たどたどしい指が生み出す
バッハのプレリュードを
小さな鉢植えに収まったサボテンだけが
棘をかたむけて聴いている

他の観葉植物は枯れて
手元に残ったそれは
巣立っていった息子が置いてい ....
 お湯を沸かしながら
 まだ眠い気だるさには
 モカブレンドのドリップコーヒー

 昨夕スーパーの陳列棚に一袋だけ
 お買い得商品のプライスで残っていた
 この一杯の 目覚めが心地良い
 ....
 羽氵、。


はじめに幻の
景色、の虹  。
の掛かる書棚に
零れおちる埃
、砂の
粒で
/眼が霞
むから
すり抜けて 透過する
そこに は、存在しない
永遠の向こ  う岸 ....
裏路地、提携する眼
蔓延る窓
分裂する窓
その狭間で女は窓を拭き続ける
手にしたウエスは適度な温度を保ち
それはまた彼女の無口だった

無口の中には一人の海がいる
私と私たちは ....
 詰まらない
 
 タワ言を 一人並べて行くだけでも

 やはり詩だと
 
 思うようになった。
 
 
 ノンフィクションの世界

 硝子で仕切った空間に

 一鉢のサ ....
空になりなくて

なりたくて なりたくて

ひたすらに 青い空に

青くて 青くて

青くて 青くて

青いことで とやかく言われない

空になりたくて
 髪を上げてみよう
 唇に紅をひき
 新しい上衣を着て
 お茶を飲みにゆこう

 ポケットには何も
 入っていないから
 冷たい掌つっこんで
 香り高い紅茶を飲みにゆこう

  ....
{引用=夏の飾花}
大荷物を咥えて蟻が後じさる
アスファルトの上をたった一匹で
美しい供物
琥珀色に透けた翅
七宝焼きの細いピン留めのような
ミヤマカワトンボの骸を牽いて
小さすぎて読み ....
アガパンサスの揺れる向こうから
夏の旋律がこぼれはじめる
空の青と光の白が
みるみるそのまばゆさを増してゆく
そこに君が居た
そのなつかしさは残酷なほどあざやかだけれど
でもそこはもう
 ....
夜の風
びゅうびゅうと吹いている
公園でお茶

遠い空に
花火
しばらくして
ドドーン

身体の力が抜けて
この感じ

少し眠たく
次の花火を待っている

遠い空に
花 ....
雨上がり、路面電車が
湿りの中で発光したまま
緩やかなカーブを破壊していく
何の変哲もない病室に
復員したばかりの真昼と青空
そこでは誰もが幸せそうに
夕食に出た鰊料理の話をしてい ....
   白い漆喰が
   薄く、褪せて
   遠くの
   {ルビ草原=くさはら}で

   掛ける
    言葉があれば
   ひとつの
   声を

    一本の 煙草 ....
 最期を迎えるならば

 例えば
 深い深い夜
 病室のベッドに居て
 国道一号線走る運送屋の
 大型トラックの音に
 ただ耳を傾ける事の出来る
 そんな自分でありたいのかもしれない
 ....
風邪をひいた
目がペケになって
じっと寝ている

家族に会いたい
やたら
浮かんでくる感謝

心細い


おじいさんになって
旅立つ時は
朝方にひっそり
がいいかなって思っ ....
  


下りに乗ってしまえば
あの日の二人が見える
ような気がする




    君が
    嘘はつかない
    という嘘をつくように

    僕は
    ....
雨の気配を感じて手のひらを空へ差し出す

つるりとして
なだらかな
わたしの丘に
今日の雨粒が流れたら
くぼ地の枯れた水路が
一瞬よみがえる
かつて
そこへ流して遊んだ
笹の葉や
 ....
両面テープの夏
順番が赤ちゃんの指のように
そのままの柔らかさで並ぶ
あなたは何事もなかったかのように
テープを剥し続けている
食べたい冷やし中華に置かれた
名前の無い名札
息の仕方だけ ....
波リズミカルに打ち寄せる
浜辺 灰白にて広がり

貫く漆黒の直線、
後光帯びる弧空、

やがて訪れる
深い夜闇に
点る明澄な灯り

手を繋ぎ寝そべる二人に
対立し合う世界の響き、 ....
波がそよいで

靴底に、沁みる

遠い水を{ルビ浚=さら}い

 海が伝う。

    {引用=あの日}

そっと {ルビ掬=すく}い

手の内にきえる


一瞬、少 ....
主な登場人物

葛城涼歌(16~18)高校生
川上千伽子(17~19)右同
環華織(17~19)右同
神楽キャロル(17~19)右同
井園遥(17~19)右同

浅田鉾市(69)書店ア ....
空へ空へ
伸びる茎
光を光を
求めて
枝分かれして扇形になった
それは
小さな木々のよう
草はらに
明るい森を成している

海の向こうからやってきて
異国の地に根をおろした
覚 ....
今年もうぐいすが鳴いた
うぐいすが
うぐいすであることを誇るような
透明の声は
命の分身
離れてしまえば
もう本体に戻ることはない
永遠に

