もう絵はやめた
そう言っていたあなたが
鉛筆を一本買ってきた
照れ笑いを浮かべながら
これだけで描けるものを
それが今の気分なんだと
紙を忘れてしまったと
やっぱりち ....
父がテレビを見ていて
「昔は良かった」とつぶやく
おそらく白黒テレビの時代だろう
私もテレビを見ていて
「昔は良かった」とつぶやく
だけどそれはカラーテレビの時代
父は「いしだあゆ ....
なんか違うんだよね
しっくりこないんだよ
居心地が悪いっていうか
今日一日ずっとだぜ
ずっと
最悪だ
ああ嫌だ
実を言うとさ
本来は
右寄りなんだ ....
とてもまぶしいあおい空だった
ひとさし指とおや指のファインダーで切り取った
わたしの空は
ただそれだけの
とても小さな
ソラでした
古本をさがしに
町に出たのですが
足をひねって
歩くのがつらく
花屋の前に
すわりこんでしまい
どこからか来た
蜂の羽音に
彼の目的が
花だと思いながら
か ....
手をつないじゃった
わたしほころびちゃった
言葉少なになった
ほうり込む飴玉
どこもかしこもとろけてる
目覚まし本人確認 奥底の
おでまし頬紅かんざし
遠目にわたし見たら ....
十年、こもった
もう良いかと思った十一年目の春
伸びた髪の毛が邪魔だった
二十年、こもった
意を決した二十一年目の夏
世界の熱量に敵わない気がした
三十年、たった
重い腰をあげた ....
何も書く気にならなくなりました
無力と言うか
脱力と言うか
何なんでしょうか?
諦めたんでしょうか?
燃え尽きたんでしょうか?
どんなにこんなに考えても
どん ....
宇宙の外がわのことを考えるのが
好き
果てしない気持ちになるので
心が宇宙になれた気がするので
考えても考えてても答えは
でなくて
まるで難しい数式について ....
{引用=
「おはよう、
せっせとお弁当箱に昼食を詰める
この世界のなんらかに収まりなさいと
話しかけてくる忙しげな背中
通学路に捨てられた雑誌には
艶びかりする牡牛の角と蛙の屍
女の子の ....
【それぞれが戦う理由について】
誰しも好きで戦場に立った訳じゃなかったんだ。
争えば体は傷ついて血を流すし
後には心を痛めることだって知っているから
本当 ....
遠くでサイレンの音が聞こえる
今夜は誰がハッキングされた?
世界が裏返ったり
誰かが寝返ったり
こむらがえったり
毎日誰かが射精と受精を繰り返す
毎日何処かで誰かが出生 ....
とうとう一度だって
私を嫌いだと
言ってくれなかった君に
私の一部はまぎれもなく
深く、君由来だという事実の
どうしようもない申し訳なさに
あの子が初潮を迎えたときに、
心の底か ....
心ってね
痛いとき
言葉 なくすの
心ってね
悲しいとき
なにも言わないの
心ってね
さみしいとき
さみしくないって言うの
それがだめでも
そう言うの
悲しいね
この際、生理や物理なんて
大人のお伽は邪魔だ
畳の上に、
ヨーヨーなんかとぶん投げて置くさ。
柔らかなまま
君のおちんちんを引っぱって引っぱって
電車に乗って、新宿で乗り換えて
上野動物 ....
試験管の中で農場が溶けた
後に残った僕らは、帰り道
アブラ菜の咲く側で
何かの小さな骨を三つ拾った
お互いにひとつずつ持ち
残りのひとつは
骨が欲しくて困っている人に
あ ....
娘たちは
もう眠ってしまった
何も書かれていない短冊がひとつ
テーブルに置かれている
なあ、父さんは
こってり疲れてしまっているから
願いごとなんて
ひとつも浮かばないんだ
静 ....
「織姫、彦星」
一、
年に一度の逢瀬の日だと地上が先に盛り上がってしまい、天上の二人は今ひとつ盛り上がれない。
二、
毎年「あの時の子よ」と織姫は子供を連れて来るが、ど ....
昔たってそんな昔じゃない昔
筑豊とかの炭鉱では女のひとも坑内で働いていたらしい
上半身裸で乳房丸出しの腰巻き一枚
薄暗く蒸し暑いヤマの奥底で
気の荒い男衆に混じり
掘り出したばかりの石炭 ....
最近、ライト・ヴァースや大野 新という詩人に興味があり、調べたりしたのですが、本が図書館にあまりないので、その二つの言葉でひっかかった天野 忠の詩集を借りました。
ところで、ライト・ヴァースって ....
人の善し悪しってのは
すぐに「キライ」って言う
そんな単純なことじゃ
わかんないんだよ
自分に都合のいい人が
いい人じゃないんだよ
親や友達じゃないから
そんな無責任なこと
平気で言え ....
もしも、もしもだよ
詩に学校みたいな”決まり”があったら、いまごろ
私はどんな詩を作っていただろうね
きっと作り方が”決められ”ていても
僕は作りたいのを止められないからさ ....
特別じゃない人生を
祝福してよ
神様
どうせあなたは
永遠が選ぶ人しか
認めないんだろう
信じる者しか救わない
そんな神様
私は信じない
今日も
街の片隅を
げんこつ握っ ....
学問ではなく
経験でもなく
喉の渇きをただ癒すためでもなく
僕は君の元へいそぐ
言い訳したくはなくて
君はたぶん泣いている
それはそれで困るのだけど
君が笑っていると僕 ....
私はあなたの子供です
でも、私はあなたではありません
私はあなたから生まれてきました
でも、私はあなたのものではないのです
私はあなたに育ててもらいます
でも、私はあなた ....
「今日は死ぬにはとてもいい日だ」
風が吹く
ヒマラヤスギが黙然と口を閉ざす草原で
空気に重さがあること
シルバーアロワナの鱗に始点も終点もないとして
明日が普遍してもいい ....
バナナのプロパガンダ
バナナは長い
バナナは黄色い
バナナは湾曲している
バナナは南国産である
バナナは安い
バナナは皮剥きやすい
傷みやすい 黒ずんで行く
バナナは可愛い
バナ ....
芸術家なんてものは、名前が売れなければ金は無い。人間が生きていくには金が要る。名も無き芸術家は、生きていけない、死んでいくだけ。
もう駄目だ、と呟いて、自分の意思で死んでいこうとする画家がいた。 ....
この感じは何だろうか
目の前の景色が歪んだ
夜中でも咲いてる造花
そんな例えが浮かんだ
花は愚かな自分と等価
悔しくて口 ....
私は血を流す
彼女はそれに指を絡める
水膜を少し張った彼女の目から
ひとつになりたい、って感情が見え隠れする
{引用=
「“愛すなら血の一滴まで”
って歌詞があったから、」
....
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