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あの丘に建つお菓子の家は
幸福だけでできていた
パステルカラーと甘い匂い
君はいつだって笑っていたね

だから君が
あの家を出るときに見せた
心底悲しそうな顔が忘れられない


あ ....
手の内ではじける
しゃぼんだまに似た空に
遠い影を投影しては
また、見上げている
 
影送りだなんて
とうに忘れ去られた遊びを
何度も、何度も
繰り返して
 
 
空を横切る
 ....
かぶとの木と呼ばれていた
通学路沿いの
道から少し滑り降りて入る草薮の中の
真ん中がくり抜いたようなくぼみのある木

樹液が蜜のようで 夏にもなると
かぶと虫や  ....
夏の朝
白いテラスで
ラジオが唸ってる

はるか頭上の風は
あまり動いてない
雲も眠ってる
テーブルクロスも

キッチンから
また君がドーナツを揚げる音と匂い
揚げたては好きだけ ....
朽ちてしまった
 
想い、は
 
2000年になった瞬間に
冷凍庫にしまった
 
 
7年経った今
解凍しようと
キッチンに出しておいた
 
月日が長かったせいか
カチコチに ....
 夕刻が近づき
 ネオンサインが灯り出す
 歓楽街に仕事を終えたサラリーマンが
 群がりだし
 熱で火照った空気が放たれる
 
 虚ろな時を友にする俺は
 ありもしない物語を語っている
 ....
あさ
ゆうやけ色のやさいたちを
こわしてゆくときに
ふと香る 昨夜の
ねむりにおちてゆく、
やわらかい
眩暈



きょうはいつも きのうの続きだから
きのうの夜も
まくらにほ ....
無制限自己満足 個性注入散射乱配
当然一蹴自己啓発 単刀直入銃撃戦

妄想世界自己完結 反逆嗜好種子保存
攻撃補完理想風景 電子変換洗練昇華

逃亡無難真骨頂 一寸先闇迷曲多発
上昇志向 ....
フラットしたまま
夕暮れていく
音楽室からは
いつも
音のない
演奏会

放課後に
わたしたちは
どうしようも
ないほどに
透明で
同時に
不器用な
温度で
つま弾いてい ....
あずき色に染まり
落ちてくる空を
二日酔いの電信棒たちが
支えている
昨年を引きずった神さまに
ぼくの肋骨を
あずけることはできない
だからといって
飛び去った鳥たちを
埋め戻すこと ....
ひとりぼっちで
過ごしたい夜が
みずたまり
雨の波紋が
せまいむねのうちで
干渉しあう

ふたりだけで
見つめていたい夜が
みずうみ
交互に投げ入れた小石が
たいがんへ
消える ....
目を瞑り
微笑んでいたのは
遠い日の残像に似た
脆い、光
 
壊れないように
そっと、手を触れてみる
優しく息づくそれに
耳をすませた私は
ふと、安らぎを覚えて
 
 
多分そ ....
今日は校外学習の日
「学校の中にはないものを
たくさん学んできましょう」
校長先生のあいさつが終わると
バスに乗って決められた場所に
向かっていった
どこをどんなふうに走るのか
ぼくには ....
するうりするり
溶け込むようにひいらり舞った
{ルビ幾許=いくばく}の後悔とともに
柔らかに受け渡す

{ルビ凪=なぎ}の合い間に
ゆれる{ルビ八足長=はっそくちょう}

舞い上がる
 ....
内出血の赤黒い斑紋の雲が月を
夜空の剥がれかけた爪にする

夏の海、と
あなたが決めつけたとき
波は季節を、海は名前を失い
水はただ塩辛く

  傷だけが夜空にあるなら嫌いだ
  黒 ....
波の音に耳を潜め
ふたり
貝殻の奥に

 

響く

 

声を
懐かしみ
涙ぐむ

 

さよなら
波の花
消えゆく白
さら さら さらり

 

手を ....
ただ、塗り潰したら、
真っ黒になるから
僕は世界を彩る。

ただ、形を創ったら、
詰まらないから
僕は世界に求める。

光り輝く金、とか、
鈍く光る銀、とか、
清々しい蒼、とか、
 ....
車椅子に座る 
小さいお婆ちゃんを 
前から抱きかかえる  

少し曲がった 
「 人 」という字そのものに 
なれた気がする 

ごめんなさい、ごめんなさい 
と繰り返すので
な ....
欠落していく魂の中で
必死に描く記憶と
不安定な陽射し

歪む蜃気楼
細めた瞳の先で
薄く細い奇跡の糸を手繰り
編み込んでいく明日

儚い音色は
ステンドグラスを彩る様に
優しく ....
都会の道路に沿って
綺麗に並べられた街路樹は
まっすぐに立っていたが
その緑は曲がっていた
歩行者や大型の車に合わせて
その枝と葉は
捻じ曲げられていた

緑はいつも
土や大地の色は ....
その瞳の奥に、死神がいる

パンを食べたくて、死神がいる
 
深い海を
描いてみて
七色の魚を
泳がせる
ゆっくり
ゆっくり
沈んで
でたらめを
好きなように
歌いながら
そっと
目を閉じて
揺らいでる思考
掬い上げて
笑いかけ ....
夏の
夜が
激しさを増し
ぼくは
水が欲しかった
とても

海水浴
波に
持ち上げられて
足がもうつかない場所へ
つま先に虚無が触れ
頭上には
目を閉じても赤い
太陽

 ....
すれちがいたち
ひびきたち
ある日ふたたび
はじまるものたち


雨のなかの火
海辺の火
生きものに囲まれ
朝の霧を燃す


髪の毛から見える
耳の応え
ひらい ....
胸騒ぎがするので
メリークリスマスと
小さな声でつぶやいてみた

すると
それが合図だったかのように
リンゴが枝から落ちる

落ちたら
すぐに
腐ってしまう
それはいつものこと
 ....
1 + 1 = I Love You

2 - 1 = I Miss You
「フラノ」というレストランで
イタリア料理を食べてから
私は回想バスに乗り
帰るべき家をさがす旅に出た

バスが「いのちの相談センター前」を通過するとき
入口に行列ができているのが見える
 ....
汚れた雨が蹂躙する街角で
傷をかばいあうために手を繋ぐ
傘を持たない日だけ、どうしようもなく
君の手があたたかくて
切れた指先が痛みを増した

僕の手は
どんな温度で君に ....
 
星を被ってみたいんだ

空の全てと夢の中へ

ヒステリック・モードを捨てて

君の全てと夢の中へ

小さな鼻を一つ鳴らし

僕の目の前クルッとターン

吟うリズムに君の耳 ....
楽しみも
悲しみも
自分の体で
起こっているもの

いつも恥ずかしがり屋の
雨の中を立っている
心を痛め
苦痛に耐えている

心の滴が落ちた
夢は流れた
世界の人々が幸せで
 ....
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