水の 
なか
に、
泳ぐ


記憶のなかを
 明滅する光
濾過されて
 蒸留する

西へ、
それから再び東へ
ゆく鳥は
籠を抜けて
飛び去った

 八月の日 ....
 暗いバーで
 黒い服がよく似合った女が
 しわがれた声で私の名をきいた
 煙草とウイスキーの琥珀によどんだ目で
 笑いもせず何故
 私を 見つめるのか

 フロアから這い上がっ ....
お腹がすいたら
食べるものがある
飲むものがある
申し訳ない気もちになる

お腹がすいても
食べたくなければ
食べないことがある
申し訳ない気もちになる

食の欲深さ
満 ....
ふたり分の沈黙を乗せて
笹舟は遠ざかる
意識を過去へ葬るための
ひとつの光の繭となって

むかし使っていた腕時計が
どこかで針を揺らしている
重ねた手が夜の魚のよう
夏の体温に静かに跳 ....
  
ちいきをまもる
ぐりりとぐらら
りんせんたいせい
すいかのもよう

ちゅうかんかんりの
ぐりりとぐらら
りそうのゆめは
すぐそこなのに

ゆめのような
うつつのような
 ....
 ホントに海なんだって
 あるつってんだよね車座のばあちゃん連が
 あの丘をこえたらザザザ

 と、むかし たぶん一度きり
 お波とお供からあっとさらわれると云い
 舟のり達なら躊躇うわず ....
これも運命 天の自由
そうか
そうだ
あなたを思う時も
あなたを思わない時も


これも運命 天の自由
悪は悪か
善は善か
それでも
この命に従う


繰り返すのは
命だ ....
 遠イ遠イ雪ノ山
 降リル事ナゾ思ハズニ
 タッタひとりデ ノボルノデス ト

 誰モ ダーレモ
 女ガひとりノボッテイルコトナゾ
 知ラナイノデス ト

 止ンデイタ雪ガマタ
 サ ....
草を刈る
草を刈る
草を憎しと
草を刈る

草を刈る
草を刈る
作物を愛しと
草を刈る

どちらでも力はでるし
同じ作業だ
でも
全然ちがう

身体に蓄積する
疲れが違 ....
 

ここほれ!
と背中がつたえてくる

今のお前の生き方
じじばばに見せてやると




    個体発生は系統発生をたどって
    夕陽があらぬところに射し込むと
  ....
 あなたの胸は広い
 悲しさと 悩みにひしがれていても 
 あなたの顔をみると
 何も言わない内にふと軽くなるのだ

 わたしの心は小さい
 豊かに 楽しい時でも
 あなたの顔に ....
{引用=まなざし}
鉄鋼団地公園の横
線路に突き当たる一本路で車を止めた
遠く路幅いっぱいに電車が駆け抜ける
一枚の幕 昔の映画のフィルムみたいに

時間について考えた
わたしは今という ....
あらたに開通された高速道路と道の駅にとって替わられたとても広いパーキングの、そのとても強い潮風にさらされた。元直売所の窓ガラスはいくつも破れはて、そこにはオニグモが何匹も巣を張りめぐらし、その赤茶けた .... 後悔しても
後悔を味わう

未来の今に
今を生きるために


その人のその時を
私が生きることは出来ないので
私は私の今を生きる
誰のものでもない
私の人生を生きる


 ....
人魚の名前が アリエルだとしたら
膿ばかり見てきた こんなアリエルも 有り得る
膿には 国境はない 
膿には清濁も いっしょくたん
わけることのない暗い世界で
大波小波 ちぢにみだれ ....
たどたどしい指が生み出す
バッハのプレリュードを
小さな鉢植えに収まったサボテンだけが
棘をかたむけて聴いている

他の観葉植物は枯れて
手元に残ったそれは
巣立っていった息子が置いてい ....
 お湯を沸かしながら
 まだ眠い気だるさには
 モカブレンドのドリップコーヒー

 昨夕スーパーの陳列棚に一袋だけ
 お買い得商品のプライスで残っていた
 この一杯の 目覚めが心地良い
 ....
 羽氵、。


はじめに幻の
景色、の虹  。
の掛かる書棚に
零れおちる埃
、砂の
粒で
/眼が霞
むから
すり抜けて 透過する
そこに は、存在しない
永遠の向こ  う岸 ....
裏路地、提携する眼
蔓延る窓
分裂する窓
その狭間で女は窓を拭き続ける
手にしたウエスは適度な温度を保ち
それはまた彼女の無口だった

無口の中には一人の海がいる
私と私たちは ....
 詰まらない
 
 タワ言を 一人並べて行くだけでも

 やはり詩だと
 
 思うようになった。
 
 
 ノンフィクションの世界

 硝子で仕切った空間に

 一鉢のサ ....
空になりなくて

なりたくて なりたくて

ひたすらに 青い空に

青くて 青くて

青くて 青くて

青いことで とやかく言われない

空になりたくて
 髪を上げてみよう
 唇に紅をひき
 新しい上衣を着て
 お茶を飲みにゆこう

 ポケットには何も
 入っていないから
 冷たい掌つっこんで
 香り高い紅茶を飲みにゆこう

  ....
{引用=夏の飾花}
大荷物を咥えて蟻が後じさる
アスファルトの上をたった一匹で
美しい供物
琥珀色に透けた翅
七宝焼きの細いピン留めのような
ミヤマカワトンボの骸を牽いて
小さすぎて読み ....
アガパンサスの揺れる向こうから
夏の旋律がこぼれはじめる
空の青と光の白が
みるみるそのまばゆさを増してゆく
そこに君が居た
そのなつかしさは残酷なほどあざやかだけれど
でもそこはもう
 ....
夜の風
びゅうびゅうと吹いている
公園でお茶

遠い空に
花火
しばらくして
ドドーン

身体の力が抜けて
この感じ

少し眠たく
次の花火を待っている

遠い空に
花 ....
雨上がり、路面電車が
湿りの中で発光したまま
緩やかなカーブを破壊していく
何の変哲もない病室に
復員したばかりの真昼と青空
そこでは誰もが幸せそうに
夕食に出た鰊料理の話をしてい ....
   白い漆喰が
   薄く、褪せて
   遠くの
   {ルビ草原=くさはら}で

   掛ける
    言葉があれば
   ひとつの
   声を

    一本の 煙草 ....
 最期を迎えるならば

 例えば
 深い深い夜
 病室のベッドに居て
 国道一号線走る運送屋の
 大型トラックの音に
 ただ耳を傾ける事の出来る
 そんな自分でありたいのかもしれない
 ....
風邪をひいた
目がペケになって
じっと寝ている

家族に会いたい
やたら
浮かんでくる感謝

心細い


おじいさんになって
旅立つ時は
朝方にひっそり
がいいかなって思っ ....
  


下りに乗ってしまえば
あの日の二人が見える
ような気がする




    君が
    嘘はつかない
    という嘘をつくように

    僕は
    ....
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