もっともっと時間が欲しかった
もっともっとお金が欲しかった
もっともっと欲しかった
もっともっと
もっともっと
全てを投げ出す事を知らずに
全て要らないと叫んだ
違いも分からない ....
赤ちゃんが乗っています
世間でステッカーがはやりはじめると
和泉町3丁目にある零細ステッカー会社の社長はへそまがりだから
赤ちゃんだけ特別扱いするのはおかしい と言い出し
次のような亜種をどん ....
そっとあなたを見つめる
自分勝手に
わたしは思い出が欲しいの
わたしだけの
だからなるべく気の無いふりをして
あなたに近づいてみる
負けたくない
って思ったあの日
もうわかっていた
勝負は時の運などではない
自分が届かなかったということ
信じていた
硬い硬い宝石は
あっという間に砂になって
さらさら零れ落ち ....
クールなのが取り柄
みたいな顔してるけど
本当はそうじゃないよね
知ってる
君のことほとんど知らないけど
それだけは知ってる
それだけで充分だと思う
迎え入れてあげられる
多く ....
上へ登り
上へ登り
化石を探す
柔らかい
砂で出来た
化石を探す
黄色い砂の
あいだに隠れた
化石を探す
一人で探す
毎日
毎日
探す
化石を探していると ....
仄白い朝の駅への道で
誰かの心のかけらを
見つけました
それは「忙しい、忙しい」って言って
かりかりしていました
それは周りを気にする事なく
くるくると回り続けていました
私は何 ....
雑踏の中で一人
実在しない 視線と
増してゆく 孤独みたいなものを
蹴り飛ばしながら歩く
少し爪先が痛む
すれ違う人は 揃いも揃って
バカみたいな笑顔をばら撒く
人ゴミ
今度 ....
陽の当たる坂の上の
団地育ち
歩いて小学校に通い
バスで中学校に通い
自転車で高校に通う
川べりの大きな家の
女の子に恋をして
書いた手紙は
クラスで回し読み
団地の上の
貯水 ....
塾の講師なんて仕事をしていると
子供の心に触れてしまうことがある
前に受け持っていた女子生徒が
授業中に突然飛び出して
二階のベランダから飛び降りようとした
「死んでやるー!」と何度 ....
吾や先 吾や先と 行く友 に
いつかの じぶんを じっと 見ており
哀しみも いつかは 過ぐるもの ならば
棄てて しまえよ 川にぽつりと
物思い 過ぎにし 日々を 振り返り
....
こんなさびた暗いアパートに
なぜぼくは住まなきゃいけないんだろう
カスバの女をよく歌っていると
父さんに言ったのは母さん
その歌を二階の女の人は
今日は歌わず階段を降りてきた
....
玄関のドアを開くと
右手の壁に一枚の絵が{ルビ掛=か}かっていた
六十年前
I さんが新婚の頃に過ごした
緑の山に囲まれた海辺の村
二十年前
定年まであと一年を残して
急病で世を ....
此処から落ちたときに拾った景色
愛に飢えていた
埃を被った玩具の城
それでいい
それでいいや
愛の無い世界は
道端に寝転んでいて
溜息をこぼしては
人はそれを踏み潰して
....
大人になってようやく
犬の声が聞こえ始めた
後ろから駆け抜けてきた茶色い奴は
振り向きざまにこの野郎とおっしゃる
ごめんね君の友達を食べたのは僕だ
中学校の図書室で
詩の書き方という 本をひろげた
文芸部に入りたてで
それなりに 真面目だった
そこで 出会ったのが
高村光太郎様作 火星がでている である
ひと読み惚れという言葉 ....
猫が歩き回るけど
ちいちゃんは自分がどこにいるのか
わかります
お母さんが携帯で
「どこにいるの?」
て聞くと
「白い猫の近く」
て元気に答えます
するとお母さんは
「八百屋さんね! ....
またね、と手を振った瞬間から
僕たちは歯を別々に磨かなければいけない
僕たちの会話は
いつも中断されっぱなし
そんなときだ
僕が自分の体から
逃げ出したいような衝動にかられるのは
....
ガマの穂が天に向かい綿に覆われて立っている
安らかな秋
まるで別世界のことのように
自分のことを思う
帰りたいと願う
時間を戻してくれと願う
叶わない願い
わたしの歩く道から
ガマの穂 ....
三つの茶碗が二つになり
よそおう手も男の手になり
食膳に向かって
私は父と向き合って
鍋をつつく
鍋の中から菩薩様が出てきて
食卓にこぼれた汁を布巾で拭ってくれた
父と私は一瞬黙 ....
優しければ 誰でもよかったわけじゃない
ちょこっとひねくれた
不器用な優しさが 好きだった
広い胸ならよかったわけじゃない
壊れ物みたいにそっと わたしを包む
あなただから ....
つまずいてばかりの日々にうつむいて
ちぢんだ心を{ルビ潤=うるお}す
水の湧き出る場所を探し歩いた
立ち止まり シャベルで穴を掘り続け
気がつくと
静まり返った暗い穴底にひとり
小 ....
もうすぐと押し迫る年の瀬になんだかよきことあるよなゆうぐれ
うたを詠むあこがれていたしょうじょきにすこし近づいたような今宵つきみゆ
なにほどもなかりせどせいしんの自由獲得し今の吾 ....
人と争うように働いて
話す気にもなれず
押し黙ったまま一日を終える
仕事帰りの公園のベンチ
あたたかいゆげで慰めてくれる
たこ焼を食べていると
目の前の通りを
なかなか客に呼び止めら ....
確かに買った筈の切符がない
この列車の行き先を見上げた
ツカレタ 体を ひきずってぱそこん すくーるに かよう 。そこは いきかたを学ぶところだ 。 学び方をしらない わたしは イキヲためて 講師を 睨む 。てきすとを 睨む 。 友がき を 睨む 。ななめ ....
のんちゃんの
さんりんしゃは まっかかで
はんどるのとこに
いろんないろの
フサフサが ついていた
あか あお きいろ みどり しろ
いつつも ついてて きれいだった
あしでけって さか ....
ぼくは臆病者だから
なにかにつけて明確にしてもらわないと
不安で不安でたまらないんです
曖昧な状態にびくびくして
すこしでも足元がぐらつけば
馬鹿みたいにおろおろとして
じぶんの足 ....
いきることが できないひととは
いきが できない ひとだ。
いきつぎを いきつぎを します。
中学生のころ
わたしはメガネっ子でした
似合うメガネっ子ならよかったけれど
かなしいことに似合わないメガネっ子
かなしいメガネっ子
コンタクトレンズが
こわくてでもほんとに視力がわるく ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15