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問い直せない問いばかり
白い段差に降り積もる
足もとにくずれては舞い上がり
白い段差に降り積もる
くずれるものらは道になり
道の下へと波打ってゆく
吹雪のなかを
....
車に轢かれつづけた傘が
側溝の泥のなかで鳥になり
やせた鉄の羽をひらくとき
午後の空はもう一度泣き
街をゆく人々の手を濡らす
目を閉じてもひらいても
夜に重なり現われる
光りかがやく胸のかたち
蒼のなかのからくりたち
高らかな鉛の奥から指さし
水面の緑と並んで馳せる
星と同じ色の曇
星と同じ ....
手はくりかえし空を混ぜた
遠くなり 近くなり
ひとつの重なりにはばたいた
触れる色 触れる音
傷のような軌跡に満ちた
溶けては響きと光になった
水と水をつないでいた
....
ふくらみを抱いたふくらみの横で
かがやきの子はじっとしていた
青しか見えない青の下
息のような明るさの下
午後のふりをした午後のあつまり
誰が造ったのか忘れ去られた
....
そっといじけたような光でいる
まるくまるくなでられたいのに
そっぽをむいて目を閉じて
大きな花の実を食べている
ずっとむずがゆく思っている
ときどき次の次がほしくなる ....
小さな円にあふれる花
雨の朝の鳥と痛み
夜の網の無音と光
午後に横たわるひとのかたち
置き去りにされた灯と灯の間で
光は踊りつづけている
みんな
何かに乗ってい ....
音はかたちに
かたちは音に
震えあう声
見つめる光
会話 滴 滴の石たち
つづく星
つづく星の水の輪たち
緑衣の子が帯をとき
首に二回三回と巻き
残りを胸の間に ....
空のくちびるのまわりを
たくさんの魚が泳いでいる
曇の奥の曇に染まり
行方は次々とひらいてゆく
涸れ井戸を囲む湖に
金属の破片が降りてきて
細い道のあつまる道に
....
粒の柱が降りてくるころ
銀はかたちを変えつづけ
ほどけるようでほどけずに
そろえた両手を羽とは逆に
ゆっくりゆっくりのばしている
惑いは惑いにはばたいて
飛び立つことさ ....
光ではないものをずっと見ていた
ゆらめく夜をずっと見ていた
倒れるために在るものばかりが
わたしに向かって近づいてきて
わたしのなかへと消えていった
目の前に
目の前で ....
そこには居ないものの影が
たくさんの影に混じっている
やわらかい草と硬い草の境いめを
音はまぶしくかき分ける
紫に囲まれた桜色の道を
ふたりは手をつないで歩い ....
たくさんの波の際に立ち
波があることを喜びながら
際に立つことを問いつづけている
沈む泡 残る泡
碧と緑の輪
まわる まわる もどる
波は波の ....
手をひらき
髪の葉に触れる
手をひらき
道の葉に触れる
手をひらき
手をひらき
離れゆく光の手に触れる
巣にかかった糸くずを
蜘蛛がじっと見つめている
....
色を伝って
つなわたり
風と窓枠
夕べの衣
水に濡れたままの効能書き
治りたいのでしょう
治りたくないのでしょう
あなたと一緒にいたいのでしょう
木の香りがいいでし ....
滴の内にわたしは居て
滴に映るわたしを見ていた
笑うわたし 泣くわたし
音を持たないわたしを見ていた
滴の外にわたしは居て
滴に映る昔を見ていた
歪んだわたし 虹の ....
吠えるものが増してゆく
渦まくものが増してゆく
雨の終わりに流れ込むもの
ひとつの腕に映り込むもの
うねりは低く増してゆく
車輪と鉄柵
夜の雪雲
曲がり角の精霊
火 ....
巡りつづけるものたちの
行き来するものたちの歴史の羽
雨雲の胸に
水草の陰に育まれていく
生きることの終わりとはじまりに咲く花が
鈴のように鳴りわたる
葉の色はこ ....
はじかれては爆ぜ
はじかれては爆ぜ
坂の闇に散る金の音
水をたたえた月の音
標は変わる
標はまわる
夜と交じわる道の上
涙と光に満ちてゆく
きらきら近 ....
空を一巡する声は
風のつづき
鳥のつづき
手わたされる糸
瞳の軌跡
夜から朝への
器のつづき
しっかり速く
黄金に変わり
こぼれ落ちる火
紡がれる ....
暗がりは水
途切れるのは色
途切れつづく香
目をつむる自分
進むのは声
鱗に光る窓
走る夕べの端
散らばる自分
振動 針
撃ち出される音
あが ....
路の灯りが
土を照らしている
土の下には
鳥が眠っている
目覚める鳥にも
目覚めぬ鳥にも
朝は
羽を置いてゆく
光のなかの穂
花のなかの舟
うなじ
呼び声
....
道端の一本の木に
子どもが何百人も隠れていた
東の方から来たのだという
水がほしいというので
水をあげていたら明け方になった
狭い場所と
大きな音が嫌いだというので ....
片方の手のひとさし指に
目に見えない傷がついて
治っても治っても治らない日々にも
わたしは言葉を書きつづけている
くりかえす傷と傷のなかで
わたしは傷つけ傷ついてゆく
....
歩むもののまわりを
木がまわり
林がまわり
色になり
光になり
やがて塔になったとき
音ははじめて姿をひらき
共に歩むものとなる
抱かれたままでいる
何かに ず ....
背中に入り込んだ紐が
誰かに引かれて灯る羽
骨のあたりでちらちらとする
虫のあつまり
綿のあつまりのような光が
鉄の柱とともにつづいてゆく
追う音の少なく
見 ....
空はふたつ
互いを追いかけ
雲はひとつ
高みへのぼる
たからもの
たからもの ふりくる
誰のなかにも
物のなかにもあるものが
聞こえくる
聞こえくる ....
雨を抱えた朝の傷
ただ静かに銀になる
ただ静かに鳴り響く
縦の傷をよけ
横の傷を踏み
円い傷の外周をゆく
点の傷を飛び越え 飛び越え
光のほうへ転ばぬように
....
もうずっと長い間
止まったままの時計に向かって
話しかけてきたような気がする
まぶしい午後の光のなかで
ずっとずっと独りで
引き出しが外れて飛び出して
つぎつぎと重な ....
朝と別の朝はつながり
声や水を憶えている
光や傷を憶えている
頬をかすめゆく小さな 小さな
見果てぬもののかけら かけら
定まらぬ世界をゆく定まらぬもの
水色と銀色
....
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