パルス
山中 烏流


(たくさんのパルス、)
 
 
脈拍が歌う
それは波紋であり、
いのちだ
 
水溜まりと等しく
空を映した鏡と、同じ
青や赤をまとった
一筋の糸
 
 
(たくさんのパルス、)
 
 
抱き締める虚空は
いつだって柔らかい
それは、君の肌であり
(瞬くと
私の吐息にもなるからだろう
 
随分と遠く
歩いた気がしている
君は、
何処までも愛だ
 
愛だ
 
 
(たくさんのパルス、)
 
 
水滴の艷めき
いずれかの、白
降るよりも早く落ちる
色が
瞼を惹き付ける
 
私が伝う
その、後先に広がる
足跡はいつも
一つであり、無数でもあった
 
 
(たくさんのパルス、)
 
 
君が触れたのち、
芽を吹いた
 
それは限りなくいのちで、
私を模したあと
溶けて、しまった
 
澄ました耳を
そっとたたんでいく
(ほら、
あたたかい
 
 
(たくさんのパルス、)
 
 
響いて、いる
 
私の奥
そっとノックして
 
笑って、いる。
 


自由詩 パルス Copyright 山中 烏流 2008-01-05 00:03:35
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