泣いてる
砂木

小学一年生の春
友達と下校途中に
桑の実があった

ちょっと とって食べる
紫色が手につく
親に叱られると思い
道路の横を流れてた川で 手を洗う
と ランドセルが首に 落ちて
重みで 私も 流れに 落ちた

立ち竦む 友達
手を伸ばしたがすぐに川底へ

くるくるまわって
どうする事もできない

ふっと頭がでる あっと
ひらめいた
あの 川のはじっこに垂れ下がってる
草につかまろう
助かる と 思った

川底は 汚い
流れが 速い

でも 私は 夢中で
流されながら
手をのばした

草が大きくみえた
助かると思い
かすりもしない でも
あの草につかまれば 助かると思い
一回 二回 三回 あと 覚えていない

気がつくと 大人に抱かれていた

草に つかまれる わけがない
つかんでも どうしようもない
けど そうするしかなかった

銃を向けられた子供が
何にすがりつくのか 



自由詩 泣いてる Copyright 砂木 2004-09-07 23:03:54
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