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所狭しと立ち並ぶ家々を見ると
さながら箱庭のよう
走りゆく電車をみれば
そこは鉄道模型の世界
久しぶりに感じた鳥の視点
僕の心は夕焼け空に溶けてった
{引用=
1997
....
白いプラスチックの大きな箱の中で
さっきから火事
もうもうとグレーの煙
激しい咳き込み
箱の下からは
ちょろりちょろりと流れ
とても清そう
ひとくち飲んでみたい
箱の上空では
....
明日も生きていてね
と君は言う
たとえ明後日生き返るにしても
明日君が死んでしまったら
やはりそれは悲しいから
明日も生きていてね
と君は言う
なにかをかなしがるような眼で
ど ....
蚊を次々と叩いて
殺してゆく
止まった空間
泣き叫ぶ虫ども
神への声は
湯気の向こうに消えて
届かないんだよ
蚊は、たたずんでいる
かわいそうだったから
潰した蚊を
空 ....
日々の砂漠に
埋没された
わたしは一本の指
墓標のように立ちながら
指の腹にひろがる指紋は
いつからか
一つの瞳となり
遠くから荷物を背負い
こちらに向かって歩いて ....
太陽が
触れるほどに膨れて
私の頬の辺りを
じりり、と焦がしている
へばりつく髪の先に
小さく火が灯って
そのまま燃えたいと願う
溶けてしまえたら、と
その日
世界 ....
そろそろ
世界が終わりますと
アンゴルモアが
満面の笑みで
ニュースで伝えている
外に出ると
風が吹き荒れて
エメラルドが
散乱している
人の寂しさでこしらえた、
円形のど ....
下斜め、25度
並べ立てる熱血
その全てに僕は
呆れるほど
青い空
赤い夕日に染まった
難しいもんだなぁ
タオルケットに包まれて
ひとつ
大きな夢をみた
色は 知らない
音は 要らない
そんな
ただぼやけた場所
温かい
夢だとわかっていた
から
....
光がきれいだといいますが
朝日が夕日がきれいだといいますが
太陽で人は死ぬんだと思うわ
....
死なんといてえや
おってくれな
生きていかれへん
そんなん めっちゃ
かなしいわ
ああだこうだの理由やのうて
そんなん めっちゃ
かなしいわ
そんな ....
混じり合う
紫越しに
薄煙を見て
つま先で
水を弾くように
駆け出した
風切る頬を
午前に残して
水平線の先に
潜り込む 指先から
少し遠い君の手
湿って宙を掴む
影が坂道を ....
五月雨からながれて
からげてもう八月の空
入道雲
うつむくきみのこころはとけない
あいすきゃんでぃーみたいにとけない
あまくない恋心に
下心は通用しない
せみみたいにまっすぐきみ ....
八月が終わらなければいいと
願っていた
そのときわたしは
小学五年生で
朝顔を上手に育てることが出来なかった
そして
支柱にぴよぴよと巻き付いた
枯れた朝顔に
まだ毎朝ぼんやりと水 ....
どうして
約束を
結ぶと言うのだろう
つないだ手は
結び目のよう
雨に濡れると
もっとかたくなる
強くひっぱって走った
雨の檻つづく
強くひっぱられて走った
かたく
....
あるひとが言った
世の中の戦争は
おとこが起こしたもの
おんなには罪の無いはなし
そして
ほかのあるひとが言った
そんなおとこを産み
育てたのは
わ ....
夕陽が呼吸する
昼を吸って
夜を吐いてゆく
夕陽が広がる空は
とてつもなく大きいけれど
その呼吸は
かすかに揺れているだけ
夕陽は静かに呼吸する
微かに夜を吐いてゆく
全ての ....
朝が来たので洗面台で顔を洗っていたら
排水溝の中から声がしたので
どうしたのですかと尋ねると
流されるままに生きていたら
ここにたどり着いていましたと返事があった
申し訳ないですが僕は時間が ....
夏ごとに
おしゃれになってゆくおまえが
自慢のミュールで前を行く
{引用=
(なぁ、おまえが選んだっていう
(このお父さんの水着
(ちょっと
(トロピカル過ぎやしないか
}
いつか
....
どこにでも手に入る
いつでも目に入る
そんなモノに囲まれて
いつも当たり前だと思っている
けれども
それを作る工場は
最初はそれが何であるのか
さっぱりわからない
何も関係なさ ....
ここに繋がれ
二年と少し
俺の部屋
上から見下す奴がいる
いっつも目が合う
犬が笑う
人間どもよ
笑うのは人だけの特権か
お前達だけが特別だと
勘違いするなよ
....
ひなになれない
わたしは
せめてもの抵抗として
日々を生まれ続け
翼はとうに
ぼろぼろ
飛べたためしなど無い
それなのに頑として
語り継ぐことを
断ち切らない
....
夢現な朝露が
透明を保つ空気の中で
そっと
身体を震わせる、朝
細やかな振動は
私が眠ったままの揺りかごを
徐々に強く揺らして
目を開くことを
強要する
ああ、空に ....
イーダちゃん
62年目の朝が来ました
日本には あなたを苦しめた
原爆は 落ちていません
だけど この地球上で
戦争によってばらまかれた
放射能で
殺され 傷つき ....
祭の金魚すくいで義理でもらった
間に合わせの小さな薄いビニール袋に
入れられた時から
すでに水がこぼれていた
それでもそこから漏れてくる水を
押さえながら
そろりそろりと家に持ち帰る
....
まばゆいばかりの酸素に
唇を押し当てて
小さな喘ぎを零しながら
私は生を感じる
生温い風が
吹いている時は特に
窒素と二酸化炭素の分離
あぁ
呼吸してる
....
真夏の陽炎の向こうから
短い編成の列車はやって来る
そのいっぱいに開かれた窓から
ショートカットの後ろ姿が見える
列車の外から
車両の様子は
ありありと伺えて
制服の脇に置かれた ....
らうあ らうあ
翳りの帆
道を泳ぐ道を読む
悲しさになると
消える悲しさ
空と水をつなぐ坂
そばだてた耳が唱になり
影を踏まない影の足もと
ほころびをひとつ ....
高い空から照りつける
強い陽射しがじりじりと
焦がれた土は風の手に
夏の匂いと蜃気楼
細い川から流れ出す
静かな音でさらさらと
潤う水は風の手に
夏の匂いと糸トンボ
小さな店に ....
いつまで経っても動くことのない
「もう一度」
を求めながら
僕は夢遊病者のように歩くよ
てとてと、と踏んだ畳には
陽にやけた跡が真新しく
そこにあったある物を思い出させた
....
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