すべてのおすすめ
今日もまた
放課後
シーソーの片側に座って
浮き上がれる瞬間を
待っている後藤くんは
自分を宇宙人だと思っているらしい

グラウンドには長く
影が伸びて

僕の生まれた星にも
 ....
街灯の並んだ道を
一匹のかぶとむしが
低空飛行して進んでゆく

信号か何かの
赤い光を受けて
目玉も背中も
海老のようにぴかぴかしている

かぶとむしは
曲がり角で
ゆっくり ....
いまは更地になっている
高校の前から自転車で少しいったところの
あの荒廃した土地には
昔ジャスコが建っていた
しみったれた汚い店だったが
中にはフードコートもスーパーも
一応あ ....
がらんとしたうさぎ小屋には
冬の一等星みたく
赤いまなこが
ひかっている

かなあみに近づくと
わずかに薄荷のにおいがした
君だったろうか

呟いた息が白い

夜空には
おおぐ ....
生きるのは/疲れましたと祖母が言う/空に刺さった冬の三日月

死にたいと/言えてしまう程わたしは自由/くたばることの出来ない自由

黄昏る/冬の寂しい路地裏に/孕んだ放火魔が火を産み落とす
 ....
小さい頃は
家の絵ばかり描いていた
庭付き一戸建て
という物質が
人生の最終形態であると
そう思っていた

今でも
画用紙を与えられれば
わたしは庭付き一戸建ての絵を
あの頃より
 ....
ふとしたきっかけで
王様と知り合いになった

漫画喫茶だった
王様は玉座に座るように
リクライニングシートにもたれ
隣のブースに居たわたしに
飲み物を取って参れ
と言った ....
水曜日
僕は喫茶店のテーブルに座って
哲学者のように沈黙していた
ミミ子に別れを告げられたのは
先週のことだった

ミミ子は犬が好きだった
犬を飼うのでイサオとは別れる
 ....
公園の
ぶらんこの前に
散乱した
足跡

視床下部に
舞い込んで
そこで朽ちる
落ち葉

はい
だいじょうぶです
わたしは
元気です
郵便受けの中に
蝶々の形をした手紙が
ぎっしり
留められている

わたしは
ピンセットを遣って
ていねいに剥がし
掌に落としていったのだが

手紙は未だ
生きていたらしい
あと ....

今宵もまた
お父さん
あなたは咳をしていますね

青い毛布をかけましょう
それはあなたの首元で
小さな海となるでしょう


お父さん
わたしは
あなた ....

しゅんじゃく神社
と云う神社をみかけた
春寂神社と云う字である
煮過ぎた菜っ葉を
噛んだときの音みたいだ
と思った

神様も春は寂しいんだろうか


教習所の帰りに
落ち ....
毎年この時期になると
瞼が退化するので
夜は
眼をあいたままねむる
口をあいていると
小さい生物の死骸が入るから
歯はくいしばるようにしている

深更
瞳孔がうっとりとひらき
 ....
受験を控えた少女が
堪えきれずに道端で
脱皮を始めた

その横をダックス・フントが通る
かれは短足を気にして
朝夕ぶら下がり健康器を
使っているのだけど
伸びてゆくのはもちろん
足じ ....
かわつらさんの奥さんは
精神を病んでいるそうだ
深夜
誰も居ないキチンで
皿を一枚ずつ割るそうだ
あの夫婦は
せっくすれす
だから
ってすずきさんが言ってた
そういうすずきさんに ....

林檎は何時でも
小気味よい音を立てて
裸になってくれる
こんな女の人がいたらいいなと思う
十月の昼間は少し暑くて
隣家から
おもいっきりテレビの音声が聞こえる
シンクには
小腸み ....
泥棒のような前傾姿勢で
妹の洋服を
箪笥から引っ張りだして纏った
ふわわ、と甘いにおいが漂った

わたしは服を持って居なくて
だから何時も裸で暮らして居るのだが
この頃はとみに寒く
や ....
秒針が/ちくともちくとも何かを刻む/焦燥をこぼす君の眼差し

自死を希う/君の髪からフレッシュベリー/毎晩シャンプーしている癖に

此の世には/奇跡もドラマも無いけれど/幻覚や妄想なら ....
身分証明書を
と言われて財布を探ったが
パン屋のレシートがぱらりと落ちただけ
カード入れにはブックオフのカードだけ
午後の図書館だった

カウンターのミセスは
住所と名前が記されている  ....
青山スイさんの吉田ぐんじょうさんおすすめリスト(19)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
後藤くんのこと- 吉田ぐん ...自由詩1506-12-12
かぶとむし- 吉田ぐん ...自由詩1206-12-4
ジャスコ- 吉田ぐん ...自由詩2106-12-4
うさぎ殺し- 吉田ぐん ...自由詩906-12-2
考えるのは生死について、そればっかり- 吉田ぐん ...短歌2406-12-1
いえのえ- 吉田ぐん ...自由詩1106-11-30
王様- 吉田ぐん ...自由詩2006-11-29
キリスト(創作)- 吉田ぐん ...自由詩1206-11-28
ゆっくりでいいと思う- 吉田ぐん ...未詩・独白506-11-18
未収- 吉田ぐん ...自由詩1006-11-17
きえる—父へ、きれぎれに- 吉田ぐん ...未詩・独白1306-11-17
習作- 吉田ぐん ...自由詩806-11-15
変貌する女- 吉田ぐん ...自由詩1406-11-14
或る平和の情景- 吉田ぐん ...自由詩1006-11-4
近所のひとたち- 吉田ぐん ...自由詩1406-11-2
所感- 吉田ぐん ...自由詩1806-11-1
すみちゃんのセーター- 吉田ぐん ...自由詩1706-10-27
父やその他の皆の為に- 吉田ぐん ...短歌1606-10-22
図書館に通う- 吉田ぐん ...自由詩3706-10-17

Home
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する