもど ....
君の周りに人が群がっているのは、
君のその、聞き癖のせいだ。
君はつまらない政治の話でも、
オタクの漫画の話でも、
それが世界一面白い話でもあるかの様に興奮して聞いている。
....
送り先が何処だか分かりませんが
先生宛てに手紙が来ました
なんでも皆さんが使っている辞書の
「愛」の項目が間違っていたらしいのです
でも手紙には
これしか書かれていませんでした
....
お父さん死なんといてな
と私の耳がなっている
別に、早く死なないかなと思った日々がなかった訳でない、夜中セキの音が聞こえると私の闇は凍りつく
何だか、目の前のほとんど病気をしたことのない父が ....
微笑みの匂いがする最後の頁を
めくるかのように
僕が女を忘れたころ
女はいつもと同じ場所で
いつもと同じ歌を
歌っていたそうだ
未明
人も車も動き出さない冷たい駐車場
空を見失 ....
おとうさんが
とてもおおきなつぼをもらってきた
かぞくぜんいんで
おおさわぎしながらいえにはこびこんで
りびんぐのすみっこをかたづけて
なんとかおくことにせいこうした
きれいなもようが ....
青年と自転車が走る夏の残り。夜の田んぼからの風が運ぶ匂いに目眩を覚える。機嫌の良くない彼女に会いにいくために走る青年は、キスすれば機嫌の良くなる大切な人のことを考え、そのあと家にどんな顔して帰ろうか ....
公園の真ん中に
ぽつんとジャングル
あの
お人よしの頂上に
登ってみたら
気がすむのかな
それとも
もっと複雑な
迷路だったらよかったのかな
そこは
夕陽の沈むのが
ほんのちょっ ....
1. 父
自分で名前をつけたくせに
なんで
わたしの名前も
呼べないの
笑いながら尋ねると父は
つられて笑うのです
真剣に
それから、突然
他人でさえ覚えているのに
と言っ ....
食べることに興味がなかった
何もかもがどうでもよかった
自分に何かができるとも思わなかった
仲間がいるわけでもなかった
ただ
逃げ出すことばかりを考えていた
そんな私が妊娠した
....
子供らがそらを指さして騒いでる
何事かと思いぼくもそらを見る
この角度でそらを眺めるのは
ずいぶんと久しぶりだ
見慣れたビルの屋上付近は
見慣れない広告でひしめいている
そのすき間ほどのま ....
最近、「思い至らなさ」について考えている。
良く、分かり合う、とか、理解しあう、なんて言うけど、育った環境が違うもの同士がいったい何処から何処まで分かり合ったり、理解しあえるというのだろう。はな ....
矢野顕子を口ずさみながら
ヒールのコツコツの月を
連れて帰る
つらい分だけ吐き出した
あなたは楽になっただろうか
つらい分だけ黙り込んだ
私はどこへゆくのだろうか
もう二度と ....
君を毎日笑わせる。それがプロポーズの言葉だった。その約束が破られたことはない。結婚四年目に彼が癌を宣告された。臨終の床についた彼が突然、ベッドの脇にいる私を探し始めた。いくら返事をしても私の名を呼び ....
長い文章はきらい
長い文章は読みきっただけで満足感を与えるから。
風 向 き が 変 わ っ て も ま だ 大 丈 夫
夕 暮 れ 電 線 あ た し は あ た し
多くのヒトにとってみれば
他愛のないスポーツニュースに違いないプロ野球
ストをするとかしないとか
チーム減るとか消えるとか
よくある合理化
よくあるリストラ
別にたいしたことじゃない、と
....
生前全く知らなかった人が亡くなって、知らない人なのに、とても悲しくなり、その人のこと無性に知りたくなる。四日前。僕は最近ある詩誌の端に詩が載って喜んでた。同誌にはキジマさんという人が詩を掲載されていた ....
どうして俺はこうなんだろう。
ねぇ?
俺は死にたくない。
俺は俺の死を死にたい。
ジジイになりたくない。
病院で死にたくない。
体中に管通されてまで生き延びたくない。
酸素マスクなん ....
貴方が見せる風景に期待して、助手席に座る
静かな夏休みが終わった
波の音や
山の木々の葉ずれの音
動物の鳴き声
テニスボールがぶつかる音
のんびりした鈍行の行く音
渓流のせせらぎ
それからなんだっけ
釣りをしているおじ ....
かなしみがとことこ
ひとりでにあるきだして
どこかとおい
うみにかえると
いいな
いとしさがふわふわ
かってにとんでいって
いつかどこかの
きみにとまれば
いいな ....
小学一年生の春
友達と下校途中に
桑の実があった
ちょっと とって食べる
紫色が手につく
親に叱られると思い
道路の横を流れてた川で 手を洗う
と ランドセルが首に 落ちて
重みで ....
コンビニで何弁当を買うの?
のり弁当だろう
図星だ
他のはみんな、
花火の客が 買ってしまったもの。
チンしてる間に、週刊何とかや月刊何とかの表紙を
元野生の狩猟本 ....
だれる
うなだれる
母は自分でもうペットボトルの蓋も開けられないのに
私の掃除の仕方に文句を言う
若い時に肺結核で肺の一部を切除したから
母は水に入れない
息苦しくて
子 ....
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