大騒ぎしていた隣の部屋の大学生も
煙を撒き散らしていたスポーツカーも
凛と顔を上げていた向日葵も
みんなみんな、眠ってしまった

ベランダから両足を突き出して
ぶらぶらと泳がせて笑ってみる ....
別れた人達を思い出す度
そっと痛み出す胸の奥
もう二度とは帰れぬ日々よ
化石のように静かに眠れ
忘れたくないことと
忘れてはならないこととを
決して見誤るな
青春は美談として語り継ぐため ....
イトしくて
カナしくて
仕方ないから

わたしは「夢」を視る

捉えどころのない
その想いを
苦い香の紅茶で飲み干して

白と黒の兎を
透明な「夢」
染まらない世界で追う

 ....
緑色の風が薫る農道から
また少し小さくなった背中に
懐かしさと見馴れなさがやって来て
目頭を抑えることも忘れ
あてがわれた離れ屋に駆け込んだ

何で報いる事ができるのか
口に出そうとする ....
小さな巻貝の奥に
灯りがともる
小さな海の人が
書き物をしている
波から聞いた話を
青いインクでしたためる
書き終えると
小さくてごく薄い紙片を
丁寧にたたみ
小さな封筒に入れて
 ....
シャボン玉
悲しい歌とお母さんが教えてくれた
風々吹くな壊れるな
虹色に揺れながら
くるりと回って
弾けて消えた

洗濯のりを入れると壊れないよと
お父さんが教えてくれた
だからね
 ....
まだ春だと言うのに
焼ける万華鏡の景色


溶けていく




まだ碧き獅子の
輪郭が弧を描いているのに


溶けていく






降り続 ....
昔 大きな戦いがあり
そのせいで手首の骨が曲がったままついている
と祖父が言う
痛かった?
そりゃ痛いよ
(おじいちゃん人を殺したの?)
とは聞けない
昔 大きな戦いがあり
みな人を殺 ....
そのひとが指した
暗闇に
また星座ができる
夜空の不確かさに
うなずきながら
長い髪が揺れると
それは五等星ぐらい
小さく笑うと
三等星ぐらい

月影を手に入れるために
なにもか ....
     旅路



ひとはみな
利己的なもの
それでいいのだ
利己的でなくて
何ができる
{ルビ己=おのれ}を大事にできないものに
何を大事にできるというのだ
己を愛せな ....
窓の外の蒼い光は
声なく私を呼んでいた
冷え込む夜に身を投げて
立ち眩むほどに十六夜の月を見上げると
遠くの車道を行く風の足音が耳を抜ける
夢に似たオリオンが瞼の裏にも輝いて
名の知れぬ音 ....
糊の効いた藍染めをくぐり抜けると
石鹸の香りがいらっしゃいませと迎えてくれる

散歩の途中でみつけたお風呂屋さん
モクレンの香りに誘われて迷い込んだ小路
朝夕通っている駅前通りとはさほど離れ ....
あれは
過ぎ去った季節の代わりに


それは
幾度も破り捨てた手紙の代わりに


これは
風に拐われた笑い声の代わりに




39本のガーベラを
あなたに贈ります
 ....
わかちあう わたしは
みんな わたしたち

花をわかち
春をわかつ

街をわかち
ふるさとをわかつ

笑い声をわかち
淋しさをわかつ

本をわかち
音楽をわかつ ....
柔らかな光の筆先で
なぞられた街並は
おぼつかない輪郭から
あどけなくはみ出す
水彩絵具の色合い

目の前を行き交う人々の
心なしか和らいだ眼差しは
古いアルバムの内側で
セピア ....
あかるくひかる空の雲は氷点下である。

なにを恐れているかしらないけど
きみはあかるい空をあおぎおびえる
わきあがる雲をみてふるえる
ゆらぎさる風にふれておののく

きみを
ちょっとだ ....
付けられた足跡から
微かにだけど漂う香り
気のせいだとは分かっている
思い違いだと笑いたくなる
けれども
だとしても

季節が過ぎると共に
溜息を零す度に
桜の花弁を踏む毎に

 ....
 時期遅れの花見
 
 とっくに散った花びらのかわりに
 輝く緑
 若き季節の息吹


 青空には
 果てを知らない鳥たちが舞い 謳う

 みなの真似する花見よりも

 散った ....
聞こえる

時空の闇から
朱色に彩られた土の
古代模様を揺らす
不規則な
太鼓の音
琴の音
風の音
一つ一つ
掌で確かめるように
音の手触りを
拾い上げる
 じいさんが縁側で苺を食べてた
 ばあさんがスーパーで安く買ってきた苺を
 安い苺は酸っぱいよ、って言いながら

 じいさんちの庭は、誰も手入れをしないから
 荒れ放題だ

 じいさ ....
赤い果実を一口下さい。
青色でも褐色でもなく真っ赤な真っ赤なその色を。
甘い蜜を吸わせて下さい。
苦い思いは沢山なのです。
よじ登った林檎の木から見下ろした町並みが、
赤く染まる夕暮れ時、違 ....
魚よりも自由に水の中を泳ぎまわりたくて
馬よりも自由に草原を駆け回りたくて
狂ったように吹き荒れる窓の外を眺めながら
ずっと煙草を吸っているよ

鳥が自由じゃないのは知ってるし
死ぬまで泳 ....
 弄(あそ)ぶ指先
 止まらない髪先のひかり
 止まらないにわか雨
 
 ふるえる唇から
 零れる風の接吻
 
 枯葉のぬくもりが
 みえる窓硝子の彼方

 近づく雲のノイズ
  ....
 
誰もいない掌に
ひとり
立っていた気がする

地平線を探して
生命線に沿いながら
ひとり
歩いていた気がする

それはわたし
ではなかったかと思う

陽が落ちて

重 ....
ほぐれていく組織
空間の中で一人の身体は
たゆたい
しずくになる

ほころんでいく意識
小さな月と太陽が
ベッドの脇で遊んでいる
影のない蒼い部屋
この浴槽を欲情で満たす牡丹雪

ひとひら、
口づけるたび、悲しみの温度が肌を焼く
ひとひら、
白い手に抱かれるまま、別れの雪を肌に降らす

この雪は溶けるため 
この白は忘れるため

あなた ....
追憶は、雪のようにそっとほどけていった。

    舞うように迷うようにさ迷うように

夜明けまで踊っていられる?
「お安い御用よ」。

静寂の泉に息を流し込みながら
雪のように
沈 ....
僕は切符を買うよ
いつもと同じ場所にむかう
日めくりをちぎるときに
忘れてしまうだろう、今日だから

僕は切符を買うよ
四十九枚の十円玉を投げ入れて
光るボタンで行ける場所
誰もが辿れ ....
赤い夕日を浴びたのに
かげだけ黒い、
そのふしぎ。


草木も花も野も山も
おなじくみどりと
呼ばれる、
ふしぎ。



 波の青さにあらわれて
 透きとおってゆく、 ....
 少女は生まれつき目が見えなかった。そのかわりに耳がとてもよく、例えば村中の猫たちの鳴き声を聞き分けることもできた。

毎年春先になると村には薔薇鳥がやって来たといううわさが飛び交い、若者たちはそ ....
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