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赤く染まる
芥子の花が咲き
乱れる
どこまでも続く
白い墓標の列
海鳴りの
やむことを知らぬ町
忘れようとしても
消え去らぬ {ルビ戦跡=きずあと}
{ルビ頭 ....
{引用=
ラジオが鳴っていた。
古いオールディーズだ。
オールディーズはいい。
素敵な気分だ。
素敵な気分だ。
古代の機械
古代の虫
古代のクソやろう
....
{引用=
フィルムのフォルムの無慈悲さ
それを物語る動物の言語
私たちの喉が鳴る
水がほしいからではない
失語症と抗い
答えるために鳴るの
だが夢の中ではサーカス小屋だったものが
....
いまにも降りだしそヲ、
降りだしそヲ、
降りだしそヲ、
降りだしそヲ よ
あの
雲 底
( )
( ) ....
自分が木螺子だと気づいたのは
空の水が全部落ちてきたような
凄まじい雷雨が通り過ぎた後だった
公園のブランコの下の水たまりに
たまたま自分の姿を映した僕は
ほんの少しだけ驚いた
で ....
{引用=
吸収されるべき衝撃、持たずに
そのままの姿で
やってくる、
点滅するかのような
血の国境線
形を持たない原型で
やってくる、
茜色よりも
深く淡い
夕 ....
空をなぞって
言葉がはじけていたのは
少年だった頃
女の子がおはじきに
言葉を色分けして空き缶に詰めていった
夏の海に帰る前に
すき
という二文字が ....
春はあなたの名前を呼ぶ
小鳥のように 何度も何度も
春はひとつの真昼の花になって
光に咲きみだれ 狂おしく唇に口づける
*
夏は星を探して指をのばす
遠くからあなた ....
大内峠から徒歩で
大内宿の街道往還に出たとき
秋とは言え、紅葉も落ちかけの季節は
旅人の心も体も
芯から萎えさせ冷たくさせる。
街道沿いの落ち葉を踏み締め
漸く視界が開けたところは大内 ....
<ブラッディ・マリ―>
ブラッディ・マリーと君の唇の色が同じだから、
どちらに口をつけようか迷っている。
君は何のためらいもなく赤い液体を飲み干す。
重なったその色が乾く前 ....
雨を
風を
君は無情と例えたが
ごらん
あんなにやさしく美しいものはないじゃないか
ゆうべの雨が
ななかまどの葉をすべて攫ってしまい
衣をはぎ取られた枝が艶め ....
{引用=
図書館へ向かう碧いスロープの
脇に咲く珊瑚の合間を縫いながら
ゆらゆらとスカートの尾ひれを漂わせて
記憶の深海へと迷い込む
見たこともない
七色の藻屑を拾い集め
繰り返し剥 ....
俺たちは列車を見送っていた
線路の脇の柵に囲まれた高台の上で
俺たちは黙って立ちつくし
通り過ぎる列車をただ見送っていた
柵を乗り越えて列車に飛びこもうと思えば
出来たはずだがそうはしなかっ ....
{引用=
? 秋に
ながい ひとり旅
空気が澄んで 秋
海岸線を いつまでも歩いていたい
考えても 考えても
とりもどしようは ない
もう 哀しむのはや ....
101107
ほぅ
ほぅ ほっほっほぅー ほっ!
漏らさず隠さず支える覚悟の
中身が漏れた尖閣の映像
ほっほっほっとエンジンを吹かす時
頭上にたくさんの ....
崖の上を覆う
赤い紅葉の
庇の下に
渓谷の底
竜が滑る。
鱗状の水飛沫(みずしぶき)
突然竜頭が
川底からなお落ち込む
崖の上には
紅葉楓の緞帳が
視線の上を覆っている
....
石の池
窪んだ中に 見ゆる雲
早々とかけてゆく流水の涙
時は 池の中で腐食して病(止)む
問われれば 流れ
流れては 問われる
白く濁り、 消えては 追(終)われる。
解き( ....
{引用=
一晩中、街を歩き回り、疲れ果ててしまった。
ずっと昔、もっと子供だったころ、高校生のころに、深い憤りを抱えて、幾駅分も歩いたときのように。
あのころは、答えを必要としなかったが、今は答 ....
{引用=
消えそうに震える
ほっそりとちいさな肩
けだかさは
すべて死に絶えたのだと言う
おまえに似合う花がないこと
知っていて
それでも探し続ける
青ざめたねがいを
包み込む
....
瞼の奥で失っていたことに気づく。しかし、
それが、髑髏を巻いていたひと夏の感情だ
ったのか、それとも、行きずりの女が床に
棄てた水着の匂いだったのか。朦朧と立ち
込める喪失感だけが、ドラム ....
{引用=
よくできた箱の中に
一つの因子が
入ってきた
それは流動し
箱の中のよくできた
因子たちを
かき回した
たった一度の邂逅
たった一度の瞬間
夏休みが終わる ....
101105
もうちっと
もうちっとですね
もうちっとで冬ですね
河原のネズミも慌ててる
ほじくり出した獲物を咥え
呑み込む暇に走り去る
水 ....
永遠が何だって言うんだろう
そんなことを考える暇があるなら
今すぐこの喉の渇きを癒して欲しい
君の首筋に咬みつきたい
それが僕のすべてさ
暗闇の中で求め続けるもの
それはこの喉を潤 ....
少女達は駅の回りでたむろしていた
少女達は皆乾いていた
全てのものが無機質な情景の中で
既に前からそこに居たように乾いていた
見えない虫の魂がボウと浮かび上がり
それはまるでカゲロウの ....
{引用=
せかいのあちこちに
内緒で敷かれている
内緒の線路を走行する
打ちっぱなしの
コンクリートの
でっかいとんねるは
せかいの中身を
くり抜きながら
こわれた部分を直して
....
遮光レンズ越しの
淡い背景が
拡散する持ち時間を
しばし彩る
グラデュエーション
緑色のかみ人形の林立に
研ぎ澄まされた
ペーパーナイフの
握り締めた刃先の赤
指の間の憂鬱な黒い ....
かつて、私の泣き声の
代わりに歌ってくれた小さな川
その横を闊歩する
今の私の泣き声は
私の子宮にうずまいているから
軽やかに
川縁を散歩することが
できる
水の流れる音
さらさ ....
ひがな一日
猫のように
ぼうっとして
まどろんでいる
あたし
たまぁに
さくさくと
動く
ふっと
感じる
脳のどこかで
きらっとひかる
何か
すると
....
今日買ったばかりの枕が
突然海になる
髪が濡れて痛む
航行中の大型の帆船が
三半規管を横断する
交番の裏側をパトロールしている
詐欺師だった父は
水を泳ぐことができな ....
泥が流れる
下流へと流れる
底へ溜まり 澱み始める
蒸留され さらに濃く深くなる
気づいたときには 頭まで埋まっていた
見上げると そこには澱みのない
美しい水が溜まっていた
....
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