しめやかであざらかな夜
かさぶたのようなくちびるを噛みしめる
暗い空のどこかから
豚の悲鳴がきこえてくる
月はすっかり遠く小さくなって
満月だというのに私の庭は暗い
でも私は知っている
 ....
たまゆらぐ
あきのひとみで
草のなかにかくれた
君をきいている

何かにすがりつきたいふうな君は
細い、ほそい線になって
なまみの月を仰ぎ
永いときを抱え
ふるえる

{引用=
 ....
{画像=080907104708.jpg}

想いを繋ぐのはいつも
言葉だった。

小学生の時、
友達と口げんかをしても
さよならは忘れなかった。
またね、と別れると、
次の日はまた ....
広い 広い 運動場
その真ん中に一人
ぽ つん と
体育座りしているような
そんな気分で目覚めると
わたしと
地面との関係性が
垂直であることが辛くて
ひた ひた ひた
足元から順に ....
欲望は眠りこけて
苦痛が姿を消しているとき
其処に幸せがボヤ〜っと突っ立ってる
乱反射する日常の事務と
隙間なく入り乱れた選択の連鎖のなかで
時々息苦しくなり
ぼくらは空気を求める
夏の ....
君と見た夕焼けは
こんなに美しかっただろうか

瞳に溜めた涙越しに見る夕焼けは
キラキラ輝いていてとても綺麗だよ

あの日君が私の頬を伝う涙の中に見た
真っ赤な夕焼けがとても綺麗だと言って
拭ってく ....
私は今日も朝から
作ります

顔も知らないアナタの為に
心を込めて作ります

送るアナタと祝われるアナタの笑顔の為に

愛のこもった君へのメッセージを代行します
メッセージプレ ....
あなたが
峠を旅する
ひとならば

わたしは
その頂き煮立つ
一本の木に成りたい。

白い灼熱の道を
歩いてきた
あなたは

陰に入り
汗を拭うと

そっと
わたしに
 ....
つめたい手には
ひとのこころのぬくみが宿ると
いつかだれかに聞いたから
わたしはこの手の
ぬくさを
恥じる



 あこがれや
 ねがいはなぜに
 こころをつめたく
  ....
{画像=080717222808.jpg}
ぼくは所在なく佇む
夜が好きだ
そんなとき
梅雨の終わりの
雨が降っているのもいい

屋根を打つ雨の音
軒を伝う流れの音
樋を落ちる水の音 ....
慣れない浴衣を着て
すましてしゃがんだきみに
線香花火をひとつ
手渡す

ライターで火を点けてあげると
少しして
控えめな火花が
炭酸のようにはじけていく

いつの間にか
催眠術 ....
ふとホテルの窓を開けて
景色を眺めてみたくなった

泊まり慣れたビジネスホテル
四缶目の酒を呷りつつ
少し薄くなった頭髪を気にする
まだ大丈夫だとは思うけど

目的も夢も自分自身でさえ ....
{画像=080713215510.jpg}


街角に子供が一人


地に染みる影を従え


かくれんぼする
知っている

野生の生き物たちが
自らの意思で立ち上がれなければ
どうなってしまうのかを

ふるえる膝を押さえながら
重たい身体を支えようとするとき
昔見た象の瞳を思い出した

陸 ....
船に揺られて
苦楽を共にし
時に涙し
時に笑い

楽しかった
苦しかった
自信は自分を信じる事
と教えてくれた。

君は旅立つ
もう泣かないよ
永遠に別れる
互いの自由の為に ....
{画像=080622022551.jpg}

今日もまた
窓硝子に映った自分を見て、
少し微笑んでみせる。

いつもの挨拶
いつもの仕草、

駅前の喫茶店の指定席、
リングノートに ....
キスするなら公園がいいな
初デートの朝そう思った
静かな散歩道を歩いていれば
手を繋ぐように自然にできそう

だけどベンチに座ったきり
アイツは格闘技の話に夢中
ジョギングし ....
・パルス
 
 
知って、ほしいと
輪郭をなぞる音が
弾丸のような重みをおびで
摩擦を起こしはじめた
 
昼の夢は
空に手を伸ばす赤ちゃんが生んだ妄想
何を見つけたんだろう
空気 ....
りんごを
はだかにすると
あまずっぱい
においが
する


あなたを
はだかにすると
あまずっぱい
きもちに
なる


あなたを
むさぼるように
りんごを
ひとかけら ....
{画像=080602022745.jpg}
波打ち際に沈む
ガラス片のように
毀(コボ)れて
流れて
静かな時間の中で
出会いを待っている

満ち足りた時間が
角を丸く取り
いく ....
みらいを信じる

またひとつ

永遠に近づいた


0は現象ではない

見えないものを

掴み取ろうとする

0は意思である


みらいを信じる

またひとつ

 ....
好きとか嫌いとか
そのような感情と同じ速度で
五月の空はわたしのこころを蝕んでゆく

そして陽射しに揺れる葉桜が
散り行く先など知る縁も無いように
他者への憎しみを
こころの襞奥に抱え込 ....
長雨をもたらした群雲の涯にかかる桟橋

漕ぎ出せば容赦無い光の海原

破線の僕の輪郭はより不確かなものとなって

影は灼けたアスファルトに縫いつけられる

光と影は背中合わせの白と黒  ....
山の背中にあるものは
いたずらからすの
帰る家

山の背中にあるものは
遊びつかれたきつねの寝ぐら


山の背中にないものは
枯れ葉やつぼみを
こばむもの

折れた枝に ....
 
 
 
白い壁を伝って
流れ落ちる静かな響き
桜まで飛んで
ためらい無く散った
 
今日も街は曇って
ひらり浮かぶ壊れた羽
桜まで飛んで
溶け込めずに落ちた
 
 
涙 ....
手を握りしめる
懺悔でなく
まして後悔ではない
荒れた手を
その皺をつたう
しみる年月を
ただ握りしめる
切実にもつよく
握りしめる
細い手を
よわよわしい時を
迷妄のはての
 ....
あの、ね

  君の語りの中にはいつも海があって
  壊れた砂時計が海岸線を塗りつぶしている
  波はいつの間にか言葉になって
  こだまする、喉の奥

赤いうさぎを抱いた少 ....
窓辺に香る黒いグラジオラス
いつか見た記憶のようだった
車のライトがフラッシュバックのように
無言の部屋を通り過ぎてゆく


雨夜の帰り道
突然君にくちづけた
あのあたたかい
湿った ....
水銀の光の一粒が
横へ横へと動いている
ゆうるりと回転し
他の光をかき分けている


てのひらを巡る
遠いみちのり
つもるうつろ
熱の轍


まるめられた透明が ....
湿った夜の破片が
蝙蝠となって折れ線を描く
低く、低く

やがて来る、雨と
灰色の朝は
かなしい、という色に似ている


里山の懐に
ちいさく佇むそこ、は
永遠の黄昏に向かい旅立 ....
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