雨の一滴が右手の甲に 落ちた
ズシリと 重たかった
ミシリと 胸の空洞が鳴った

私は慌てて滴を振るい落とした
軋む胸が一瞬、
張り裂けそうになって
人にかける言葉の
優しいひとを選びたい

選んでどうするのかと
問われても明快な答えもないが

そうなんだ僕たちはそんなには曲がってはいないはず
規定するあなたがたの定規はどこまでも ....
軍服を着た義手の乞食、
商店街の一隅に座り
通り掛かった幼児の眼差しに
モノクロームの世界を投げ掛ける

義手は銀色、楕円の大きな豆を繋げた様
アコーディオンが哀しげなメロディーを奏で
 ....
真夜中の一時過ぎ
巨大な目ん玉のお化け達
天を埋め尽くし
ピカピカピカピカ
青白く黄白くまた赤く
揺らぎ明滅しながら
迫って来る迫って来る、
大雪原に独りぽつねんと立つ私に

小学五 ....
鹿
という字に
お湯をかけるとあらわれる鹿に
みつめられながらカップヌードルをすすっている

いつまでこうしていられるだろう
これからの時代は
もっとたくさん間違ってしまうことも
ある ....
静けさ 揺れる
俄な雨、
光の空から
降り注ぎ

宇宙を回遊する言ノ葉たち
凝集しては散開し
思考の流れをこの界へ
屈曲しながら艶やかに
在る物、在る物、造形する

静けさ 奥ま ....
月のかたむき
くまの夢
片方のこったパンの耳
この日差しのあふれた一粒を
こまかく こまかく
もっとこまかく、美しくみがいて
あつめて
天からふりまいたのを
永遠と呼ぶから
きみ ....
この凛とした 、夜の大気に
夕暮れ斜光の余韻 未だ響き
寂寥空洞のその彼方 、遠い畏怖が蘇る

君の豊かな白い乳房に
西陽のなか幾筋も浮いていた、
蒼い血管の生々しさを
ご飯を炊いて
魚を焼いて
味噌汁作って
食事をする
生活の回る
快い音が聞こえる
幸せとはこういうものだ

洗濯をして
ベランダに干して
部屋に取り込んで
きれいにたたむ
 ....
向かいの家の屋根瓦が
黄金色に照り輝き
高い高い秋晴れに
遊ぶ子供達の声も軽やかだ

一方私は布団のなか
鉛の憂鬱を抱えながら
それでもこの美しい秋日、
天高くから降って来る
青い青 ....
青い毛糸は丸い地球のよう
途中で絡まりケンカもするけど
国境という線を守りながら
たまに出かけて色を貰ってくる

ざっくりとした編み目の中には
どんなプレゼントも隠せないまま
爪に引っか ....
酷くやな気分だ
誰ももう僕のベッドには近寄らない
古い目覚まし時計
親父が 長く務められたからと貰ってきた
そいつが僕をせきたてる
お前の番だ、そういうことなんだ、ってな

寝過ごす ....
ちまたには暗いニュースばかりが続いているから
明るい話題が欲しくなる

そんな思いを数にたとえるなら
きっと算数だよね
数学じゃなくて

悪い噂は
それがたとえデマでも
一度立つと
 ....
ことばって何処にあるの
辞書のなかに埋もれているの

人間って何処にいるの
へそまがりな生き物じゃあなければよいけれど

幸福と善とはいっしょなのでしょうか
あるいは幸福のしっぽが見え隠 ....
ア、気息が冷たくなった。


夕空のコゲが美しい。

このダイダイの空腹。


迷子になった記憶はいつも鮮明。

まちがえ人が話しかける。

身内のだれかにするように・・・ ....
めんどくさいテレビ   

モノクロテレビは 力道山を
独り占めしたことを語り
カラーテレビは 鉄腕アトムで
空を越えたと言う
地上波テレビは
そんなアナログテレビたちの話に拍手を送り
 ....
感情が漂白され
漂流していく時空を
速くなったり遅くなったり
緻密になったり大雑把になったり
なんて自由自在に運ぶ移行

魂の打つ突発的な躍動
変拍子や裏拍に
コレハナンダ?
新たな ....
朝は一番に鶏が鳴いた
庭の隅の小屋のなかで

戦後十六年か七年の頃だったと思う
私は小学校に上がって間もなかったと思う

山間の辺鄙な場所は
食料品に恵まれていなかった
私は痩せこけて ....
人生楽しいですか

毎日美味しいもの食べてますか

毎日美味しいものばかり食べていたら
その内美味しいものが
何なのかわからなくなってしまいませんか

だからと言って
肥えてしまった ....
夜は暗い

暗いから
星が眺められる

僕の声の金属的なノイズでは
星を表現することなどできない
無残な



ふと新しい湖の夢を見る


その湖畔に咲いた
可愛い ....
路には人々が歩き
自転車が行き過ぎ
街には
ビルや飲食店、スーパーマーケット等が詰め込まれている
日暮れの参道を抜け、店に着く

