北へ向かえば
沙羅(しゃら)と響く、雪の羽音―――
心地いいほどに
絡まる、しらべ
高みにずれてゆく、音階
いつだって夢から、さめたら
君が立っていた
両の手に
....
河川敷でオギの群生が燃えて
大量の灰が河を流れた
きいろいでかいはな
きいろいはやいでんしゃ
それ以上は小さくならない単位からの
新しい組成の可能性が
河原をすすむほどに薄れて
遠いとこ ....
白く大きな建物が倒れ
道に大量の湯を噴き出していた
蒸気と飛沫がとびまわり
離れても離れても熱さは変わらず
自転車を手で引きながら
白いかたまりを見つめていた
....
朝目覚めた瞬間より疲れている
カーテン越しの空が青いほどに煩わしい
早朝からテンションの高いニュースキャスター
辛過ぎてつけた瞬間に消してしまった
起きてから30分で ....
前にあなたが言った言葉
「おまえ、強いよな」
「そうかもね」
なんて返してみたけど
本当は
ちょっと悲しかったんだ
あなたの前で弱音なんて言わなかったけど
それは
私が強い ....
ベイベー
外で鯉のぼり
傘でチャプチャプ
電気椅子
高円寺で消えた
あの本は
中野で爆発
水風船
蚤が飛んでる
張りぼてで
モーニングコーヒー
午後の雨
看守の見ている
この ....
「ちょっとお聞きしますが・・・」
生まれて初めて職務質問を受けた。
近所にある、簡易郵便局に寄った帰りのことである。
先日、防災用のごく小さな貯水池で、子供が溺れて死んだのだと言ふ。まだ、事件か ....
窓をひとつひとつ
捨てた
魚のうろこを剥ぐ時のような
つうっとした痛みも無く
部屋はほのかな幸せとともに
凪いだまま夕闇へと
進行していた
それから壁に
偽物の窓を描き
美し ....
くるくると廻り続けて
絵の具みたいに解けて混ざって光を放って
最後の最後には光も無くなって
そうなれると信じていたよ
あなたと手を繋ぐのはごめんだわ
私の手はあなたと手を繋ぐ為にあるんじ ....
ちょっと長めの旅行を終えて
ベランダに出てみると
大切な鉢植えのミカンの葉が
全部無くなって
大きなさなぎがぶら下がっていたのです
街ではもう、見かけることも少なくなった
アゲハチョウ ....
女にふられたので、
向かいのビルへ行って死のうと思った。
なんどか、もう忘れた!とか、
俺は立ち直った!とか、
あんな女なんて!とか、
吹っ切ってみせたけれど、
だめだった。
きのうあの ....
白い夢をみる雨の朝
石畳は濡れそぼって君の靴音を響かせる
風もないのに遠く
赤いアンブレラはくるり
しなやかな求愛みたいに廻る
フリードリヒは終日モルヒネを胸に抱く
....
あなたと私は
一枚の地図
無数の道路が
ふたりをつなぐ
だけど
たとえば行き止まり
たとえば一方通行で
私はいつも迷ってしまう
うまくいかずに塞いでしまう
あなたと私 ....
ようやく晴れた青空に
風船がひとつふたつ みっつ
きっと誰かの夢にちがいない
あそこの空からも
風船がひとつふたつ
いつの間にか
空には風船でいっぱい
大きいものや小さいもの
....
ぽち、おすわり
ぽち、おて
ぽち、おまわり
ぽち ぽち
ぽち、おかね
ぽち、ぱしり
ぽち、じさつ
ぽち ぽち
あなたの理想は
わたしの苦痛
あなたはそれを判ろうとはしない
(寝化粧なんて誰がする
腰に手を当て拳を振り上げて
いつから偉くなったのか
わたしには苦痛そのものなのに
(朝は誰だって眠い ....
にっちもさっちもって
そろばん用語だったんだなあ
知らなかった
こころは動いてるさ
だけど
頭と身体が動かない
どー にも駄目だ
あしたが
止まってしまうような
この世の仕組 ....
鳴り踊る携帯電話
くるくると巻かれたエクステ
ゴミとなった教科書
勉強? してない
将来? 知らない
演技? 忘れない
義務となったTV見学
胡散臭いリアル
他人を蹴落とすトー ....
僕ら今死ぬとして何を思うだろう。
漠然と吸っていた息が止まり。悠久に擬した道が蜃気楼だと知る。
踏み出した足が空を掻いて落ちる時、僕ら何を観るだろう。
....
絶対変わらない。
それがあなたの口癖
私への想い
あなたは真剣な眼差しでわたしに誓った
時に笑顔で
時に泣き顔で。
私はほんとに幸せものだ。
....
死ぬことで
何かを残そうとする人は
とても とても
寂しい人
残される人の心をを知らないんだ
生きることで
何かを伝えようとする人は
とても とても
美しい人
伝えるもの ....
なんて朝だ
頭が取れて落ちそうだ
二日酔いの後じゃ
はらわたえぐられた青魚のように
水面に浮かんで
早く消えてしまうことを
望むばかりだ
パ ....
戦争を知らない。
ぼくらは戦争を知らない、と、いいえるのだろうか?
「イラク」とか「サマワ」とか「アフガニスタン」とか
いろいろな地域の言葉がテレビに映っていたけれども
さっぱり判らなかった ....
雑踏が、病死した町に流れる。空想上の子供が、まるで、のた打ち回ったような、町の静けさとあいまって、生死の雑踏である。全てが合掌のようにも聞こえるので、町中の老人は、神の頂で、天を打つ。
病死している ....
押入に夕闇はつと隠れてる
「もういいかい」と「まあだだよ」とで
庭先にブランコだけがゆれていて
昼のサイレン明日はとおく
陽のひかり障子にさせば心痛み
....
頻繁にこうなんです。
おいら会社の3等兵
吊るしのスーツで地獄を進め
命はとっくに天に預けた
靴は蒸れ上げ水虫上等
ペコリペコペコ頭を下げる
時に地面にこすり付け
百円拾いてやや救われる
....
煙草の煙柔らかい朝
煙草拾ってうれしい
煙草高くなった腹の立つ
スーパー安売りでうれしい
スーパー閉まってて帰る
炊飯器にこびりついた米かたい
佐々木君得がたき友だ
佐々木 ....
僕はまるで夜光虫、夜になったら動き出す
決して飛べなくなった夜光虫
羽は折れ、地面を這いずる夜光虫
傷ついた羽を休めたくても
休める場所さえない夜光虫
アルコ ....
私たちはふだん
地球の反対に住んでいるので
会うには 大陸や 時間や お金や
たくさんのものを越えなくてはなりません
仕方ないので
手っ取り早く待ち合わせ
....
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