たとえば
意に沿わない風にも
うぐい ....
新じゃがいもをたくさんもらったので
ご近所さんにお裾分けした
お返しに、と
果物をいただく

蜜柑のようでちょっと違う
きめ細かいすべっとした黄色い皮は薄く
手でむけそうだ
現れた果実 ....
 芸術における表現の自由という命題があらゆる意味に於いて言葉上の珍穴子である限り、今後詩人という名刺を自らに課し扱うことを私は拒否もしくは否定する。

その壱
詩人とはなんだろう。人が言葉を ....
暮らす
暮らせば
暮らすほど

我が暮らし
ラクになる

月給十数万で
ワイン飲む

歳をとれば
余計なカドが
とれてくる
誰もが少し
ラクになる

たとえ
苦虫をか ....
口から耳を吐き出す。
耳は目になって排水口を流れていく。
目になった耳は明日の壁を踏みしめて
雑踏を突き進む。

耳が吸い込む声は、
いつだって罵倒と嘆きだ。
けれど耳は、
罵倒の皮を ....
かわいた裸につめたいドレス
あなたの肢体の隙間を縫って
透けて見える 十二月の行進

こっそり口を開いた嵐だ
札束を数えるように
耳を裂く静寂を値踏みして

時間が止まって感じるなら
 ....
年の暮れにすっかり見通しのよくなった玉川上水を歩く
日差しというのは本当にこんなものだったろうか
木陰を求めなくなった皮膚が季節を飛び越え
あるいは目の前の季節以外を忘れてしまったみたいだ
足 ....
国道から路地ひとつ入ったその商店街はかなり古くからあって、そこそこ人通りも
ある。だがしかし交通の便が今ひとつ。圧倒的集客を誇れるようなキーテナントも
なく、それゆえだんだん寂しいことになってしま ....
椅子に例える人がいる
その場所が
そこにあるだけ
つらいのだ、と

痛みに例える人がいる
ひりひりと
やけどのように
滲みるのだ、と

私は
知ってしまったよ

あなたを持た ....
夏井椋也さんのおすすめリスト(290)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夏の日のプレリュード- そらの珊 ...自由詩11*23-7-21
一片の空- リリー自由詩8*23-7-20
記憶。- ryinx自由詩3*23-7-19
裏路地- たもつ自由詩7*23-7-19
夏の花- リリー自由詩3*23-7-18
空になりたくて- 短角牛自由詩5*23-7-17
アップルパイ2[まち角18]- リリー自由詩4+*23-7-17
ものうい夏_- ただのみ ...自由詩4*23-7-17
めぐり来る夏- 塔野夏子自由詩5*23-7-17
夏の夜に- 日朗歩野自由詩10*23-7-16
撃鉄- たもつ自由詩523-7-16
郵便配達夫- ryinx自由詩6*23-7-15
最期をむかえるならば- リリー自由詩8*23-7-15
最後を想う- 日朗歩野自由詩6*23-7-14
待ち癖- AB(な ...自由詩623-7-14
手のひらの丘- そらの珊 ...自由詩19*23-7-12
冷やし中華、始めても- たもつ自由詩12*23-7-12
浜辺- ひだかた ...自由詩11*23-7-8
raindrop- ryinx自由詩8*23-6-22
シナリオ『百合崎高校馬券部始末記』①- 平瀬たか ...散文(批評 ...3*23-6-19
ヒメジョオンの巷- そらの珊 ...自由詩13*23-6-19
うぐいす- そらの珊 ...自由詩8*23-5-24
到来物- そらの珊 ...自由詩9*23-5-23
脱_詩人宣言- アラガイ ...自由詩11*23-5-12
暮らすほど- 野澤 尚 ...自由詩5*16-6-26
すべりだい- あおい満 ...自由詩815-12-31
冬の空ぼど気まぐれな奴はいない- ただのみ ...自由詩18*15-12-30
玉川上水- 高橋良幸自由詩9+*15-12-30
きつね- umineko自由詩15*15-12-30
ブラック・スワン- umineko自由詩9*15-12-30

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