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ただいま おかえり
今日は給食おかわりしたよ
そう言いながらニコニコ笑う
愛しい笑顔を抱きしめた
ただいま おかえり
今日はクジラ山に登ったよ
そう言いながらニコニコ笑う
....
おじいさんは杖をやっとの思いで丘を登った
家を出たときはまだ3時だったのに
今はもう夕日が丘の上からきれいに見える
おじいさんの妻であるおばあさんは
長い間病院で入院している
何かの ....
白いあなたはたちのぼりました
火葬場の空に
時間はどこででも流れるものだと
感じた棺の残骸
自分の嗚咽に一番 自分が驚きました
私はあなたを憎んでいたし
あなたと対決する日がこわか ....
かってわたしは煙の精を葬った
そして色の精も片づけた
今や酒精も遠ざけようと思う
なかなかのやつで骨が折れる
金もかかる
楽しくやっつけよう
濃厚なやつ淡いもの
色精とよく似て手ごわい
....
転んで擦りむいた
歩くたびに
ズキンズキンと
痛みが伝わる
小さな傷が
私は生きている
私は生きている
と叫んでいる
なぜか痛みが心地良い
どこかいとおしいその傷は
独り転 ....
耳元で囁く I love you
貴方が少し照れたように微笑むから
私はとても幸せで
泣きたくなる
微かな機会音が貴方の命を繋ぐ
誕生日まであとふた月
指折り数えているけれど
病 ....
お嬢さん、ハンカチ落としませんでしたか
なんか懐かしいよね
それから腕時計しているくせに
いま何時?とちゃっかり左手首隠しつつ尋ねてみれば
そうねだいだいね♪
あの頃のあなた ....
ぼくは裸にもどります
着ているものを脱いで記号にもどります
記号は誰かに気付いてもらうために
信号になります
見つけてくれるまで発信し続けます
金属と石に惹かれる女たちは
アイスラ ....
くちびるから風を運んで
気がつくとそこにハルがいる
粒子の波が雲の切れ間から
美しいオルゴールのように
血を流したりはしないけれど
人はみなそれぞれの戦場を抱え
ふと息をついたときにど ....
雨の中を走る
新幹線がトンネルに入れば
水滴が、ひとつ
曇った車窓に一筋の
線を、貫いてゆく
旅帰りの僕の
手元に開いた「窓」という本から
語りかける、{ルビ古=いにし ....
LIVEとは、つまり
生きるということであり
生きるとは、つまり
食べるということであり
食べるとは、つまり
殺すということであり
殺すなら、つまり
殺されるかもしれないぞと ....
カルテに書き込まれた
真実
けれど君は
世界を愛して止まない
ならば私は
君が愛するこの世界が
壊れぬよう
言葉で
視線で
抱擁で
君に一枚の
フィルターをか ....
祖父が死んだ
ほんでもえらいわ
そう言って祖父は私の手を頼りに起き上がった
寝ているままでいい
そう言う私を制し
それは昨日のことだった
いつものようにコンビニで
祖母のおに ....
コスモスがコスモス色に咲いてて
ススキがススキのように揺れてる
土曜の朝
私鉄沿線の住宅地を
ぼくとたあくんは歩く
めずらしく陽が射している
建物の影が舗道をおおって肌寒い
ぼく ....
藤沢周平の小説に殺すなというのがある
中二のとき国語の先生が授業で朗読してくれた
先生はいまの私より十歳下だった
先生の野太くて明るい朗読は
鹿児島なまりの抑揚で歌うようだった
不埒な中 ....
今日の鏡は
流体にちかいのです
あまりにたくさんの欲望を映し出し
水銀の鏡面に、他人のわたし
髪を短くすぎるほどに切ってしまったまま
ばらばらになった抽象画の
かけらが流線の色彩を ....
真っ青な空
ぽっかりと浮かぶ白い雲
この景色を
切り取って折りたたんで
紙飛行機にして
あなたに送りたい
少しだけの
メッセージを添えて
「ありがとう」
ちいさな雨が降るね
音のない模様を
フロントガラスが濡れている
それはなんの痕だろうね
形のない法則を
夕方の匂いがこぼれている
きみは夕餉に消えてゆく
....
鏡に映る、私という人にはすでに
数十億年のいのちの記憶があり
数え切れない先祖達の声があり
鏡に映る、私という人にはすでに
宇宙の初めの爆発と
宇宙の終りの暗闇が
今も密か ....
受精を告げる鳥が啼かなくなったとき、朝が訪れなくなった。近いうちに頭が痛くなるだろう。血管が拡がって炎症が起こり、締めつける。腸がび爛するほどに募る思いでも受け入れてもらえないものは受け入れてもらえな ....
言葉たらずとは
なんの例え話なのだろう
言葉を見つめている
言葉もこっちを見つめている
言葉たらずの愛
目的や嗜好やタイミング
そんなのが合わない
合わない気 ....
なんて気持ち良いんだろう
長湯につかって
居眠り
足を伸ばして
よく泡立ててから
シャンプー
よく泡立ててから
体を洗う
よく泡立ててから
顔を洗う。
擦って洗うと
乾燥 ....
雪
乱太郎 作
雪がひらひら舞い降りて
少女の耳元
静かにささやく
――ごめんね
冷たいでしょう
手のひらの上で
溶けていった雪に
少女 ....
純粋に真っ白な雪たちが
ベールを覆うように積る
切なさも淋しさも
穢れすら隠そうとする様に
身も心も凍りつく前に
あなたに会いたい
早くあなたに会いたい
ゆっくり雪を溶かすように ....
無意味に星が綺麗に見えている
タンクは今も団地の奥に建っているんだろう
帰らなくなった故郷
逢えなくなったキミ
ドレスを見せてね、なんて
よくも強がったもんだ
実際写真を目にして込み上がる ....
涙が溢れそうで空を見上げる
雲一つない青空
風が頬を優しくなでる
澄んだ空気に心が溶け出す
逃れられない運命や悲しみに
心が震える
今日と同じではない明日に
....
僕は本を君に聴かせながら、窓の外を眺める。
星は今も流れ続け、夜空が部屋に入り込む。
無音の60分間、でも確かにこのテープに星を
録音した。彼女が僕に銀色のヘッドフォンを
貸してくれないから、 ....
わたしは秋に還る
いつから此処を
ふるさとと呼ぶようになったのだろうか
紅葉した楓の葉を見て
ああ やっと きたのだね
忙しかった夏の終わり
(それはあまりに急ぎ過ぎて)
....
ゆっくり静かにしゃべる人がすき
頭を撫でてくれる人がすき
音楽が大好きなひとがすき
絵が上手なひとがすき
少し寂しそうなひとがすき
黒髪がすき
メガネが似合うひとが ....
つたえたい言葉
のぞきこむようにして
きみと喋っている
意識をすぎてゆく
音にかえて
のぞきこんださきには
詩にもならないちんぷな台詞
ばかり
愛してる ....
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