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朝
一房の日差し摘み
頬杖つく
もぎ取った新鮮な味に
今日という農園が
扉を開ける
ゆく雲が
君を求めてのばした蔓から
ふわりと咲いた雪の花びら
彼方を白く染めるものの
ひとつひとつの小ささを
ひとつひとつの儚さを
まるく含んだ湿り気が
花の波に匂いたつ
....
雨日の闇は
底の見えぬ程に、深く
傘を打つ雫は
ひどく乾いた音をたてて
心まで
濡らそうとしてる
それは
儚いものを称え
明滅の郭を喩え
移ろう時を湛えて
恋しい者 ....
あれは
過ぎ去った季節の代わりに
それは
幾度も破り捨てた手紙の代わりに
これは
風に拐われた笑い声の代わりに
39本のガーベラを
あなたに贈ります
....
わかちあう わたしは
みんな わたしたち
花をわかち
春をわかつ
街をわかち
ふるさとをわかつ
笑い声をわかち
淋しさをわかつ
本をわかち
音楽をわかつ ....
この浴槽を欲情で満たす牡丹雪
ひとひら、
口づけるたび、悲しみの温度が肌を焼く
ひとひら、
白い手に抱かれるまま、別れの雪を肌に降らす
この雪は溶けるため
この白は忘れるため
あなた ....
君と見た夕焼けは
こんなに美しかっただろうか
瞳に溜めた涙越しに見る夕焼けは
キラキラ輝いていてとても綺麗だよ
あの日君が私の頬を伝う涙の中に見た
真っ赤な夕焼けがとても綺麗だと言って
拭ってく ....
それは
川面に映る
夜桜のような
儚い恋だった
瞼裏に残る
桜を
胸にやきつけて
夜桜、
もうすぐ散る
さくら 咲いて
遥か山の頂には
あんなに
雪が
残ってるというのに
さくら 咲いて
胸には
こんなに
悲しみが
残ってるというのに
さくら 咲いて
桜までの
短い春
木蓮が
街を飾る
微かな芳香に
見上げると
空にくっきり
クリーム色が
映えた
今日で
この街とも
さよなら
木蓮が
そよいで
私に微笑んだ
年を重ねれば
味覚も変わる
『美味しい』と
感じるのは
私の中の
時間がながれた証拠
こんな
青空の下でも
泣いているひとが
たくさん
いるんだろう
白い雲が
空を支えたとしても
支えようもなく
孤独に苛まれるひとが
きっと
たくさんいる
涙声の 嘆願を
蹴り飛ばされて
冷たい雨の中 駆け出す
闇夜の繁華街
僕 が 愛したい
あの人は もう いない
だったら いっそのこと
おちるところまで
おちていけるところまで
....
雨の音と
エアコンの音が
重なりあう
夢の汀
目を閉じると
海が見える
砕け散る
水晶の波
泡立った
真珠の泡
深い深い
青に吸いこまれて
夢か
現か
深い夜の
反対側では
きっと
誰 ....
グラスの先に
君を みて
微笑めば ふわり
ふれる 花の香
あの 日の
あの 場所
あの 時間
くり かえし の
未練 の 日々
今日の僕も
やっぱり
いつもの僕だよ
ひとにぎりの世界しか生きていなくて
端と端が繋がって
わたしからは
到底、端が見えない
いつの間にか
周りには繋がりだらけで
端にいないわたしたちは
宇宙の端が見えなくて
....
流れる雲の果てに。
あなたは居るのでしょうか。
夜明け前の
蒼い蒼い
ひととき
こんな眼をしたひとに
遠い昔
会ったことが
あるような記憶
蒼いそらを仰ぐ
還らないときを思って
戻れないときを憂いて
夜があけていく
気が遠くなるくらい前から
何人ものひとが
見ただろう景色
朝
おはようって
言えるひとがいる幸せを
ずっと忘れてた
やわらかな朝を
淡い朝雲の影を
天に向けて咲く花の
香は地に這って 熟み淀み
ひれ伏して嘆く夢の
その清浄を食みながら
私は 私は
還りゆく夢の
最期の一片を 奥歯で砕いた
花はいずこに咲くのだろう
夕方の海は
ひとも去って
見捨てられた波は
静かに静かに音もなく
けれど
夕方の色彩
こんなグラデーション
あたたかな海の水に
想いを溶かして
遠く虹が見えた
それは
儚く夢のように
あのひととそれを見た
わたしのなかに
さざ波のような
何かが広がって
虹のたもとには
幸せがあるという
探しに行かなくても
ささやかな幸せは
たぶんこ ....
この
小さな野花を摘み取っても
だれも気がつきもしない
手折ってしまえば
すぐにしおれること
わかっているのに
わたしは小さな罪をおかす
この朝の広がりを
この朝の色彩を
この朝の香りを
ともに感じられるひとが
すぐそばにいたら
それだけで
君が笑う度に 新しい恋をする
朝
その風は
わたしのスカートを
やさしく翻した
その風は
きっとあのひとのところにも
届くのだろう
わたしの気配を
少しだけ残して
あのひとはその風に気づきもせず
朝の支 ....
あの人のことを言葉にする作業は
色とりどりのビーズの中から
綺麗な綺麗な水色をすくい出して
銀の糸に通していくようなかんじ
今年最初の
小さな風船
去年の種が
こぼれて伸びて
またふわふわと
揺れている
悲しく零れそうな梅雨空に、ハグを。
ムカつくくらい綺麗な夏空に、キスを。
在り続けなければいけない僕たちに、ラブを。
城のようにも
愛より孤独な
恋のようにも
異国の月は
寂寥をつのらさせる
大きなものに
支配されてる
城のようにも
愛より孤独な
恋のようにも
異国の月は
寂寥をつのらさせる
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