すべてのおすすめ
座礁しながら ふっくら
帆をはり 夕波に
額をあてて うしなわれる
熱量を 愛しつづけた
おれたちの 船に
時として 人の死が
はなやいで みえる
あやうさに こころ
鎮めて 言葉だけの
せかい たちあげる
風物のうつろいに
あらがって
旅するひとは
いつだって 燦然と
独りである
ぬれると しなだれて
くずれおちる 砂の花
わたしらも ひとしく
装飾の房を ほぐして
うけいれる 水の戒告
もう 花のかんむりを
おろしたまえ けんめいに
あらがった あかしに
きみたちの果実には きまって
ほこらかな きずがあるだろう
あるときから まいにちが
惰性になる 歳月は
ほどかれて だれのものでもない
くちびるの ふるさとへ
錘をおろしに かえる
かぜに うながされ
めざめても あめに
ぬれ うなだれる
ひそかに あまく
あこがれて むくわれず
境界に ぬぎすてた 皮膚と肉を
まいあさ まとう直前 わたしの
あばら骨のすきまに 火を
ともして くれているのは
誰だろう
驕りたかぶって 眠られぬ夜も
うちしおれて あるく雨の朝も
すぐに 遠くへ過ぎて
もう少し もう少しで
死を 語りおえる
なにかが しきりに
こぼれる
鈴のように
銀のように
ふるえる 天窓
あなたは いま
せかいよりも
ふかく ねむっている
その ゆめのなかで
わたしは いかされている
*BGM→http://www5a.biglobe.ne.jp/~eis/j/h ....
だしぬけに ほしが
ふたりを つらぬく
ことばなど ふみにじり
ぶちこわし あいたい
きぬぎぬの ときまで
せかいの おわりに
きみとだけは いっしょに
いたくないと いわれたら
がんばって
せかいを すくう
まがいものは 百年もたぬ
詩語は 意味をはこばない
わたしらは 修羅であるから
もとめあいながらも ついに
手を むすばない
ぼくらは たがいに
記号に すぎないと
了解しあった あの場所で
待っています なんどでも
そこから はじめましょう
まいばん うすく
あやまちの 傷あとを
みがいては
紙の舟に のせて
ながし つづける
関連作品→http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=9063 ....
本屋には 本がいっぱいあるのに
もうあれもこれも 読む時間がない
知命の午後の やわらかい光のなか
きまって本棚の隅に 咲くという
まぼろしの詩集を さがしている
ほしぞらを すぎて
かえってくる
すてて いったものを
ひろい あるいて
くらしに もどる
※BGM→http://momo-mid.com/mu_title/i_riders_i ....
夜が ひろがり
のばしきった 手のさきに
星をつける
道から はずれたひとが
砂に ぬかずいている
みんなはやく おとなに
なろうね なぜって
こどものころは だれでも
ひとことで せかいをほろぼす
ことばを しっているから
おとこの乳首はさみしい ふたつの
わすれられた 夢のあわいに
ひらかれる とおい戦線
それを おんなの指が
不思議そうに つまむ
なにも言わずに
雲をしぼっては
しずくを たらしてくれた
みずいろの影が
塔のように たっている
かわべりで おにぎりを
たべているとき ライオンがきて
たてがみをはずし じゃぶじゃぶ
あらいだしたら まちがっても
めをあわせては いけません
ふるいうたを うたってよ
みどりもえる ことばを
きかせてよ せかいの
くちびるが いちばん
やわらかだったときの
風に とばされてきた
ことばが ひとかけら
髪の毛に ひっかかっていた
手にとると 雪のようにとけて
わすれていた人を 思いだした
すてきな しっぽのある
いきものを もらった
まちがって しっかり
聖水で 洗ったら
死んでしまった
耳をすませば
月と星の ささめき
うしなわれた言葉の
ゆりかごを ゆすって
噴水が歌っている
荒野では道がわかりません
ヒースの丘にのぼっても
海はみえません けれど
匂いたつ まぼろしをたどって
かならず行きます きみの家に
名前のない鉢植えを買って
如雨露で水をやっていたら
ある日 みぎとひだりの
ひとさしゆびの さきっぽを
あわせたような虹が咲きました