未明に。
未明に原発が白に包まれた。
霧なのか水蒸気なのか分からないけれど、幻想的で危うい光景だった。
夜はいつも湿度が高い。
太陽が奪わないぶん、ひたひたしている。
昼と同じに水分 ....
さがしています
わかりやすい たいど
わかりやすい ことば
澤にいたのでしょうか
青筋アゲハが よこぎります
そんなはずはないのに
蝶番のように 澤の景色が見えました
....
おかねもちの
はながさいている
おかねのない
はなもさいている
おなじはなは
ひとつもないのに
ひとつしかないおひさまを
いっせいにむいて
090226
キュウバンナンボということばを読んで
急場の堕落をイメージしたことはない
旧番は何だったんだろう
急な改革が続く ....
僕は切符を買うよ
いつもと同じ場所にむかう
日めくりをちぎるときに
忘れてしまうだろう、今日だから
僕は切符を買うよ
四十九枚の十円玉を投げ入れて
光るボタンで行ける場所
誰もが辿れ ....
雨粒が窓をノックしてきたので
掃除の手を休めて
少しだけ話をした
最近、寒くなりましたね、
とこちらが言うと
わたしたちもそろそろ
衣替えをしようと思っているところです、
とぷっ ....
あのひとから乞われた訳じゃない
成り行きでと言えばそんな感じだった
奥さんよりも私を選んでくれた
そんな幼い優越感が無かったといえば嘘になる
幸せだった頃に家族で訪れた事があると話していた ....
夏の午後 影は濃く
姿勢の正しいあなた
まっすぐにねむる
貝殻のボタン
ひとつ失ったまま
くんと伸ばしたつま先から
夏が逃げてゆく
砂がはらりと落ちる
そして落ち続ける
傾い ....
いつかこんな日が
来ればいいと思っていた
待っていたよ
二人が結婚したいと
言ってくれる日を
随分とお転婆で
跳ねっ返りの娘が
いつしかおしとやかになり
君を連れ ....
始めに朝があった
僕たちは扉を開けて
靴音鳴らして別れてった
「自分に自信がある男程SEXが下手なんだよね、何故か分かる?努力しなくても良いから。自分に卑屈な男の子の方が自分に ....
何故かあのひともそうだった
年上の素敵な奥様がいて
それなりに幸せな家庭を築いていた
そしてそんな男の軽い浮気心に惚れてしまう女がひとり
初めて出逢ったのは真冬に逆戻りしたような夜 ....
一日目
友達の為に泣いた
二日目
自分の為に泣いた
三日目
両親の為に泣いた
四日目
兄弟姉妹の為に泣いた
五日目
貴方の為に泣いた
六日目
野良猫の為に泣い ....
住む人の居なくなった実家
風を通すために帰省して
東京に帰る日の昼食は
味噌ラーメンが美味しいと
親父が通っていた店で食べる
若いころ札幌で食べた
味噌ラーメンの味に魅せられた親父 ....
来年のことを言ったから鬼が笑った。
勘が良すぎるのは考えもの。
唐突な別れは何の感慨も呼び起こさないらしい。
ひとを失うということのなんと簡単なことか。
「哀しい」のだと確信を持てない ....
・
わたしの好きなひとの眼の中には
いつでも空がひろがっている
外が雨でも嵐でも
すこんと晴れた青空の眼だ
することが何もない
曇った日曜日なんかには
一日中好きな人の眼を見ている
そ ....
080413
注目された勘定書き
オリンピックを辞退した
勇敢な男達の
鋭い眼が細くなって
金メダルの中に溶けている
針のような眼が
金属に融 ....
口の中に微かに鉄の味がある
コートの袖口が擦り切れている
錆びたドラム缶からはいだして
月下の廃工場を後にする
奏者を失って久しい機械が
ほの青く光る一群の風琴になっていた
鳥が飛び立 ....
見えない先から
ひさしぶりに糸を引かれ
私も
糸を引いて応える
紅い汗を流して彫刻のように削りだした核から伸びている、それは
時にたわみながらも千切れずに今も
在る、確かめ ....
先週末に桜が散ったばかりなのに
あなたは
物置から引っ張り出したビーチパラソル
具合を見たいからと
これ見よがしに拡げてみせる
どうやら使えそうだな
アルミパイプの椅子まで組み立て ....
灯りは星のひとつひとつ
身動ぎしない風景の
その一個となって
孤独と添うには
十分な夜である
静まり返る街角の
路地の向こうから
細く聞える口笛は
独りの耳にも届いて
胸をふるわ ....
夫の着ていたワイシャツの
袖口や襟元の生地が擦れてしまい
これで会社に行ってはいけないと
わたしが云い
名残惜しそうに夫はそれを差し出した
紺地に白チェックのワイシャツは
今日から ....
弾けもしないのに
ギターを手に入れたのは
歌いたかったわけじゃない
きりりと張られた弦を
掻き切りたかっただけ
切る、
鋭く傷つくだろう
僕たちは
その境界はほんとうです ....
{引用=
いつまでも白でいたいと言ったから、代わりに黒でいようと思った。
熱にうかされて追いかけた影
幸せだったか思い出せない
金平糖を噛み砕く癖・紫煙を燻らせる仕 ....
不安のきえない夜は
こうやって
雨の音を聞くんだ
ひっそり こっそりと
しばらくはやまないよ
焦ったりしないで
明日に追われたりしないで
そこで ....
おめのマナグ
わだばおめのマナグどご
なも言えねまま見でだ
へば
右さ左さおぎぐ揺れだっけ!
そのマナグ!
わだばおめどご好ぎだ
だどもよ
仕事で東京さ出らねばならね
....
いつの日にかめぐりあいたい
半生のうちで別れたひとたちと
春の朝なら花園のなかで
夏の昼間なら木漏れ日のしたで
秋のゆうべなら紅葉のしげみで
冬の夜中なら街灯のかたわらで
....
ここがどこかわからない
灯りは煌々と道路を照らしている
壁のように積まれたプラスチックパレット
無人のフォークリフト
コンテナ
なぜここに来たかわからない
すこし伸びをすると
手が届きそ ....
今僕は、ショパンの曲を聴きながら、以前古本屋で手
に取った「吉野弘詩集」を開いています。薄く赤茶けた
表紙の中心には太陽らしきもののデッサンが描かれてい
ます。なにげない日常の場面を描いた「夕 ....
虫のいどころでも悪いのか
いつまでも押し黙ったままで
あなたはテレビの画面を眺めるでもなく
そっと箸を置く
テレビのなかには
つまらないギャグに笑い転げる顔があり
テレビのそとには
....
自動車の走る音が
強くなり弱くなり
いくつも重なり合いながら
都市の柔らかな肉声として
アスファルトの上を満たす海として
ビルに押し寄せては砕けていく
ヘッドライトの百鬼夜行
ライト ....
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