緑衣の子
木立 悟



音はかたちに
かたちは音に
震えあう声
見つめる光
会話 滴 滴の石たち
つづく星
つづく星の水の輪たち



緑衣の子が帯をとき
首に二回三回と巻き
残りを胸の間にたらし
はばたくように駆けてゆく



流れ落ち したたり
濡れ落ちる
空にもどり
地にもどり
水の色はくりかえす
源のかたち
旅のかたちをくりかえす



まとまりがないのにまとめられた光が
またまとまりなくはらはらもどり
子のからだと衣をめぐりゆくとき
まとまりのない日の空の心は
赤に笑みに緑に染まり
雲から雲へと伝わってゆく



ためらいもなくひるがえり
歪みにも無にもひらかれる
鏡を見つめる鏡の内の
数え切れないはざまに歌い
滴の石の輪に歌い
かがやくものに耳をかたむけ
星の衣 草の衣に歌いつづける



霧雨の光は晴れてゆく
子ははためくように駆けてゆく
首に巻いた緑の帯を
帯を失くした子に手わたして
滴に濡れた手をとって
午後の原を駆けてゆく
二つの光に駆けてゆく









自由詩 緑衣の子 Copyright 木立 悟 2004-12-10 16:08:36
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