ねぇ先生
(先生じゃなくて講師だけどね)
「無邪気」って言ってみて
むじゃき
じゃぁ先生
(講師なんだけどってまぁいっか)
「無邪気」って五回続けて言ってみて
むじゃき ....
一人暮らしも板についてきて
仕事もやっと落ちついてきたある朝
キッチンで水道の蛇口を捻ると祖母がにゅるにゅる出てきた
都会の水道はとうとう水のかわりに二親等が供給されるようになったのか
なんて ....
お空は言った
これも必然よと
花は散って実る
命に従い私は
善く生きたい
{引用=※五行歌とは、「五行で書く」ことだけがルールの、新しい詩歌です。}
わけもなくしんどくて
ベッドに沈んだままの休日
気だるく甘美な死を思う
(緑の芝生にいつしか立って
思い思いに踊っている
私たちはたださみしいのだ)
ふるさとを遠く後にして
毎 ....
ゆうやけが地獄を洗っては沈む
ボロが併設された小さな社で拝む
山又山のさいご富士山を眺める
よく歩いた日のシャワーにほぐされる
シャワー浴びつつ妻のあたらしい歌聞く
....
寒空にさらされたタオルが一枚
人の気配がしないベランダに
タオルが一枚だけ干されている
顔や手を拭くサイズのタオルは
新しくも古くも見えない
ただの白色のタオル
なぜほかの衣類などはま ....
僕が晩酌を始めるころ
サンフランシスコでは0時を回り
朝の5時に起きておはようを言うと
姉上、あなたはおやすみと言い
なぜなんだぜ?
同一座標でどんな時差が
僕はアサガオ
や ....
西の空に日は落ちて
仄かに明るむ茜色
富士は勇姿を際立たせ
沈む地平に黒々と
聳える巨大なシルエット
すべて静寂に包まれて
遥かな距離を落ちていく
わたしもあなたも別々に
この ....
青空よりもしずかな黄昏が好き
パンケーキ、ファストフードで休日昼間あなたと
美味しくなくても良い、けど美味しい
人並みになれなかった振り返ればどこ ....
媼の面をはずしたかまきりが
つめたいそでで横になっていた
ゆたかなお腹
子どもらをまだ泡してないと見え
わたしの中ゆびを、きゅっと
思いがけない強さでつかむ
空をひらけばすみれ
あし ....
おちている光を
うさぎだと思った
そうきみに言った
商店街の 黴だらけの夜
ぼくたちはネズミだった
もうぼくをすきじゃないと
うちあける瞳を ぬ ....
メッセンジャーが駆けて来て
身の置き場を探す
冷えきった朝
荘厳な音楽が鳴り響き
いずれ復讐される
そんな予感に浸され
一心不乱にステップを踏む
乾いた打擲音
連打されるスネア
....
床暖房に腹ばいで熱燗を飲んでいる
外は激しい吹雪
絵の具の花の赤い一行が見えた
わたしの一番小さいマトリョシカは神隠しにあったまま
帰らない
夜の袋にしまわれたまま
アカシアの棘 ....
死の山を ふみこえてゆく
死の山を ふみこえられてゆく
死の山を ふみこえてゆく
積み上げられた 石だ
つぶやいている
つぶやいている
つぶやいている
つぶやいている
つぶ ....
この唄は夕べの思い
旅人がいつか満月の夜に唄った
ろうそくの下で読む人には
なかなか分かってもらえない
子どもにも分かることなのに
月に唄う、月は語る
いにしえの地球を目醒めさせ
そ ....
妄想癖の神父は教会の入口のそばで、目を覚ましたままぼんやりと涎を垂らしている、教会前の広場にずらりと並んだ日曜日の市場の、果実売りの娘が横目でそれを馬鹿にする、本格的な冬がやって来て、空は日本製の ....
春の喜び、
夏へのあこがれ、
秋の憂愁、
冬のさびしさ
時は過ぎ去り
季節は巡る
人生は進み
垂直に落ち
わたしのいない、春夏秋冬
猫。いのちのぬすびと。天秤をゆらす。無邪
気な狩人。爪をひそめ。音をひそめ。夜走す
る獣。ちいさくて幸い
蜘蛛。お寺のお裏に住むおとな。かわいた唇
で咬む。純真で多淫。空洞をゆるさぬ観測手。
....
揺れるキャリーケースの
疲れたフィギュアたちに紛れた
俺はねずみ
湿気た袋の中の息苦しさに
もう眠たい
ケチャップ工場の爆発のせいで、
全部が真っ赤に、染まったこの街。
生クリーム、宙に浮かび上がって、
雲の居場所を奪った。
閻魔大王が、休日にしてるファッションは、
ジェラートピケ 地 ....
あの落書きは
花火よりも
明るい色にした
真面目な名前だから
怒ってるように見えるけど
きっと呼んだら
僕の舌は甘くなる
何も食べていないのに
お腹が空かずに
君を思うなら
....
菊の花が散り、黒いスリッパの上に落ちる
どれほどたくさんの罪が
世界に広がっていくのかを誰も知らないんだ
馬鹿みたいに、
自分だけは全てを知ってるつもりになって、さ
....
いつも行くはずの近道は薄明を終えて神社の鳥居の脇を吹き抜ける
平坦な午後に並ぶ学生たちが少しのやすみを記憶するとき
みちゆきは確かに真新しいスーツを纏い 大きめの制服を着て
まばゆいほどキ ....
静謐の夜を穿つ
透明な明滅は
哀しみの在り処を指示し
沸き立ち、立ち消え
律動する
冷える夜底をひっそりと
移動していく影
背景に流れ
根なし草の寂寥と
一握の希望を落とし込み
....
日月との戦いは続く
自動的に増える
あるいは複製される
かけがえのない唯一の災害
手に手に光源を持って
闇を深めに行く
自殺なら後でできるから
ありったけの飴をランドセルに詰めて
....
たすけあい
ささえあい
かなしみあい
よろこびあい
そんなふうに
まいにちをすごしたい
こんないまだから
そんないまだからこそ
すこしのへんかをきたいして
だれ ....
世界の厳かが露わになるこの夕べ
わたしは静かに此処に留まり
在るものすべてに身を委ねる
まるで人生の鍵を手に入れたかのように
在るもの在るもの輪郭鮮やかな世界が
おもむろに眼前に広 ....
{引用= 我が友、田中修子に}
時折西風が吹く
そして天使が笑ふ
するとさざ波が寄せ返し
沖を白い帆が行き過ぎる
砂に埋れた昨日の手紙を
まだ浅い春の陽ざしが淡く照らす ....
この夏も暑かった
扇風機が壊れ
目覚ましが鳴り続けた 主観的に
現実はどうだったのか
電柱がまだあって
巻きつけられた広告の針金の
結び目の先で
蝉が羽化していた
「 」
....
小さい数字でぴたりと解決された時
折れた破線を引っ張る感触を思い出して
失われる幸福にむせび泣いてみたいと思いました
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