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上弦の月の輪郭が
曖昧に ぼやけていたので
夜空に向かって ぽつりと
愚痴をこぼしてしまった
月は いやな顔もせず
じっとそれを聞いていた
しかし
常に 横顔だったし
たまに ....
ピンクのレモンと
すっぱい 角砂糖 には
ただ ただ 拍手をおくるよ
そして
君に サヨナラを告げた
この 僕にも
憧れていたスーパーカーに乗って
夜空を飛ばしていたら
きみの部屋の窓から
片足がはみだしていた
靴下も 脱げる寸前
窓に横付けして
手をひいてやったら
車にドスンと乗り込んだ
....
つれづれに
ペンをとってみると
ぼくのノートには
きみのなまえと ぼくのなまえの
あいあいがさが いっぱい
かさの真ん中の線
まちがってかいちゃって
あせ ....
きみは
ぼくの将来を考えて
サヨナラ
と言ったみたいだけど
そんなのは
まったくもって本末転倒だね
ぼくの将来は
きみと一緒にいるってのが
大前提だったってこと
知らなかっ ....
僕たちが いつも
ダイヤモンドマンション と呼んでいた
あの 遠くに見える
宝石をいっぱい 散りばめたような
闇に光り輝く 建物たちは
ある朝
同じ場所から見ると
いくつもの 古い煙 ....
らせん階段をかけのぼり
幻影をつかむ
ジャンプしたら
地上がせまる
一転して、楽園の入り口
静寂を好む脆弱な聖者は
聖書を手に清純な青春をおくる
宙返りした中腰の天使は
....
目の前に棒があったので
それにつかまりながら
ぐんぐんと高いところまでのぼっていったら
ぼくは 雲の上に立っていた
正確には
雲の中といえるかもしれない
なにしろ
上を見ても ....
ばかみたいに・・・
ううん
ばかでもいいや
まちがってても・・・いいや
きみを
しんじるんだ
夕暮れになると海に行く
夕暮れ時の海は
まだかろうじて
空にひっかかっている太陽に照らされ
遠くをゆく船も
その意思を無視され
逆光に姿を消す
夕暮れ時の海は
ひ ....
煙草を切らしちまって
コンビニまで歩く
今日の夜空はきれいだった
いつもより
星が良く見えて
きらきら光った
俺に何かを伝えるように
三日月が
尖ってな ....
会いたい人に会えず
好きな人に好かれず
気違いだから居場所がないこと
気違いだから居場所があることの 勘定が出来ず
子供が転んだら すぐ泣くのをよく理解し
すぐ母親に 抱かれることを ....
肉体を支えるものが骨であるならば
空を支えている骨は人の想念である
人が空を想うかぎり空は空であり続け
けして空は空から落ちてくることはない
つまりそれは
人が人であり続けることと同 ....
きゃらめる 8
はな
1
あたたかくなるまで
まちましょう
きっとあいずがあるから
それまで
まちましょう
....
何気なく
ぶらぶらしていたら
花びらが飛んできた
俺の気に入っている
縦縞のシャツの肩越しに
やっとの思いで
止まっている
薄紅いろの花びら
俺はそっと ....
朝露に濡れた道を
金色に光る
なだらかな稜線へとたどる
うつむいた桜草が
風にふるえ
太古の海を弔ってきた
アンモナイトがひとつ
朝日を受けた岩の間に割れ落ちて
失われた鐘の音が鳴 ....
一人の命は地球よりも重いのです
ましてやそれが三つもあるのに
地球は一個しかありませんよ
命だけは助けてくださいと
あやまりなさい
お願いなさい
土下座もなさい
裸踊りもなさい
....
ぼくんちの黒い電子ピアノは
いちばん右の鍵盤が
壊れて 音が出ない
あんまり使わない音だから
いいんだ と
まわりのみんなには 言っている
けれど
ぼくは 時々真夜中に
もしか ....
まだ 誰にも言わずにいよう
まだ ひとりで
大切な 想いほど
しまっておいて
ときどき 開いて
そっと たのしむ
夕暮れの寂しさを
ひらりひらりと切り抜ける
たまに当たるけど
ずっとずっとの儀式になってる
夕暮れはどこも一様に夕暮れなので
眩しくなくなった太陽を見つめる振りをして
薄いグレイの天辺 ....
くちづけするよ
あなたの足に
あなたの指に
淡すぎる紅の花弁に
月の灯りが怪しげに反射して
あの瞬間(とき)の
上気した肌の色にも似た
薄紅色の
はなびらが
はなびらが
舞い落 ....
君はやっと決心がついたのかい
僕は君が海が見たいというから
東京湾に連れて行ったね
きみは
これは私の海ではないと泣いた
君の故郷は
雪の花が海に舞う
懐かし ....
受話器の向こう
一分の
透明な空気
自惚れないで
何にも伝わってやしない
無言で
空気で
....
どれだけあせってみても
一日が25時間になるわけでもなく
夜は 確実に
手を引いて 朝を連れてくる
起き抜けにのぞいた鏡には
昨日と同じぼくがいる
けれど
今日という日は 決して ....
「結婚しないの?山内さん」
とは セクハラなんやけども
小さい都市なのでまあ
お茶菓子とともに 語り合い
娘がおりますけど あんたら 話したらひきますやんかあ
アチラが立っても こちらは立た ....
ワケもなく泣けてきた
ワケもなく泣けてきた
と、言ったのはどこか嘘で
きっと なにかあったのだ
ぼくがそれを認識していないにしても
ドラッグストアでもらった風船が
靴のひも ....
我、思う。
声なき心が
月の水辺で
戯れん事を
昨日今日に
声の灯火が
溢れる事を
我、思う。
声なき足跡
月灯りの下
戯れん事を
昨日今日に
声の篝火が
灯 ....
ようやく
妻も寝床に入ってしまったあとは
明け方まで
卵を産んで過ごした
初恋のラブレター と踏ん張ると
名刺が産まれた
元気よく不倫相手 と踏ん張ると
辞令交付が産まれた
午 ....
どこか遠くの知らない国で
雪がしんしん降っている
大きな街の片隅で
人と人が出会う
どこか遠くの知らない街で
風がヒューヒュー吹いている
大きな街の片隅で
男がひとり
生き ....
入院病棟の生暖かい清潔な
空気を吸いこみ眠る
窓の外に見える
看護師寮では
真夜中にドアが何度も開閉する
夢を見るほど深くは
眠れない午前三時
静かに誰かが走り
病室の前を駈け抜ける
....
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