萎れてゆく花ではなく




1.「ゆびぬき」


でんとうの 咲いてゆく中で

ちくりと刺さるところを
そっとつつんで
もう無い 
てのひらの形を
朝 ....
呼んでる
わたしは はんぶんだけの さいぼうだけれど
くらくて とくんとうごく かべのへや
まってる

淋しいと 引っ込むみたい
雨が浸みると 歩くのいやいやって するみたい
満ち潮
 ....
君のいなくなった十月がやってくる
と思い出したその日に
決まって雨が降ったり
風が吹いたりするわけではない
ましてや
今日もまだじっとりするような
暑さの残る日に
君の住む町も同じよ ....
海の中で生まれた気がする
始まりは遠い手のひらの中
重ね着をして、重ね着をして
風邪を引かないように眠っていた頃
どこへでも、の世界は
指先まで暖かくて
つまずかないように歩けば
いつま ....
「警部補、人骨が出ました!」
「これか。死後かなり経ってるな」
「それと、密室です」
「なんだとー、トリックか?」
「分かりません。あっ、遺留品が…」
「こ、これは!」
「弥生式土器!」
 ....
「夕日が落ちる前に、帰ってきなさい。」と母が言う
 私は、海が見たかった。
 秋の夕暮れる速度と思い出と川沿いを歩き
 橋の向こうまで。


スタートは、浅い川底の尾ひれで跳ね上げる小 ....
リードギター 弦を歯で切る 指で切る ベースも真似して 切れずに泣いた


おまいらの 心の琴線に 触れるだとぉ 冗談じゃねー ぶち切ってやる


たましーが あればなんでも ロックだ ....
そしてまた世界は
からっぽに明るくなる
このいたずらな明るさの中では
何かを見分けることなど出来やしない

事象たちが書き割りのように
意識に貼り付く
歩きたい道を見いだすことも困難なの ....
 




   膝をたたみ 目を伏せて
   思い出すのは
   折りたたまれた空に見つけた夏のかけら
   黒髪が 風を誘った雨上がり

   わたし ここで猫が飼いたいの
 ....
ライオンさんのやる気が
ゼロでしたので

わたしは舌打ちをしました


タイガーさまも同様でした
残念でした


同じくネコ科のクロヒョウくんは
動いていました

しかしなが ....
 生まれてはじめてお付き合いをした男性が結婚したことを知った。当時は男性というよりも男の子だった。愛読書だと言い、『風の歌を聴け』を私にくれた。そうして自分の為に新しい本を買っていた。今も愛聴 .... 何もない処に秋がやってくるとき
ひっそりとして
わたしは言葉の行方を知らない
わたしはわたしを有りの侭にしている

夕くれに空はふりだし
空はそこらじゅうで実り始める
声を掬ったりすれば ....
私の中に
午前を飼っている
白い舟がいくつか
遠く漂う午前だ
華奢な草の葉がためらいがちに揺れ
吹く風のなかに
覚束なげな青さが
消えない午前だ

もう長いこと飼っている
だからも ....
ヨークシャーテリアのくしゃみ。夏の風。塩素の匂い。嬌声。虹彩。



深い緑。蝶のような。蝶のような。流水。涼風。深い影。



内臓。ガラス瓶。牡丹。薔薇。迷走。精錬。製造番号。
 ....
深海に響くサイレン 旋律のようなうねりはやがて波へと


呼吸ひとつ躊躇うほどの静寂に抱かれて眠る幼い嵐


海水に混ざれぬ雨が沈みゆく マリン・スノーの一粒として


なにもかも蒼 ....
ふと遠いところへ行きたくなる

通過電車に手をのばせば届きそうで届かない
本気で身を乗り出すと本当に連れ去られてしまうから
「危険ですから、黄色い線の内側までお下がりください」
というアナウ ....
高校二年生の冬、谷川岳で幼馴染が遭難した。きっと、眠っちゃいけないと眠っちゃいけないと思っていただろう。その日の朝刊で捜索が打ち切られたことを知った。

初恋の人は学校を辞めて谷川岳に彼を探しに行 ....
おちておちてくずれていく安らかな気持ち
しずんでふかくえぐりとって涙を流す無機質になる
雨音を聞き夜に帰る
あの日の夜に
去っていく後姿を見ても
愛してくれと泣き叫べないどこか冷めた頭で ....
「実験を始めます」
「単一粒子シュレーディンガーの猫を用いた非仮想実験によるひとつの現実的解決」
「長いですね」
「さっさとふたを開けろ」
「おっ、死んでます」
「死んでニャイ!」
「えっ ....
あなたの温かみと重みが
わたしの存在に加えられる
その重みで
わたしは少し沈む
ほんの少し
沈む、あなたのわからない程度に

支える四本の脚
と呼ばれている、それは
わたしの言葉
 ....
「10月 」


少女だったころ
それは青空と同等で
わたしは生きる喜びを持っていた
埋もれていたものを
そのたび拾いあげても
掌から滑り落ちていく
昼間の悪魔は友人といい
夜中の ....
みんなヤサシイ
わたしにヤサシイ
タイリョウノオクスリ飲む
飲まれるタイリョウノオクスリ
サヨナラ今日こそサヨナラ
元気が出るとリストカット
ご飯を食べれば
オネーサン指とオニーサン指が ....
流しのはじっこで
トマトにかぶりつく

切って 盛り付ける前
誰もみてない 朝

どっからくるんだろう
この 破りたい
悲しみは

形よく そろえて
行儀よく いただいて
終わ ....
あなたのいない       空       白       を、日々うめる努力をしています。
もう、慣れました。     空が      白く      雪で染まってから随分たったので。
昨日は眠 ....
今日が終わる
その少し手前で

ひとつ足りないことに気づく

いつものように
君を送りとどけた駅で

「またね」でもなく
「さよなら」でもなく
「ありがとう」でもない

ひとつ ....
荒野では道がわかりません
ヒースの丘にのぼっても
海はみえません けれど
匂いたつ まぼろしをたどって
かならず行きます きみの家に
花を差し出されたら
黙って口に含む
蜜を吸う

疑うという言葉は
知らないふりをしなくてはいけないルール

ねえ
毒って、甘いんだってね


   *


追いかけられるの ....
あの日から、
背負ったこの柱は、
復讐だったのかもしれない。

だがもういい。
もういいんだ。

おれは後数日で、
十五から背負い続けた、
柱を下ろし、
そ ....
それは、いつだろう
遠くないかもしれない、毎日、かもしれない



水平線、その丸みが空に一番近いところ
大型船が突き抜けていくのを
海辺で、並んで、手を振って
ただ眺めている人たちの ....
花ことば常に前進ガーベラよ
         夏の花だとおまえの笑う



すれ違う風の香りの優しさは
         コンマ二秒心留まり



夕闇に街のネオン瞬いて
    ....
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