すべてのおすすめ
透きとおる真昼に
日常が、消えていく
八月に買った青いびいどろは
もう割れた
観覧車に乗りたいと言ったのは
あのひとのほうだった
てっぺんに着いても
世界はちっとも見えなくて ....
せかいの欠片が落ちていました
落とした人はまだ近くにいたので
「せかいの欠片を落としましたよ」
と声をかけると
「私のではない」
と言うので私が育てることにしました
指先くらいのせ ....
高く高く 舞い上げた ホースの霧
細かい水滴は 光の中でキラキラ 七色の虹を創って
青空を見上げた 私の頬に触れる 人工の雨は心地よく
素足の裏には 熱を帯びた コンクリートの感触
嬉 ....
この世界では
赤い文字が心を捉える
ページが開かれるとき
赤い文字が灯っていれば
こころに涼しげな風が吹き通る
未熟ゆえ
犯した罪
時計の針の音が
ぼくを責め ....
笑わないで聞いてくれる?
例えば
不規則的に唸る換気扇が
この世の終わりみたいな音を奏でても
それに怯える私はうずくまってコーヒーを飲み明か ....
愛していたあなたは
いつも遠くを見ていた
その瞳は揺らぐことなく
いつもまっすぐ見つめていた
遠くの雲はひとにぎりで
何もかもを見透かしているようで
私 ....
川の向こうにひろがる夜
水の社から来る音と
黒と青と金とが重なり
やわらかな生きものの胸を染める
暗く豊かな雨に導かれて
山は次々と雲のものになってゆく
....
誰かの隣で
こうもりがとんでいる
アスファルトの塔の向こうで
みどり色の空がわらってる
子供達の声が
消えていく公園で
ブランコが何かを掴み損ねておどってる
砂場の奥から
早く ....
{引用=昨日からしていた 予感は
たしか ・ ・ ・
足音はしなかったな。
ちがう空気の流れは今日、
全てを置き去りにしたまま
すり ....
ホームに慣れすぎた鳩
繋いだ手は確かにふたりだけど
人間でいえばひとりぶんだ
音に成ることを知らず逝かれた言葉は
喉の奥で熱くなったのち
換気扇から抜けていった
せめて、と思い私は
吸い ....
わたしの生きた中で
いちばん会わなければよかったと思うひともあなたで
わたしの生きる中で
いちばん会えてよかったひとはあなたで ....
なくしたものと
もういない人とが
ありえないシーソーで
つりあってる
そんな救いのない話しか
思い出せない
と証言台で男は述べたが
語尾はすでに
空気と区別がつかなかった
街のい ....
俺には誰もが秘密を打ち明けたがる
朝食はサンドイッチ
耳はついてない
「なんか 吹き出物ができちゃったぁ」
「潰そうと思ったけど うまく潰れないのぉ」
そんな感じ
冬の夜だった
大声で泣いた記憶がある
涙でぐしょぐしょになりながら
鼻水をだらだら垂らしながら
言葉にならない叫び声をあげて
悔しかった
ただ悔しかった
失ってしまったから
....
きみの器用な指が欲しかった
鋏で切りとったなら、僕のものにしてしまう
そっとやれば 易しくすれば気付かれないんじゃないか
今も想っている
痛くしなければできるんじゃないか
コートを着 ....
風景を切り取る小さな窓
覗いた世界は理想と違っていた
青い空を映し出す代わりに
灰色のビルの数々
夕月夜のを映し出す代わりに
足早の人々の数
「この部屋から全ての色が見えますか ....
特別な人
普通の人とは違う人
こんなに近くにいるのに
絶対に触れることができないあの人
普通の人
そこらへんにいる人
そこら中に散らばっているのに
あえて選ばなければいけないある人
....
掴んだ腕に舌を這わせて
気が狂うまで接吻を重ねて
白い肌に爪をたてて抱きしめて
そのまま雪に血を落として
間違ってなんかいない
ただ本能のまま そのま ....
缶ジュースを買った。
たぶんスペシャルなジュースではない。
でも、なんだかおいしい。
なぜだろう。
たぶん、弱い人の痛みを知っているからだろう。
元気のないウサギを見る。
とても、不思議な ....
栓を開ける
蛇口からバリバリと
氷が落ちて
僕の手を
傷つけていく
窓に笑みが浮かび
僕もつい
笑ってしまう
痛みは無い
青空が濃くなってきた
空がやってきたのだ
鴉が去って
太陽がやってきて
のんきにお手玉をしている
単調に繰り返すのを
家の子達はいつまでも見ている
目玉が焦げるといっても
信用して ....
傷ついた
というより
どうしようもなかった
話がある
洗濯物をたたんでいく
パンツ
シャツ
ヨーロッパ
僕の無器用さは消えない
どうしても嫌なことは嫌といってしまう
言 ....
兆し
まだ何のためか
なんであるか
わからないまま
僕は
昼間泳いでいる
つかんだ波
はなさないために
好きでいられるように
とつとつと
祈る
笑うひと
奪う波
死に ....
3分間で あなたの愛に 火照らされて
私の心を いっぱいにしたと 思ったら
当然のように 3分間で 食べ尽くされ
殻になったら棄てられるだけなんですね
もうすぐどこかで雪が降るのかな
君を真白な街に連れて行って
君の白い肌と真白な街並みを見たい
さらさらと降りつもる雪と
すべすべの君の肌は
どっちが気持ちいいのかな
雪を溶かす ....
君に あいじょう ばかり 押し付けて きたね 。げんなり するような あいじょうを でも きみは 受けとって くれたね 。ときにコマリナガラ ときに アヤフヤナ。タイドデ 。 ぼくには ともだちが た ....
呼ぶ声は誰のために
呼ぶ声は誰のために
遠くから来た人は家を建てた
終(ついえ)の住み処に
なるとは知らずに
往く人は誰のために
往く人は誰のために
墓碑に添えられたコップ
....
中学校を卒業してあなたは僕に勉強を教わりに来ている
そういった名目で僕のうちに毎日来ていた君
だから君の高校の英語の宿題の最後のドットを僕が打った日
僕らは会う理由をなくしました
君の英語の宿 ....
開会式の行進
のはずなのに
みんな何故だか走っていて
走るのは遅くない
はずなのに
何故だかだんだん
取り残されていって
仕方がないから
後ろのクラスに合わせようと
スピード ....
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