すべてのおすすめ
麗らかな春の匂いはどこにある
梢の先の小さなつぼみ
清らかな春の光はどこにある
川に流れる小さな雫
ゆるやかな春の動きはどこにある
日なたで伸びる子猫のあくび
新しい春の心はど ....
行き着く先は
標本学
無言の月ごと
ホルマリン漬け
かじかむ事すら
忘れた手
恋の形見よ
貴方をかざる
鍬を肩に明日の日和のたしかなるを
友と語りつ茜さす道
亡き兄が呉れし つつじの花濡れて
五月雨暗く今日も降りつぐ
寒の水 喉鳴らしつつ飲みほして
湯上りし吾子 大きく息す
....
あいうえお
かきくけこさそ
さしすせそ
たちつてとたと
なにぬねわをん
知らぬまに歩き始めた恋心
おんもに出してとみいちゃんが言う
開花予想なんか気にせず咲きなさい染井吉野も河津桜も
駿府城見上げる街に銀座の柳、本家の柳も青く色づけ
おっ ....
悪い子は見つからないパパにもママにも見つからないぼくは悪い、
押し入れの中は宇宙だから漂う星たちは涙じゃない。
膝を抱えて星座に ....
{引用=
【悪魔の証明】あくまのしょうめい
「ない」ことを証明するというだけのとても簡単で難しいこと}
空白く(あれ)僕がいるはずだった夏のブラジルゆきのひこうき
ビートルズゴ ....
始発点 ⇒ マントルを経由いたしまして右手にみえるは凱旋門でございます
週末を変形させる歌ひとつ飛んでボスニア・ヘルツェゴビナ
ダビデ像いりませんかと営業をインドあたりにひゃっ ....
バレンタイン
伝書鳩も今日だけは
ハートのチョコを配達します
サメですがあなたを食べたりしませんて
彼は頬白、僕は甚兵衛
カメレオン
実はほんのり悲しいの
わたし ....
建国の日に初老の夫婦と共ゆきて京洛の地に遊びたり
戦前戦中戦後、家族で暮らしし家今は喫茶店となる
両手に掴めば幼子のごと妻の裸足はほのつめたきかな
砂売りの国砂買いの国向けの砂の輸出を止めるそうなり
下らない嘘に心を乱す僕 もうそれ以上笑わないでよ
もういいや だってコーヒー冷めちゃうし。あの日の指きり果たせなくても
{ルビ如何許=いかばか}り請ひても君が言の葉に {ルビ真=まこと} ....
水鳥は冷たき水に群つどい湖のほとりの枯れ草の宿
一日を二人過ごして今宵また妻は聖書に読みふけるなり
絵に描くか詩によむか玄関の雲間草可愛ゆく咲く
不確かな憂鬱が胸を撃つ。
交差点に逃げ場はない。
誰にもだ。
長靴を履いて雨の上を歩く、
いつもこうやって泣いているの。
....
雲は遅刻したけれど青空は遅刻しなかった晴れのち曇り。
曇のカーテン薄いから、
向こうが透けて、
青い影。
ぐうん空魚が、
ほわわわ ....
ここからは見えぬところで太陽がノヴァでもしたのか月が明るい
地上のみならずはるかな高みから真空気圏貫き通して
月影とは月の光のことでした足元に種々ものの輪郭
真空の中には淡く太陽の側へと伸び ....
{引用=
伝えたいことがないけど帰らない 歌う自由が僕にあるから}
ギロチンが雨の代わりに降る夜に野外ライブは実施されない
陽の当たる時間短いこの国はかいわれ大根生えたス ....
選挙戦海の向こうの子供らの運命握るネクタイの色
絶望も希望もぜんぶ受け入れて爆発しながら鼓動する国
武器を売るために育てたフセインを育ちすぎたと殺すアメリカ
テロよりも犠牲者増えた戦 ....
手帳に記されていた歌
批評子
黒き髪妻は鏡を見入るなりわれは灯火に書を見つつ
見上ぐれば肥えた雀が並びけり春の弥生の散歩道
銭湯や男女子供の出入りして湯気の匂いのほのかにするも ....
「妻と一日(ひとひ)を」 批評子
書を整理植木刈り込み春うらら妻と一日を過ごしたりけり
山の湯の朝七月も末静かに妻と出立を待つ
....
なぶられて大鼠の尾やはらかに冬の地を打つ死してなほ打つ
むざむざと引きずられゆく鼠の尾 師走の道をけものが渡る
人並みにもの{ルビ購=あがな}ひて心安し師走の街の世 ....
霜葉ふむ皮のブーツの小気味よさこのままいつか見知らぬ冬に
窓ガラスくもる吐息にだまりこむ人のしぐさのその残酷さ
冬{ルビ薔薇=そうび}あかい棘さす指先の血のにじむ{ルビ孤悲=こい} ....
『癌と云う/漢字が書けるようになりました』/外科医に向かいて父が笑う
『お父さんの/腎臓を見たよ』と呟いて/遠くを見つめる母の背中
『治るよね?』/テレビを見つめて兄が聞く/誰 ....
トランプをあまりにも鮮やかにきったから彼は神様にマークされたの
洞窟のくずれる音が聞きたくてそうぞうじょうの空はももいろ
こころない歌がうまれた2秒後に全力失踪してく体 ....
おもしろくなきゃ死んだって構わない神もニーチェも死んだことだし
壊れてもとりあえずそこに置いといて夜中に急に光りだすかも
特撮のキューピー3分クッキング電子レンジが爆発するぜ! ....
生きるのは/疲れましたと祖母が言う/空に刺さった冬の三日月
死にたいと/言えてしまう程わたしは自由/くたばることの出来ない自由
黄昏る/冬の寂しい路地裏に/孕んだ放火魔が火を産み落とす
....
とぼとぼとイルミネーション光る街 ひとりで歩きこぶし固める
十二月短期集中決戦だ 恋人サンタをゲットする為
前を見て姿勢良くして歩きましょ 慣れぬヒールと戦いながら
デパートのコスメ ....
押入に夕闇はつと隠れてる
「もういいかい」と「まあだだよ」とで
庭先にブランコだけがゆれていて
昼のサイレン明日はとおく
陽のひかり障子にさせば心痛み
....
水戸黄門の印籠がミトコンドリアになった、と昼のニュースで
これがミトコンドリアです、と書いた近く日直の僕の名がある
明日からあなたが使うベッドを夜中に一人で組み立てている
....
隆没をたゆたわせれば僕らいつか仲良し一緒になれるかも、ってね
セックスの後に知ったのは涙って舐めるとしょっぱいんだってこと
いつも降るわけじゃないから雨なんて絵になるのにね ....
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