電球のひと ――ダウン症児の息子に――
服部 剛

かれはすごい 
てんかんの発作で
鼻の骨が見えそうな傷を負っても 
支援学校の上級生に引っかかれ
ほおに血を流しても

夜、パパが家に帰り 
ドアを開くやいなや
百万ボルトにまさるほほ笑みで
〝ぱっ〟と疲れたこころを、照らし出す  

今まで私は出逢ったろうか
息子のような者に
あの芸当ができようか
父親である、私に

ひとより染色体が一本多く 
八才にして未だ言語を知らない、かれを
私はそっとうやまう  




 


自由詩 電球のひと ――ダウン症児の息子に―― Copyright 服部 剛 2020-04-08 23:59:41
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