すべてのおすすめ
ロシアの古い民謡に
生きる事の本質を問い
私は屑だ
....
そして今年もまた夏が此の世を
残酷に覆い尽くしてゆく
夏は光と影の鋭い{ルビ刃=やいば}で
其処彼処抉り取ってゆくから
見渡す景色は狂おしいほど彫り深くなり
抉られた処から噴き出すように
....
記憶は情報
とても懐かしい
ビー玉があったとして
もうそのことを忘れちゃっていたら
ただのビー玉
自分との距離は
等間隔
水に噛まれ
午後に噛まれ
音は深く
さらに深く
首輪をちぎり
血の手形をまとい
空へ空へ持ち上がる径
棄てられた営みのかたわらをゆく
冬へ降る冬
....
明日が良い日と
信じる人の
信仰に
まっすぐな瞳と
爽やかな笑顔に
絶望する。
明日はきっと良い日
空色から生まれた風が、
少しの遠回りをして やってきて
季節の話をしてくれる
静寂に波打つ風紋の砂の褥
焼けた肌は、夏を貧欲にむさぼり
求めるそれを手にするまで けして 止めようとし ....
{引用=
それがそこにあり
僕たちは離れて行き
そして
範囲を指定する
土砂崩れに
身を任せるわけにも
行かず
僕は
回転する椅子の上に座り
懐かしい風景を思い出し
....
与えて
渇いた男達に
解放の水を
皆、唯通り過ぎるだけ
それを知っているから哀しい
だけど微笑んで受け入れる
溢れる泉に
愛など無いけれど
放出された種は静かに棄てられる
乳ぶさのかたちをしたくもが
夏空に憂いをあたえている
満員の最終列車が
日付のさかい目で迷子になる
聖人のため息が
夕刊とともに2セントで売られる
ああ
古着屋で
はかり売 ....
街に出ると
街に溢れているひとびとが
数で私に問いかけてきます
あなたは誰に会いたいの
図書館に行くと
きちきち並べられている本たちが
さらに無言でたたみかけて来ます
あなたは何が読 ....
雨の日のヤマネ
からつむり
生まれたばかりのアメフラシ
カマキリ
なんの夢を見てるのだろうね
ぱたぱたする
そのしっぽのその下に
小さな太鼓でも置いておこうか
おいで
秘密基 ....
ほんとうのことは知らない
まつぼっくりがとても燃えやすいことは知っている
眠っていても
自分がものすごい勢いで回転していること
はるか遠い一点を目指して疾走していること
そんなことを知ってい ....
僕には重すぎたので
昨日に孤独を置いてきた
今日みんながそれを見つけて
見えないふりをする
でも孤独はみんなを見ている
深海のような眼で
子を探す母親は
探して探して町じゅうを
探して探してあちこちを
空き地を路地を公園を
橋下を覗き川面に目を凝らし
袋小路を野を丘を
森を林を墓地を巡り
家という家訪ねて回り
隣の町を裸 ....
砂漠には
牡牛や熊や鳩や鷹
大昔
それらすべてはひとつであったと
髭づらの人が
乱れる息を
掌の中
上手にすり合わせ
微笑み
「悪疫は煮沸消毒いたしましょう」
「悪疫を煮沸消毒いた ....
歌は要るけど詩は要るか
ことばは要るけど詩は要るか
イルカはいるけど詩はいるか
詩はどこにいるか此処にもいるか
卒論はハナモグラ語
ハナモグラ語における
平均異なり語数について
修論は異言について
非習得言語に対する人間の場面依存的翻訳能力
霊媒は何語で喋ったかということ
もちろんどちらの論 ....
その子どもには親がいなかった
そのライオンには子どもがいなかった
1人と1匹の目的は1つだった
そして彼らはともに出会った
寂しさは他者がいて初めて感じるもの
両者は初めてその ....
道を歩けば 犬とすれ違う
人とすれ違う
暗雲を 見上げ
虹を見つめる
屋根を見上げ
雨だれで 口を潤し
石ころの 匂いを感じ
緑の葉を 味わう
小石を拾いあげる
川の中に 放 ....
私はここにいますよ
と、教えてください
私はここにいますよ
と
ふたりになかった夏の陽の
少しの
眩しさに消えぬよう
ふたりになかった夏の夜の
ふるえる
澱水に溶けぬよう
....
本当のかなしみを知るひとは
かなしみのあり様をあれこれと邪推せず
涙で濡れた手のひらにあたたかな眼差しを重ねてくれる
本当のかなしみを知るひとは
ひとの過ちをあれこれと論ったりせず ....
葉月八日は身のためゆうて
この日は誰も船出しやーせん
凪いじゅうても泣き見るがやき
昔の昔はほりゃ{ルビ無茶=わや}するもんもおったけんど、
へんこつ、権太が目にもの見せちゃるゆうて
葉月の ....
突然にドアが閉まり外は雨で晴れた嘘で
求めあってそれを拒みそれを受けて袖を噛んで
意味を探す世界中の老いたメディア無為な学者
帰る場所はやがて私原子核の雲のように
情熱は延焼する劣化しつつ ....
季節風を操作して
思い出を計測するための
単位を探している
藍色の総譜には
奏でられない音符
アレグロの雲の行進
秋の実りにむけて
受け取りきれない
痛みと喜びを
....
石の詩を書きたい
原石などではなく
その辺のただの石っころりんの
ひん岩とか、けつ岩とか、あんざん岩とか
まずその名前
貧血とか安産みたいだよね
それから
掘らなくても川原に転がって ....
巡る季節のメルクマールは
春なら山吹色繚乱
秋なら様々紅葉だろうが
夏には草が深過ぎる
朝顔 向日葵 鳳仙花
白粉花と 夕顔と
露草 ねじ花 百日紅
小学校の夏休み
街を離れて ....
私の希望を思う言葉に知る
ひどくつぶやきに思わされながら
思う 私は 思いを
寂しげな憂鬱に浸っている
何もしない
そして 何もしないままである
私は遊ぶことなどなくいつも 音楽 ....
それは
芸術家が作ったから“art”なのか
それとも
美術館にあるから“art”なのか
もし前者ならば
芸術家のまわりは………
そう、書き損じの一つでさえ“art” ....
頂点を仄青く明滅させる三角形が
部屋の片隅に居る
銀のお手玉をしながら
華奢なアルルカンが宙を歩いて過ぎる
星のいくつかが
音符に変わり また戻る
硝子瓶がひとりでに傾き
グ ....
夜想曲
おお夜よ、おお夜よ
人は眠りを貪りながら死は恐れ
瞼を閉じて覆い被さる闇を追い出し
より暗い臓物の中へと逃げ込んで
しかし閉所恐怖をも克服する為
そこにマッチの軸で
天国の ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43