あの人は頭にツノがありました
ある日
頭にツノがあって大変ですね
と言うと
あなたはツノがなくて大変ですね
そう答えました
あれを初恋と呼んでいいものか
今でも戸惑います
ただ、あ ....
指にはさまれた紙片はガラスの破片のように鋭利に
あなたの皮膚を切っているらしかった
あなたの体液はきっとすこし酸っぱいのだろう
あなたの指を舐めている蛙は
横に広いはずの口を丸めている

 ....
米の粒が 口の中で踊る

舌の上で散らばる

噛み応えのある 少し硬めの粘り

嗚呼..

ご飯 

うまいよ

美味しいよ


山のように盛ろう もっとお代わりしよう
 ....
夕暮れに花を選べばひまわりが遠いどこかでうなだれている


草むらの茂みに隠れ咲いた花ひとりの兵士 目は閉じたまま


ゆっくりと開いてゆくの花びらがだからわたしは滅んでゆくの


 ....
最初から
おじいさんや
おばあさんが
いたわけではないのです
ただ風ばかりが吹く
何もない夕暮れのようなところから
むかし、むかし
と物語はいつも始まるのでした
やがてお話が終わる ....
くちびるを閉じると
世界とわたしは
分かれます
くちびるを開くと
世界とわたしは
またつながります
分かれたり、つながったり
くりかえし、くりかえして
わたしはまた少し
遠くへと ....
廃校の壊れた椅子に腰かけてひとり君待つ四学期かな


朝礼で神を失う君を見てはるか昔のあの地を思う


漆黒の絶縁テープ巻きつけてアルバム燃やす十月の夜


体育館裏の壁際いつまでも ....
夕闇を鋭い牙で引き裂いて千里を走る春の雷音


ふたりして腐乱すパンを食べながらあっちの世界へ横断歩道


雨が降る詩と死の間にしとしとと鬱りゆく目に彼岸花燃ゆ


田園の中であなた ....
ゆふぐれに君とふたりで春の墓地ここでひととき幽霊しようか


「五千年前の約束忘れたの?」花火しながら妹が問ふ


昆虫がふたりの為の出会いなど知らづに運ぶ花粉かな


警報機こわし ....
 エムと出会ったのは、ちょうど海の標識が立つ四つ角を曲がった交差点だったと思っているのは記憶違いなのかもしれない。御影石が欲しいというので三つ拾ってあげたところまでは、覚えているのだけれども、その先は .... ゆっくりと確かめる指のひとから
手わたされる言葉のような
雪の散る道をすぎるひとから
聞こえてくる色のような
朝の水平線に消えかけながら
まわりつづける季節のような
寄せては返す ....
それがほしいのだという
網の籠を背負って
捕まえて入れるのだという

静かな息に
舞い上がり漂ったのち
重さを感じて落ちてくる頃に
掴むのだという

小走りに途切れて
靴音の後ろか ....
何度ささやいたかわからない
あいしている
のうち
一度だけは
「哀している」
と言ったのだ
きみは気づかないが

かなしもまた愛し
あいしもまた哀し

きみが肩に頭をのせているあ ....
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