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腐った葡萄を投げ捨てろ
国道あたりに投げ捨てろ
トラックの車輪ではじけて
アスファルトに染みこんで
どす黒くかたまってやがる
(ああ、デラウエア・巨峰・ピオーネ!)
....
京都へは
西大寺から各停で行くのがいい
KYOTOステーションは
洛中と洛外を隔てる
無意識で巨大な土壁
だからこそなおさら
裏口からこ ....
緑の木々がゆらめいたり
遠くのコオロギが聞こえるということ
低い雲が重々しく北へ向かったり
小窓でレースのカーテンがはためくということ
白い水鳥のひと群れが南へ進路を取り
黄色い砂粒 ....
中央改札を出たら
階段の手前にいくつかの柱がみえる
その陰にぼんやりと
いつも誰かが待っている
少女だったり、サラリーマンだったり
学生服だったり、主婦だったり
日替わりで、何かを ....
もっとも遠く、旅した者が
偉大な旅人なのだとすれば
それは
鉄路の地下に
埋もれた大路を
使者に運ばれて通った
ペルシア細工かも知れない
この駅を出て
....
奇跡は待つものじゃない
起こすものだ
先輩はいつもそう叫びながら
改札を出るといつも
マニエルの打球のように
球場にむかいましたね
でもね先輩
僕は待ってしまったんです
大切な ....
天王寺動物園に
桜が咲いて
カラオケの音量が
最大になった日
僕たちはアポロの前で
待ち合わせた
どこに行く当てもなくの約束
ただ一緒にいたかったから
もっとたくさん、桜がみた ....
追いかけても
追いかけても
つかまえられなくて
すぐそこに
あるように見えたので
ちょっと
手を伸ばしてみたけど
ちっとも届かなくて
とても
遠くにあるんだ
ということに
....
君の中にはすでに僕でない僕がいて
君のことをいつもおどかしたり笑わせたり
悲しませているんだろうな
きっと僕が知らない僕は
僕よりも優しくて冷たくて
誰よりも優柔不断に違いない
君 ....
七つ星の見えない
ちいさな窓
風通るアスファルト
街灯に白い息が消えていく
ネオンの隙間に
ちいさく瞬くは 願い星
どこかで誰かが
ちいさく願ったのだろう
そのちいさな手を胸にあて ....
寒くはないのに
冷たい空
凍えてはないのに
震えるからだ
地面の
一番近いところに
膝をかかえ 丸まって
雨を待っている
あたたかな
雨を待っている
今は
固く閉ざしても ....
遥か彼方の水平線は
冷たい冬の空にとけ
薄雲の光る中に
青さも白く霞む
寄せる波の音を聞きながら
どこかに
懐かしさを覚え
元始の記憶なのか
あるいは
胎児の記憶なのか
い ....
青さを残した空に
月は白く
急いだ僕の足を止める
あの時と同じに
記憶の糸を手繰り寄せ
忘れ去られた約束を
取り戻せるなら
引き替えに‥
差し出せるものなど
残ってはいない
約 ....
三日月の晩に 僕は生まれた
細い月の端っこにつかまって
地上に喜び溢れる人の足音を聞いた
半月の晩に 僕は大人になった
半分の僕は もう半分の僕を探した
地上では 止まない嘘に傘をさす人 ....
夕日を見送り
月を背にあしたに向かう
急いても、急いても、
朝が僕を追い越し
今日もまた
夕日を見送る
「好き?」と聞けば
「好きだよ」と返る
「一緒にいて楽しい?」と聞けば
「当たり前だろ」って笑顔をくれる
「ギュッて抱きしめてくれないのは何故?」
聞きだせずに 今日も 背中を見 ....
あなたのが降りてくる
誰かのが降りてくる
想いは星の数ほど
言葉が詩となり 歌となり
見えるものとなり
見えないものとなり
苦しい 切ない 嬉しい が
この胸に 響くたび
この心に 痛 ....
真っ赤な嘘がばれて
だんまりを決め込むことにした
普段着もしない
真っ赤なセーターなんか来たせい
だんまりを決め込んだ
はずなのに
腹の虫が容赦なく沈黙を破る
そこにある真っ赤な林檎 ....
「アホウ」
「アホウ」と鳴くカラス
青い空に突きでた
電信柱のてっぺんで
僕に言っているかのように
視線を合わせぬその目は
僕を哀れんでいるのか
君に同情されるようじゃ
情け無いば ....
おなかが空いたら
君の笑顔を食べて
満腹なはずなのに
どうしてだか口が淋しい
バラバラ散らばった
パズルを繋ぐように
過去‥現在‥未来
ひとつ、ふたつ、と
自分にはめ込んでいく
穏やかに
荒れる必要など無いのに
いつの間にかパズルは壊れている
何度 ....
すきと伝えられぬまま
空には星が降りてきて
今日も長い夜は始まる
ため息は言葉の代わり
切なさが胸しめつける
言われぬ想い星に語り
いつか伝わると信じて
夜に封印してしまえば
涙 ....
しりとり・・・
理由はない
いつものこと
戸惑いが
ガラスの心に
鈍く響いた
確かめたくても
もうそこには何も無く
苦悩することしか出来ない
いまはただ
抱き締めて欲しくて
....
人は生まれ逝くもの
思いは生まれ逝くもの
命あるのも
そうでないのも
生まれ逝くもの
確かにあるのも
不確かにあるのも
生まれ逝くもの
僕の中で
絶え間無くつづく
営み ....
しゃぼん玉が生まれた時
たくさんの仲間がまわりにあふれていた
陽の光はまぶしく
見るものすべてが新鮮だった
子供たちの手が伸びてきて
仲間のいくつかがぱちんと弾けた
悲しかったけれど
....
ネギを買いそびれて
僕たちはネギの話ばかりしていた
こんなに真剣にネギの話をしたのは
何年ぶりだろう、なんて
今でもネギを見ると
あの日のことを思い出す
だから僕は
ネギを食べなくな ....
二十数年前
大量の醤油を飲んで自らの命を絶った科学者がいる
それが私の父だ
いったいどれくらいの醤油を飲んだのか
警官が説明しようとすると
母はそれを遮り
私の手を引いて長い廊下を歩き ....
彼女はびしょびしょに濡れた服を着て
この服いいでしょ
といった
ぼくは濡れてるから着替えた方がいいって
いったけど
彼女はそのうち乾くから平気だよと
まったく気にしていなかった
....
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