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ひとは指折り数える

その日の訪れを確かなものにしようと
指を折り
心に刻み込む
自らの身体に刻み込む

いつの日か死は必ず訪れることを知っている
それでも
死に往く日まで知ろうとす ....
それは私の一部

私は音となり
あなたはその音で
美しい音色を奏でる

深い森の静かな朝
川の流れと風がささやく
静かな音色

まだうまく歩けない
子ぐまをやさしく見守る
暖か ....
ホームに立ち尽くして 聴いていたよロックンロール
今夜解りあえるのはこのメロディだけさ
ひと気のない電車のシートにもたれこみ
今日の疲れの中でひとつため息をついた

ところどころに点滅する明 ....
前略。

眼を閉じて、
瞼の向こうのあの入り江まで、
ずっと、
裂けてください。






一。

 かわいた夜のあなたは眠れない、寝葉樹 ....
正気を失いながら、それでも
わたしたちは、生まれてしまうのだろう
何度も、何度も、
そしてほんとうは
一度だって、死んだことはなかったのだと
臨終のそのときに、知るのだろう



  ....
液晶の画面の中では
愛と恋とが
消費されて擦り減って
それでも笑顔を忘れずに
人間の傍にぴたり、と
まるで一人では生きられない
飼い馴らされた犬みたい


マニュアルなんて
何も知 ....
この頃は
新聞の死亡記事を切り抜いて
町内の電信柱に
べたりべたりと貼り付けることにしている

今日もこんなに沢山の人が死にました
毎日毎日人は死にます
これだけの人が死ぬ中で
わ ....
立ち止まったところに
誰かの{ルビ欠片=かけら}が落ちていたので
拾い上げてから交番に届けようとしたら
持ち主らしき人が
不安を抱えたてこちらへ歩いてきたので
「捜し物はこれですか?」
と ....
いつでも急いで履くし
履きかけで何歩も歩いてしまうので
かかとから靴はいつでも痛んでしまう
妻も老いた母からも
もっと大事に履けとか
みっともないから止めろと言われるが
そういうことに構う ....
 そっと
 手のなかで砕けてゆくものを
 花、と呼びます



透きとおる風に
聴きそびれた使いを
そのみちを

ためらいながらも、
懐かしむように
かばうように

 ....
[#include]

  しじまの夜 雪の窓をぬぐう
  煌々とした明かりは ふもとで溶ける

  Mizu no Eki wo dete
  Yoru ni Kanojo ha I ....
あなたに
君のセックスの意味が分からないと
意味の分からない質問をされて
質問という言葉の意味を問い直す作業をしていたら
分解された

別れられないはずだから
分かり合える
離れ離れに ....
もし、ね
あのとき 僕が君の手を掴んでいたら
もし、ね
あのとき 僕が君の名前を呼んでいたら
もし、ね
あのとき 僕が君に想いを告げていたら

もし、ね
あのとき 僕が自分より君が大切 ....
さようなら、の向こうで
夢、夢の花が揺れる
その花びらの裏側で
思い出が溜め息をつく

生きて行くことは
分かれ道の連なり
傍らをゆく風さえ
その地図を知らない

今日にうたえば
 ....
多摩川に架かる鉄橋を渡りきる頃
メールの着信を知らせる携帯の光が走る
両親も恋人と認める彼からのメール
簡潔な朝の挨拶に優しさ溢れる短いことば

先輩は幸せ過ぎるから

傍から見ると憂鬱 ....
(きみは近く
 足元から古い崖が、伸び悩み

 きみはすぐ下のことが分かる)

 ひどく、近く
 じっとしている
 長いこと
 息を奪われて、呑みこんだ夜
 ふさわしい音はながれ ....
白線の内側を
遵守するものにはわからない
よごれ
くすみ
否応なしに手にさせられる

白線の内側を
順守しないものにはわからない
うつくしい
かがやき
届かないからこその憧憬

 ....
 
わたし、
だからうまれたの
 
 
きゅうたいのいのちに
いくどとなく
はもんがつたうとき
わたしは
すいてきになる
そのあと、
またいのちになる
 
からめるいとは
 ....
鼓動を知っている
急激に階段を上がり
寝床に入ると
生きている苦しみと共に
息切れと共に
脳を覆う

熱を合わせると
寝床が海に変わり
大海原を旅する船になる




鼓動 ....
元旦の空は
いつも真っ白い
何故だろうと見上げていると
西の方から
青い鳥が群れを成してやって来て
ばたばたばたっ
と次々空に貼りついた
瞬く間に青空が出来上がった

鳥たちはかちか ....
ジェシカ、
42口径の
悲しみを胸に
押し当てて
お前にいつか
言いたかった事が、
言いたかった事が、
あるんだ。
 
ビルの向こうから
何気ない日々とか
ありきたりだとか
朝 ....
 
 
 
震える夜の終わり。
凍えるガラスに浮かぶ水滴を、指先でなぞった跡。
(それは秘密)
静寂が止まったまま、もうすぐ夜の終わり。
灯った【願い】は、どんなにちっぽけでも、こんな夜 ....
(たくさんのパルス、)
 
 
脈拍が歌う
それは波紋であり、
いのちだ
 
水溜まりと等しく
空を映した鏡と、同じ
青や赤をまとった
一筋の糸
 
 
(たくさんのパル ....
やっとのことでぬくもった指が
水にふれた
気がした


また凍るのか


雪の味をいつまでも
いつまでも憶えていて
そういえばそれはひどく愛しかった

はるか上空から
落ちて ....
昨日哀しみを突き放し
今日の瞼は何も隔てない

地表を渡る細波を
裸足でなぞり
葉の無い枝のように
四方へと手指を広げている

数羽の鳥が羽を休める
屋根の上には
ソーダ色の空が
 ....
紅白見て
除夜の鐘
年賀状
初詣

お雑煮
伊達巻
蒲鉾
黒豆

何でもない幸せ
形のない幸せ
酒に酔う
1年で1番
きれいな心
書初めをする
「幸せな国日本」

 ....
 
 
 
 
 
 
水玉の反射光
少しだけ、離れた目線
 
水滴が頬を打つ
その、一瞬くらい前
私は私より
ずっと私だった
 
 
足元が脈を打つ
それは轟きであり ....
でんりゅうとまると
しびれるんやて
しびれたら
いたくなくなるんやて
ほんで
いたくなくなるまで
しびれてしまいたいんか
いうたら
そこそこはいたみも
のこてるほうが
ええおもいで ....
おおはばきん
新しい言葉を一つ作ると
世界から一つ言葉が失われていく音を聞いた
それはながいながい車の衝突音に近かった


下半身が老人ホームにいつも向いている青年
後ろを見たければ目を ....
(水槽から飛び出した金魚の体温)

煤けたような暗がりで
瞳が開いていく
洞窟の中をずっと迷っているような
コオロギの摺り足
夜には手が届かない
指先が触れる闇の境界線、それは
ひんや ....
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