見上げた空
偶然の 流れ星
あの日の涙 思い出す
サヨナラ ナミダ
さよなら あなた
風の言葉は聴かない
大きな波間に揺られてしまうから
静かに耳を閉じて
心の水底を漂うだけ
哀しみの理由は知らない
日々を馴染ませる湿度のようなものだから
低空で胸を開いて
攫 ....
叶わぬ、恋の行き先を。
誰が見届けると言うのだろうか。
誰も知ることなく、飲み込まれてく。
儚くも、微熱を帯びた、恋。
もしも、今が覚めない夢の中なら。
今すぐにでも、君 ....
この
小さな野花を摘み取っても
だれも気がつきもしない
手折ってしまえば
すぐにしおれること
わかっているのに
わたしは小さな罪をおかす
この朝の広がりを
この朝の色彩を
この朝の香りを
ともに感じられるひとが
すぐそばにいたら
それだけで
手の内ではじける
しゃぼんだまに似た空に
遠い影を投影しては
また、見上げている
影送りだなんて
とうに忘れ去られた遊びを
何度も、何度も
繰り返して
空を横切る
....
かぶとの木と呼ばれていた
通学路沿いの
道から少し滑り降りて入る草薮の中の
真ん中がくり抜いたようなくぼみのある木
樹液が蜜のようで 夏にもなると
かぶと虫や ....
いつかの風が 世界を
ひとめぐりして また
吹きつける おもわず
手でかばって はからずも
傷のありかを おもいだす
君が笑う度に 新しい恋をする
ぼくのこの手に
あのあたたかい
陽だまりを拾うことができるなら
あなたのもとに持ってゆくよ
いのりが
ああ、
きこえない
キズだらけのあな ....
綿毛に乗せた
ことばの行方を
わたしは知らない
それは
さほど深刻ではない心当たりで
暖かすぎる夏の日に
ときどきそっと
距離を置く
まっ白な
姿かたちは
どこ ....
朝
その風は
わたしのスカートを
やさしく翻した
その風は
きっとあのひとのところにも
届くのだろう
わたしの気配を
少しだけ残して
あのひとはその風に気づきもせず
朝の支 ....
ただ、塗り潰したら、
真っ黒になるから
僕は世界を彩る。
ただ、形を創ったら、
詰まらないから
僕は世界に求める。
光り輝く金、とか、
鈍く光る銀、とか、
清々しい蒼、とか、
....
汚れた雨が蹂躙する街角で
傷をかばいあうために手を繋ぐ
傘を持たない日だけ、どうしようもなく
君の手があたたかくて
切れた指先が痛みを増した
僕の手は
どんな温度で君に ....
濡れた緑で
夜空を見上げる
数秒後にこの星空が崩れてくるのを知っている
そんな目で
おまえは言う
なんて きれい
薄い唇は街の光を捉えて
俺はその前に沈黙して ....
あなさびし、
って
三十回言うと
幸せになれるらしいよ
酷く輝いた瞳で言う君に
一抹の不安を抱えた僕は
言わなくていいよ
と
少年のように返した
別に言っても ....
あおい月がしずかに沈むのを防ぐために、どれだけの灯
りが必要だろうか。どんな空の下でも、繰り返される息
があり、その色は見えないが、あかでもなく、みどりで
もなく、あお。それに限りなく近い色だろ ....
順番に夜がきて
また朝がくる
あなたから
わたしへ
それは
ただ
夢とか
希望とか
積み重ねて
築いてきた
僕のお城
君と暮らしたら
崩れてしまいそうになる
....
言ノ葉を
発したならば
責任を
出ていったソレは
発信者の意図に関係無く
縦横無尽に動きまわる
言の葉を
発したならば
責任を
あなたに覚悟 ....
一度しか逢えないなら
失くしてしまったって一緒だ
視線を外すと
こんなにもぼやけてしまう世界で
二人で夜を歩くとき
星屑の欠片を拾い集めては
ブリキの缶詰にしまっておいた
....
こんな夜、
一人浅い夢から目覚めて
窓外を揺れる葉擦れのざわめきに
わずかに明るむ緩やかな月光に
胸に満ちて来る何ものか
心を澄ますと潮騒の響きに似て
耐えきれなくなる 抑えきれなくなる
....
思い出して読み返しては
立ち止まって振り向いてる
戻ることのできない岐路
変えることのできない選択
後悔してるんじゃない
ただ懐かしんでるだけ
でもちょっとだけ
....
寝る前に 歯を磨く
やっぱり「恋」なんてものは 男よりも女のほうが似合うものだと
鏡の中で 奥歯を磨く自分を見て思った
ふたりいっ ....
乳母車の乳児のバイバイに
こたえた手
布の端をひとかがり
だっこされている乳児を
泣かせた作り笑い
布の裏に斜めの縫い目を見た
横断歩道を渡る小学生に
掲げた手
布 ....
短冊の白まぶしくて愛の字を書けないままに無地で結んだ
黄色がいい君が選んだ一枚は願いじゃなくて歌をつづろう
霧雨に耐える紙縒(こより)が話さない青の祈りは「海にあいたい」
....
動くことができなくなって
その場に留まって
消えることも
消すことも できなくて
星になることに
決めました
幾千、幾万の想いが
誰かの瞳に帰 ....
月の裏側が見たいと
弟が呟いた
瞳はもう
赤方偏移を繰っているように
白兎を歌って
憧れと諦めをわたしに託して
弟はもう
腐りかけた足で
旅に出ていた
痛々しいほどに頑張りす ....
アスファルトに捕らえられた君を
すくい上げたこの手が
愛だと信じていた
四畳半の沃野に
刳り貫いた天井に
それでも君は
ただ背筋を伸ばして
その時を待ち続けていた
この手が ....
若草色のかざぐるまに
しがみついていた、あの人が
夕風にさらわれて
私の中を流れてゆきます
水たまりの映す青さの
ほんとうを
確かめるまえに
軽々と飛び越えて
もう
行ってしまっ ....
あの人のことを言葉にする作業は
色とりどりのビーズの中から
綺麗な綺麗な水色をすくい出して
銀の糸に通していくようなかんじ
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