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「静謐の海」
漁師は、海から海へ渡った
女は、港と湊で眠った……
旅人は、街々をさ迷って商いした
時計が、泣く
時計の歌が、聴こえる……
女が謡って、いる
老師が、材木で子ど ....
「晴れの日の午前」
はれのひのごぜん
あなたを訪れたよ
くものすきまから
ひかりがさして
くもじたいも少なくて
あれやこれや
こんぐらがって
つまるところ晴れで
わたしの見ている ....
「美」、には理由があるわけではない。実際のところ、「美」は「美として」存在するし、その存在自身によって「美」は保証されている。人が美しく感じるものには「美しさ」があらかじめ内包されているわけだ。そして ....
夏の暑さに、包まれ、静まり、静かな怒りの流れのように、
今、雷鳴がとどろき、わたしは戦慄した。
……ざあっと、雨が降るね。おびえる目で見守る。
やがて、ぽつりぽつりと、頬を打つ雨は感動で、至らな ....
父の祈り母に添いたる秋の夜
秋を見て父を見てただ心静けき
送りまぜ今日はかくやと嘆きおり
父の背に後の月を見し夕間暮れ
十六夜の月は空にはとどまらず
誘うように、それは語り始めた。意識のうえに上るものが、必ずしも真実ではないと、それは告げているかのようだった。物質に満たされたこの世界において、心とはいかにもはかなげなものであり、今にも消え入りそう ....
夏空に恨みのような目を向けて、サラダを食す。ひとりの時間。
急な驟雨に雨傘もなく、濡れて走らせる自転車の上。
饒舌な父に合わせて受け答えを。こんな時間はいつまで続く?
食べられる、食 ....