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果てしなくつづくかのような
この空の向こうに
宇宙が 存在している
それだけは 紛れもない
空と宇宙の境界線まで
サンダルを蹴り上げて
明日の天気を占う
落っこちてく ....
指を折って下さいと
私は尋ねる
憤懣やるかたなし
といった風情で
彼は
動かぬ指を折る
ことばほど
指は曲らず
ただ
夕暮れが訪れる
もくれんの花びらの
やがて
春 ....
夢中になりすぎると
お互い可哀相になる
あまりにも余裕がなくて
何かを恐れあせっている
たとえそれが
たった一夜逢えないかもしれないという
ただそれだけのことだとしても
手が震え仕事 ....
よく冷えたふたりの恋に
思い出エッセンスを少々
泡立てすぎて分離しました
きっとこれはライグレと煙草で
味とも匂いともつかない艶めきが乗りかかる部屋に
トタンに雨が踊り狂ってしまって 音楽のほうが薄っぺらで
勢いあまって気が違ったか なだれかかり
この季節の 凡 ....
まぐろの解体ショーに行く
はんてん角刈り包丁持って
さばいてさばいて大喝采
死んだまぐろが
このように
ほら奥さん
一枚どうですか
一枚一枚
まぐろって
骨と骨のあい ....
友人の部屋の隅っこに
ネジが一本転がっているので。
「このネジ何?」
「どうやら俺のものらしい」
拾い上げて見ると確かに友人の名前が書いてある
「そりゃそうだろう、お前の部屋に落ちて ....
駅のホームは終電まで1時間の23時で、ぼくは「のりかえ」が「チェンジ・ヒア」と訳されているのに気づく。「チェンジ・ヒア」というのは「いる」ところからスタートしているが、ぼくらは「いない」ところからスタ ....
なくすものが
あったらいいのにと
おまえは呟いた。
よそ見してる
おまえの腕を
俺はひき千切ろう。
そしておまえは
俺を失い
長い夜の ....
海岸沿いに露出した三十年まえのゴミ山のうえ
新しい嘆きがそっくりひとつ捨ててあった
壊れた自転車
割れたブラウン管
骨の折れた傘
骨折り損のくたびれ儲け
破れた心臓
そんなもののうえに
....
寒くはないのに足先が冷たい
詩人の休日について思い馳せているせいだ
トランペット吹きの休日なら
明るく自由な旋律だけど
詩人の休日はなぜか
未熟なくせに古くさい響きがして
私の足先をとても ....
ぼんやり 新聞コラム 眺めてたら
女は 存在 男は 現象
つまり 全ての基本は女 だから
はじめに女ありき との文章
これはもう 現代常識である
聖書の記述は 間違えたのだ
好きに ....
唐突な痛みを引き上げてからパンを食べた。
摘まれる、踏まれている麦のムカツキ加減が判った気がして
ちゅうちょなく目の前の海に飛び込むのだ。
童話の世界でなら助かったかもしれない亀を見 ....
君の笑顔は椅子に似ていて
笑うと誰もが顔に座りたがる
散歩途中のお年寄りや
旅に疲れた旅人
アイスキャンディーを持っている人
ただ夕日を見ているだけの人
誰かが座ると嬉しそうにする ....
時間が
外から来る光を
横になりながら見つめている
花は雪
雪は花
晴れた日
道は海へつづく
ずっと空のままでいる川
とどろきの向かうほうへ
雪は昇り
落 ....
にんげんのやることじゃないです
と にんげんがいう
にんげんのこういにたいして
人間だけが原水爆をつくる
人間だけがアウシュヴィッツをつくる
人間だけがサリンをまく
人間だけが手を汚さ ....
マウンド上で大きく振りかぶった
金田正一の投げたストレートを
牛若丸といわれた吉田義男が
小気味よく弾き返すと
白球は強いゴロになって
三遊間を抜けようとする
あらかじめ心持ち三塁より ....
卑猥だ
どうしてか 椎茸が卑猥である
もう寒くもない夜に自転車を走らせて川べりに行く
警察官に止められて ライトをつけろと言われ
彼らもこう見えて 楽しく生きているといい
上々な証拠 ....
雲のない
ブルー・スクリーンを仰ぎ見ても
語るべきものなど何も残されていない
サイレント、ひとつ
崩れながら包み込まれる
ネイティブ・アメリカンに
インディアン・サマー ....
自転車のサドルってやつは、大抵ピッタリしているものだけれど、一瞬どこだか忘れてしまうその名前はさておき、色はタンカーから流れ出す按配の、石油的な黒だ。とにかく座る場所なんだけれど、それがそいつはどうも ....
あなたは
休むということについて考えてみてください
ああ でも 考えこんでしまってはいけないのですが
ぼくには それは突然降ってきました
いままでの休日がすべて休日ではなかったかのように
....
違うんだ 気が違うんだ 気が違うんだよ 本当に気が 気が違うんだ まったく否定のしようもなく 気が違っているんだ 気がね 違っているんだ ことごとく違っているんだ 余すとこなく違っているんだ おれが ....
街でついつい男の人を
宝石に
変換する
裾に 白衣ののぞくメガネは
傷のついたオパール石
チャイナ帽 歩きタバコの初老は
家のないラピスラズリ
梯子に登りたそうな ボーダー2 ....
それは "こころのやまい" でしょうか
それは神秘の体験と言われますか
誰かにとっての戦慄の黒は
別の誰かのピクニックの黄色ですか
もしもあなたがあなたの皮膚 ....
そのバンドの名前は「全米各地で」といって
下北だか高円寺だかの汚いライブハウスで
お騒がせだ
ボヘミアンだとか
アシッドテストだとか
ケルーアックだとかギンズバーグだとか
単語をつぎは ....
午後に消える鳥の声
冷えてゆく街の鉄の音
夜の波 海の嶺
黒い光のなかの
座することのない独つの星
風の名も
静けさの名も知らず
滅んだ国と
けだものの国の間をさ ....
前後 食虫 幼児 侵略 熱帯
不覚 植物 虐待 戦争 雨林
もの とき
ぐさ さすら ....
並木道に
誰かの日傘が忘れられているのを見つけ
持ち主の名前がなかったので
失敬することにした
けれど自転車のかごに引っ掛けて
ペダルをこぎだしたそばから
日傘は陽を浴びて匂いたち
....
そこに入るべくして、入ったかの如く
キチリと仕舞われていた
トランクの中身。
交互に並べられた歯ブラシ、206本。
一本一本、薄い渋紙で丁寧に包んで、
その、・・・。
歯ブラシは何故か、白 ....
窓のそばでかさをひらくと
ともだちの声が聞こえないので
仕方なくかさを持ったまま
くちびるの動きを見つめている
青かったかさ
今はむらさき
何かがすさすさ動いてい ....
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