陸橋、棄てられた車
プテラノドン

水飛沫が飛び、
小屋から突き出た銃口が火を吹く。
猟師は手ぶらで家路に着く。水鳥はゆっくりと
水面の夕日を濁す、夕方。
線路を走る列車が、陸橋をがたがた揺らし
ボルトが緩みつつある。壊れつつあるんだな。
土手に棄てられたタイヤのない車。4つのドアも、
旅に出たっきり帰ってこない。港で船が導くように
涼風のように鳴らされる、それきりのクラクション。

さよなら、またね、待ってる、もう一度、
もう一度、涙顔、笑顔、地平線に沈むー

数百万回唱えられたさよならのかわりに
車のボディにスプレーで描かれた
「奪うな」の金言。分かるかな?俺の手は
煙で汚れきっているだよ、もう。


自由詩 陸橋、棄てられた車 Copyright プテラノドン 2008-05-01 12:31:48
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