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二〇二二年一月一日 「多元世界の門」


 ロバート・シルヴァーバーグの『多元世界の門』、さいごの245ページまで読んだ。主人公と娘はスパイ容疑から外れて助かった。のちに主人公は死んだと思わ ....
棚引く雲のように
白く身を浮遊させ
何の企図も無く
この世界の旋律に
わたしは深く
包み込まれる

荒涼とした大地、
倒れゆく街並み、
闇の匿名性の襲来、

老いて生々しい
あ ....
父は沈黙を支配し
静謐は直観に従う

深夜に一日は生動し

わたしの思考は
宇宙へひろがる

この戦慄を貫く混沌、
この旋律を貫く企図、

躍る世界は荒野の声を響かせ

雪に ....
この疼痛
なんぼのもんじゃい
と、

掻き乱す

肩までも
降りてきた
この痛み
布団、はねのけ
肉は震える

ハッキリと
苦なら苦と
言い、
切る
勇気

明日 ....
眠たげな空、
わたしは滑り落ちて
ひかりの大洋へ
雨降り
ひたすら泳ぐ
ひかりの大洋へ

大空、裂ける
青空、割れる
遥か臨む、
谺のウチュウ

熱い魂と熱い魂のぶつかり合い
 ....
近藤さんちの広い庭の半分は
辺り一面緑の草原だった

 君には僕がみえないの?
 綺麗な君、
 僕には君が見える、
 僕には君が視える、

近藤さんちは鍛冶屋だった
溶けて黒ずんだ坪 ....
世界が暗くなっている
車が通る、人が過ぎる
どんより曇った空模様、
細かい雨が降り始め

道にてアパートの隣人と出会います
彼女は親しげな笑顔浮かべ
手と手を宙で打ち合わせ
互いに挨拶 ....
ナマコのお化けが
くらやみからやって来るとき
人はただ、その場に立ち尽くすのみ

ばくはつするたいようにとけて
ばくはつするたいようにひざまづき

暗黒の窪みに安らいで
すべてを放擲し ....
夕闇、迫るなか
戯れる

子供たちは
歓声の余韻に

時を味方につけ
突き抜けてゆく

大人たちの影を
遥か超え

開かれていくこの世界へ
その輝きに震える心で

  * ....
二〇二一年十三月一日 「断章」


 ジョンは五千人程の男女の中に見えなくなった──。誰も彼もが灰色のヴェールを被っている──、凍って粉々になった残骸は〝意識〟と呼ばれ、人々の中に動かしがたい様 ....
内部から

現れ溢れる

言葉たち

色とりどりの
増殖する円の群れ

熱を帯びている、燃えている

交わり結び
捉えられ

ひとつのおおきな詩に溶ける
ひとつにひび ....
この秋晴れに、階段を
一段飛びで
上る

ぐんぐんぐんぐん登る
どこまでもどこまでも昇る

すると、

涼やかな風に舞い
白々と透明な綿毛が
無数、数知れず
飛び交って来る
 ....
すべてから
解放され
すべてを
開放し
広大な大地に
遊ぶ

  *

気分は沈み
気分は盛り上がり
まるで大海原のうねり

自我は佇みひたすら静観し

天空に銀河の帯、 ....
唇を飾りたいなんて
子どもの頃から鏡の前で
幾つ思い数えたでしょうか
星に願われた膜があって
それも人の愛し方のひとつと
知るはるかむかし

考えなかったのでしょう?
また会いたいなん ....
土手の
草木が揺れている
熱い風が吹き
彼岸花はまだ咲かない

夏の後ろ背を追いやったはずの
秋が
今日一日、夏の再来に追いやられ
せめぎあい渦を巻く
木霊が
生来の不安と恐怖と孤 ....
二〇二一年十二月一日 「夜の大海の中で」


 ヤフオクで落札した、グレゴリイ・ベンフォードの『夜の大海の中で』が到着した。画像で見た表紙の傷は仕方ないけれど、本文はきれいだった。本体190円+ ....
躍動するこの魂は
年若くして老いた魂を後にし
悦楽に浸った青い春を
遥か飛び越え
美しさと残酷のセカイの深みへと
闇に包まれ入っていく

とおい、とおい
遠いよ
澄んで湧き出る泉の底 ....
美しい巻物をゆっくり
開くように
声の響きに
耳を澄ます

この肉身を揺らしながら
この肉身を溶かしながら

  *

ジョンレノンのロックンロール

ジョンの声が、魂が、直観 ....
ぽつりぽつりと
雨のふる
道の両側には
花が咲き
鮮やかなその色彩が
浮き立つように躍っいる
自転車で街道を過ぎる
女子高生の
肩口の黒髪が艶やかに揺れ

涼やかな空気に包まれて
 ....
さっきから
雨が降ったり止んだり
強風が吹いたり止んだり

台風の渦が東京に接近する

私は痛む両眼を指先で押さえる
この静謐な心を壊さぬよう
私は痛む両眼をそっと

クール宅急便 ....
わたしたちは歩く
可笑しなことはないのに
となりできみが時々ちいさく笑う
(なにか間違っている?)
でも訊くことなんかできない

わたしたちは黙って歩く
おおむねすべてのひとたちは
 ....
うすぐもり
ベランダから
なにを見ているんだろう



それとも

ひとだけに
不自由がはびこる

気づくと
いつ死んだかわからない
カタツムリの
はりつめたよ ....
降りていく
夜空の底へ
降りていく
瞼を閉じて
降りていく

やはらかなそこへ
そこなきそこへ
はらはらはらはら舞いながら
やさしいことのは散らしながら

降りていく
宇宙の底 ....
目をつむり
こころの
闇を見つめると
聞こえてくる
光もある



どこを見るともなく
宙を
ぼんやりと
見ている時がある
どこかのここで



宇宙が生まれてからずっ ....
何処にも行き着くことはなく
そっと明かりを灯すように
静かに確かに歩んでいる
過程にのみ意味が開き
繋ぐ意味に花が咲く
そんなひたむきな息継ぎを
ただただ静かに晒している

(目眩くよ ....
曲がった声の刺さった羽のなかで
切り分けられて爪をたてられたとき
本当に、本当に
どこか遠くに来たんだって思った

真っ直ぐなビルがあって
ひずんだ音を立てていた
夏の太陽がどこかに ....
剥き出されている

神経は逆立ち
熱風に鳥肌立つ
紅の樹木は激しく波打ち
瞳をくりくりと輝かせた
木登り少女は姿を消した

何にもない、何もない
意味は全て剥奪され
記号だけがひょ ....
人間は一人立つ余地があればいきてゆけるものだ
人間は愛するものをうしないつづけてつよくなれる

だれもふりむかない路地裏の暗闇のなかに人生があったり
戦場を迎える兵士は誰に誕生日を祝ってもらえ ....
二〇二〇年十三月一日 「学園紛争」


 ぼくは同志社大学の1980年度生だ。1980年度に入学したって話だけど、ぼくの大学一回生の後期の授業は、学園封鎖で潰れた。後期テストはレポート試験だった ....
私たちは同じ
深く澄み孤独
私たちは同じ
繋がり求め

燃えて、激しく燃えて

どうか、どうか 
この反転する闇と光のなか
共にたましいを燃やして
求め合う、繋がり合う
孤独に澄 ....
ちぇりこ。さんの自由詩おすすめリスト(938)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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詩の日めくり_二〇二〇年十三月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩14*22-7-4
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