ベースの試し弾きから始まり
打合せなしのサックスのカルテ ....
愛情
漢字を逆さにしたら
情愛

私には
はっきり言ってよくわからない

性欲とか
性愛とかは
体からわいてくるから実感してるけどさ

愛情
なんて見えないし
触れないし
 ....
腹底から
ヒンヤリと突き上げて来るモノを
ナイフの刃先に乗せる
熱く紅い血の滾り

)際の際に時を遡行すれば

緑と湧水の大地に到達する
沢登りの記憶の壁突き抜け
唐突にプスップスッ ....
ちぢれた{ルビ髪=かみのけ}が肩にかかり、
そのひとみは幻のようにとおくを見つめ。
装うこともなく、荒れた手は、
彼方のなにものかを追うようにかすかに持たげられる。

偉人を生みおとした晩に ....
花園は雨に憂えている。その{ルビ間=なか}を、
 ミツバチが叫びつつ、跳ねめぐっている。
幾百もの花が、その実をちらしている。
 地は、しゃがれ声とともに水をながす。

湖は{ルビ水煙=けむ ....
木立の緑が揺れている
私は冷たい虚を飼って
鉛の監獄から眺めている
気だるく憂鬱な昼下がり
空は一面の灰色模様、
風はもう絶えず吹き
荒れ果てた街並みが
ぱたんぱたんと倒れていく

 ....
ひとり取り残された部屋
煙草とコーヒーのにおい
片付けていたら虚しさだけが残った
「なんで私ここにいるの?」

(空白)

ホーム柵が私の邪魔をする
乗り越えるにはスカートがひらひらし ....
あなたのもとに嫁いだ日に
鳥籠ひとつ持ってきました

ずっとずっと女になってからも
大切に飼っていた鳥だから

これまでに
一度だって逃げようなんてしたことなかったのに

あなたのも ....
うつくしい手触りを
決して通りすぎないこの指先のように
僕は詩をみつけていきたい
その全てが言葉にならなくてもいい

全てを憶えていなくてもいい
指先が指先を保ち
ふいに触れたものに
 ....
かれん。もくせいのはながさいたの。
かれん。ちいさなゆきのかけらだわ。

かれん。せっぺんのようにちらして。
かれん。ひくいしろいひざしのなか、

かれん。かたちとかげがとけたんだ。
か ....
Giovanniさんのおすすめリスト(478)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
哀しみ一滴- ひだかた ...自由詩1020-7-22
カート・コバーンに捧ぐ- 梅昆布茶自由詩19*20-7-18
昭和三十八年、ある街の光景- ひだかた ...自由詩320-2-2
現夢〇大雪原- ひだかた ...自由詩319-11-11
インスタント・鹿- ねむのき自由詩1119-11-11
造形流- ひだかた ...自由詩4*19-11-9
かわいい- はるな自由詩519-11-6
残響- ひだかた ...自由詩619-11-6
幸せ- 葉leaf自由詩519-11-6
この秋日に- ひだかた ...自由詩1019-11-5
セーターの詩- ミナト ...自由詩2*19-11-5
朝起きて、いきていく- 竜門勇気自由詩1*19-11-4
誤算だらけのラブソング- こたきひ ...自由詩719-11-4
ことば- 梅昆布茶自由詩1519-11-4
秋になると思い出す断片- ナンモナ ...自由詩9*19-11-4
めんどくさいテレビ- 為平 澪自由詩419-11-3
ポップ・フィールド(改訂)- ひだかた ...自由詩519-11-3
鶏だって- こたきひ ...自由詩619-11-3
人生楽しいですか- こたきひ ...自由詩419-11-3
夜の優しさ- 秋葉竹自由詩919-11-2
シェルブールの街- まみ自由詩5*19-11-1
愛してるとか愛されてるとか愛し合ってるとか、面倒臭く感じる時 ...- こたきひ ...自由詩719-11-1
原初域- ひだかた ...自由詩619-10-29
sonnet(肖像)- 朧月夜自由詩5*19-10-21
sonnet(雨の日)- 朧月夜自由詩5*19-10-21
只ぼうと(改訂)- ひだかた ...自由詩11*19-10-21
でんしゃじてんしゃ- 木村きむ自由詩319-10-20
籠のなかの鳥- こたきひ ...自由詩519-10-20
ゆびさき- ぽりせつ自由詩4*19-10-20
etude- 朧月夜自由詩9*19-10-16

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16