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「いつか」のために

 笑っていよう

 わたしがしあわせに笑っている

 そこに、あなたのしあわせがある

 そう、あなたが言うのなら

 わたしは笑っていよう

 この ....
+四杯目から+

 店の一番奥に大きな真っ黒なドアがあって
 それはちょっとやそっとでは動かせそうにもないタンスで蓋をされてる
 さらにはドナセラなんたらとかいう幸せの木の鉢植えでカムフラージ ....
バルサミコソースが複雑に酸っぱくて
関係ないのにあの汗の味に似ていたからって
ああもうぜんぶだめなんだとフォークを置いた
まったく大げさな話だ
こうやって一日中町をふらついたあと
溶けた飴で ....
ホームランは打たなくていい
とにかく一塁ランナーを二塁へ
確実に送れ
自分が塁に出ようとは思うな
観客にかっこいいところを
見せようとは思うな
チームのために仕事しろ

このために
 ....
それは私がわんわん泣いていた日のことでした。

雨がまるでデンデン太鼓のように響いていて
私はいつかの魔女を思い出していました。
確かアンパンマンに退治されたはずの。

一人のときに来るか ....
アダルトビデオから男優が逃げた
かわりに僕が入れられた
男優はそのままビデオショップに返却し
自由の身となったようだった
ビデオがレンタルされた
借りたのは彼女だった
僕は女優をビデオの中 ....
足す

僕の部屋に君を足す

僕の心に君を足す



気持ちが和む

いつまでも二人平和に暮らせますようにと願う



引く

気持ちが引いていく
 ....
雨音は冷やかな旋律を奏で
五線譜に無数に付いた蕾は
一瞬、水晶となり地表に還る

傘は持たないのだと
わらって言い切るきみの肩は
今頃震えていまいか
そう告げればまた
きみはわらって
 ....
すっぴんのほうが可愛いんだと
言われたので
思い当たるのは
たぶん化粧がキライなんだろう

およそ世の中の女性の
最大関心事であろう
おしゃれとか美しくなる努力とか
どうしても興味が持 ....
   ?

祭りが始まった
それは緑の旗をかかげ
歌うのは風ばかり
踊るのは風ばかり
萌え出た命の露を
しとどに湿らせ祭りは始まる

   ?

若葉揺れて 君の髪のように
や ....
雨降る夏の若き葉に
雫結びて一つ落ち
下の葉受けてまた落ちる
その{ルビ音=ね}はまさに時のよう

雨降る夏の黒き地に
蛙這い出て一つ鳴き
雨水打たれまた当たる
その絵はまさに歌のよう ....
 支離滅裂な時代
 人の足跡が残っていない場所などない
 ありきたりな人生を
 嘆いたりふざけたり
 ふいに気付くあなたのやさしさ

 大それた夢は見ないことにした
 夕闇に浮かぶ月 ....
いつも暖かい心でいられるのは 難しいね
逢えない時間が長いと 切なさが積もっていくよ

魔法が解けていく 儚さを知っている
僕らの想いは 同じような色だろう

  今の僕らに大事なのは 信 ....
ぼんやりとした夏の中で
ため息をつく
空気の動きは何も見えず
目の前にあるものが
ゆらゆらと揺れていて
今はただそこに
乾いた土が滲んでいる
見上げれば
青い空があるようだが
その色 ....
幸せが溢れて零れていく

でも拭かなくていいの

きっと蒸発したら

また幸せな空間にしてくれるから
あの娘の事が好きですか
いいえ好きではありません

あの娘と共に生きますか
いいえ私は逃げだすでしょう

ならば何故その身を焦がしたのです
何故想いをたけたのです
それがどれ程酷い仕打 ....
たったひとつの言葉を抱えて
俺たちは生まれてきたんだ
でも最初にリンゴをかじった日から
あんまり月日が流れていって
別れ別れになって俺たちは、忘れていった

それからどれだけ俺たちは独りで ....
まけるもんかと
うたってやるんだ。

まけないで
まけるもんかと
うたってやるんだ。

せかいじゅうにとどくくらい
おおきなこえで
うたうんだ。

かってないからって
まけた ....
雨が降ると
花は喜ぶのだろう
ごはんだね、ごはんだよ

日向がはじまると
猫は喜ぶのだろう
暖かいね、暖かいよ

空が広いと
鳥は喜ぶのだろう
気持ち良いね、気持ち良いよ

水 ....
庭の土を耕して
人差し指で穴を掘り
ヒマワリの種を植えたのが五月

まいにち
土の湿り具合に神経を尖らせ
やがて
いくつかの芽が出ると
お気に入りの芽を一つ残して
あとは全部引っこ抜 ....
いちたすいちは
にじゃないと答えたら
みんなに笑われた
でも
美術の先生だけは頷いてくれて
スケッチに出かけた
あの丘の上から
故郷の青空をいつまでも眺めていた

ずっと憧れていたこ ....
  夕暮れ色の飛行船、
  たくさん空に浮かんでいたけれど
  空と一緒の色だったので
  誰にも気付かれないままでした。

  *

  毎朝、起きたらすぐに顔を洗います。
   ....
夏の夜空はアンタレス 赤く輝いてる
思い出すのは あんたです さそり座の一等星

浴衣姿のべっぴんさんが金魚バチを眺めてる
部屋の隅では黒猫が泳ぐ金魚を狙 ....
漆黒の闇に今日も
電波にのせた言葉がいきかう


誰かが誰かのために
ほとばしる想いが
零れないように


いつでも切れる
儚い琴線
そっと握りしめ


かぎられた空間の余 ....
ちいさな定規で世界を測る
一ミリよりも
さらにミクロな世界があることに
普段ほったらかしていた
ものがあることに
僕をみていたものが
あることに
ちいさな定規は
うなずいて
そっと教 ....
遮光カーテンの四隅に朝が零れている
うつ伏せで眠る君をベッドに残し、
素肌にすばやくドレスシャツを着て、
夜の逞しい身体は、そっと部屋を出てゆく

落ちてゆくエレベーターのなかで――
右手 ....
久しぶりに口笛を吹いてみたら口が笛になっていた
何度言葉を発してもフィーフィーとしか音が出なかった
周りの皆は大層大袈裟に哀しんでくれていたが
涙が出ている者は一人も居ないようだった
哀しんで ....
春っぽい風が吹いて
君のプリーツスカートを揺らした。
急いでスカートを押さえつけた君だけど
ゴメンね。見えちゃった。
可愛い花柄のやつ。
健全な男子中学生なんだよ。
だから、どきどきしちゃ ....
わたしには
こうこうせいのおねえちゃんと
おかあさんと
おばあちゃんがいます。

「おねえちゃん、どうしておけしょうするの?」
「きれいになりたいからよ」
「どうしてきれいになりたいの? ....
取り返しのつかないことを
バラバラにすると
最後は
光が残った

次に光を
バラバラにすると
結局は
取り返しのつかないことが残った

ああそういうことか
大きく頷いてみた

 ....
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