髪の結い方を変えても
着物の着こなしを変えても
男どもにはわかりやしない
あからさまに卑猥な匂いを漂わすだけ
今となっては
その匂いに心地よさを感じているのだが

手形や金額が刻まれてい ....
見覚えのない住所から
冬の匂いの封筒は届き
記憶の引き出しから
銀のペイパーナイフと
あらん限りの想いの欠片とを
わたしは交互に取り出す


かさり、と開くと
月夜の薄明かりのなかで ....
生きれば生きるほど
しなければならないことが
多くなってゆく
いいことが続かないことが
多くなってゆく
昔に恋した想い出が
まぶしいままに

生きれば生きるほど
すべきことが
多く ....
この秋一番の寒さの朝は
心地よいくらいのひんやりで
窓あけ放してみたら
いっぱいガラガラが出てった

ここは海からも山からも遠くて
かといってビルからも遠くて
何があると言っていいやら
 ....
 
ずいぶん遠くの方で
誰かを思うのが好き


バーゲンプライスのある本屋で
ポエトリー&ハーツ
と書かれたペーパーブックに目をやりながら
これは これは
ずいぶん遠くの誰かが
 ....
霧の朝僕は
白い虚しさにまかれる
あるいは
あるかなきかの徒労に
世界は音もなく沈んで
僕一人を孤立させる部屋
あの夏の日
彼女が湖水に指をすべらし
その音のない{ルビ水面=みなも}を ....
都会の中の植物園は
いつも静かなまま
大きな木の根は
下水道や地下鉄よりも
ずっと浅く
かすかでしかありません
雨をしのげる大きな葉が
静かに広がる

都会の中の植物園は
いつも黙 ....
かわつらさんの奥さんは
精神を病んでいるそうだ
深夜
誰も居ないキチンで
皿を一枚ずつ割るそうだ
あの夫婦は
せっくすれす
だから
ってすずきさんが言ってた
そういうすずきさんに ....
くすぐったい
くすぐったい
可愛い君の吐息

やわらかな朝
淡い光の中で
そっと息づく白い小さな花

無邪気な君の微笑みは
僕をやさしくしてくれる

くすぐったい
くすぐったい ....
この土地が
湖や海のやうに
青空や星や月を
映さないからといつて
卑しめてはならない


何といつても
この土地には
{ルビ人間=**}が住んでゐる


夜の闇しか映さない
 ....
ラジオで流れたちょっと古い歌に
思い出す学校の教室
見上げると野焼きの煙
校庭の空にあいつはいない

  工場跡がショッピングセンターにかわる
  空を割っていた煙突が消えて
  秋の花 ....
失恋は感傷に浸るためにある
そんな捨て台詞
あなたは残し
ひとり、わたしは取り残されて
遠く過ぎ行く機帆船の陰に
絶望の甘い涙を流す
(白い砂浜で貝殻ひとつ拾った
身体の隅々にまで刻まれ ....
 人里離れた静かな丘に立った
 風が悠々と流れる様を感じながら
 子供の頃にみたような記憶のある夕陽を眺めた
 息を呑むような迫力、美しさ
 ゆっくり、ゆっくり西の地平線に落ちて行く
 その ....
朝五時半犬を散歩に連れてゆく七十の父達者であれ 明日と書かれた本が
売られていました
中を開けることができないその本が
不思議と気になって
ふと買いました

明日と書かれた本を
買ってきました
中を開けてみるとその本は
不思議にも ....
夜道で
目の前を歩いている女性の存在に耐えられず
追い抜こうと早歩きをはじめた瞬間に
その女性が早歩きをはじめたので
追い抜こうと走り出したら
その女の人も走り出して
誰か助けてといった
 ....
おばあちゃん
亡くなる何ヶ月か前に
ぼくのアパートにやってきた
外車に乗りたかったので
おばさんの買ったヴォルヴォ

だけどぼくんちなんか来たって
そりゃやることもないので
縁側から外 ....

林檎は何時でも
小気味よい音を立てて
裸になってくれる
こんな女の人がいたらいいなと思う
十月の昼間は少し暑くて
隣家から
おもいっきりテレビの音声が聞こえる
シンクには
小腸み ....
両手のひらに
こっそり書いた「冷」の文字
僕は忘れん坊だから

冷え性対策の頁を見てたから
布団からはみだした足先が
とっても冷たかったから
今日は帰りに
ちょっと入りづらいあの店で
 ....
どのくらい愛してるの?
その質問にも答えられる準備があるから
どこにでも行ける
風になりたい
遠くへ行ける
風になりたい

どこにでも飛べる
光になりたい
速く飛べる
光になりたい

風や光は
人間ではできない
すごい力をもっている
そ ....
ポケットに、詰め込んだもの
詰め込んだ、思い出と
その他 たくさんの何か
ぎゅっと、握り締めたこの手のひらは、今

溶けてしまったチョコレート
思わず隠した、あの子の消しゴム
忘れない、 ....
ある日
くまさんが

出会った人は
おじさんでした

おじさんの家に連れて行かれ
可愛がられました

くまさんは幸せでした
でも

くまさんは大きくなりすぎて
おじさんは家族 ....
壁にもたれて
空を眺めて
そんなのも悪くないね

太陽は赤くなんて見えないし
月は碧くなんてない
星は黄色くなんてない

どうでもいいようなことを考えながら
壁にもたれ ....
       
      1

ゴルゴダの丘の受難が、針のように、
人々の困惑の眼を包んで、
砂塵の闇に、厳かに、消えてから、
すべてを知った空は、
瞬きもせずに、顔色を変えることなく ....
リチャードカールソンは言った
期待を捨てれば
自由になる と

あたしは頷いた
自由になるためなら
何でもする と

けれど彼は言った
自由になれるという希望が
また期待でもある ....
凍った星屑が
壊れた金平糖のように
降る十月は

魔物が
楽しそうに笑っているよ

人間たちは
人間に飽きて

あやしい魔物に
憧れているのさ

あちこちに
着飾った素敵な ....
きょとんと首をかしげる

(鬼サンコチラ)

木の実をついばんで
天気雨とかくれんぼ


   *


二羽がくちばし
頰よせあって

(フレンチキスっていう ....
君の寝ている隙に
本を開いてしまったよ
手のひらと同じくらいの大きさの
くたびれた表紙
真ん中より後に挟まれた栞
海の色をしている
波の音が聞こえそうで
耳を澄ませば
君の静かな寝息
 ....
<あきらめ>の四文字にアキとメと見つけ秋に芽生える草木を想う



片翼では飛べない空よすすき野は背中の地平線に波打つ



君の手に止まるとんぼを接写する今この時よ{ルビ ....
青山スイさんのおすすめリスト(763)
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